第31話 第1章 異世界到着 27

「初期で幸運値が7もあるならレベルも上がりやすい、3つの職のレベルが20になったときに幸運値が10に届いたならば、金ランクやダイヤランクのパーティーから勧誘が有るかもしれないぞ。 幸運値が10を超えると組合の掲示板に名前が張り出されるから、一気に有名人になれるぞ。 レベル20台で幸運値が10超えたものは、現在のアハグトの傭兵、冒険者組合に登録してるやつらの中には居ないからな。」

「出来れば目立たずに生活したいと思ってるんですけどね。」

「そりゃ無理だろ。 そもそも、初期値が3や7なだけでも珍しいのに幸運値が7なのは奇跡みたいなもんだ。 神父さんもそう思うだろ。」

「確かに教団の調べでは基礎値から上下に±1になる人は少なくは有りません。 稀に初期値が7になる人も出ますが、その多くは筋力値か器用値で千人に1人ってとこですね。 次に多いのが持久値で3千人に1人ほどです。 その次に多いのが敏捷値で5千人に1人、次が知力値で1万人に1人、次が精神値で2万人に1人、最後が幸運値で5万人に1人ほどだと記されてます。 これは冒険者組合や傭兵組合に公表されているので、調べればすぐに分かると思いますよ。 ですが、この数値は人族の成人の儀で判明している数値なので、傭兵や冒険者になる数は全体の1/10ほどです。 実質は先の数値を10倍した数で考えてもよろしいかと思われます。 東部に位置する国は西部の国に比べて冒険者や傭兵になる割合が高いのです。 発展が著しく、人口も急増中ですので、安定した職が見つけられないのが要因ですね。」

 そうか、成人の儀ですべての人族の数値が分かるので、教団は数値を把握しているんだな。 それに、10人に1人が冒険者か傭兵を選ぶのか。 農民が主の時代にしては多いような気がするな。 

 アハグトで注目されて冒険者として生活がやりにくくなったら、他の国に引っ越すのもありかな。 エルフが多く生活している人族の国も調べないといけないな。 無いならエルフの国で生活できないかを模索する必要も有るかもな。


「おやっさん、店の予約が取れました。 今からでも大丈夫とのことです。」

 ライドルが声を張り上げながら、こちらに向かって走ってくる。


「じゃ、店に向かうぞ。」

 おやっさんは走ってくるライドルの方へ向け歩き始めた。 俺とラーテイもそれに続いて歩きだす。

 おやっさんが指定した店は門から15分ほど歩いた場所に位置し、結構新しそうだが立派な店構えをしていた。


「ここはコース料理で、1人大銅貨3枚で飲み物は別途支払いだ。 俺たちは明日も仕事だから、それほど飲むわけにはいけねぇ。 銀貨2枚も有れば釣りがくるだろうぜ。 兄ちゃんなら、それくらい払えるよな。」

「ええ、大丈夫です。 昼間は肉の塊を食べたので、今度はどんな料理が出てくるかたのしみですよ。」

「そうか、兄ちゃんは何を飲むんだ? 神父さんはワインでいいよな。」

「俺はおやっさんと同じで良いですよ。」

「私は聖職者なのでワインか水しか許されてませんので、ワインでお願いします。」

「何故、聖職者はワインが許されてるんだ?」

「それは、教団はワインの製造を独占しているので、ワインを大量に保有しているからです。 教会には娯楽が少ないで、せめて自分たちが作ったワインは飲んで良いと、光の神がお許しになられたのです。」

 なるほど、西洋の中世でもワインは教会が作っていて独占ではないが、かなりの収益を上げていたと聞いたことはあるな。 グランガイズの教団は事業が多角化されており、結構強力な存在ではないだろうか。 自分たちの支配する国を持ち、利益の出そうな事業を独占して営んでるとなると、一番人口が多いとされているガーリス帝国より力や発言力を持ってるのではないだろうか。  その教団でも上位10人に入るとされているミケイル枢機卿と個人的に知り合えたのは、すごい事だと今更ながらに感じてしまう。


「店で出されるような薄いワインでは何杯飲んでも酔うことは有りませんよ。」

「店で出されるワインが薄い? 確かに昼間飲んだワインは甘くて薄くて飲みやすかったな。」

「店で出されるワインは2~3倍に薄めて、香辛料や蜂蜜などを少し足して出すのが一般的なのですよ。 薄めずにそのまま出してしまいますと、アルコールの濃度も高く依存症になる者も出ますので薄めて出すのです。 食事とともに飲まれる場合が多く、大量に飲まれる方も居ますので価格を抑えるための方法でもあるのですよ。 教団は薄めて出すことは推奨しておりますが、4倍以上に薄めて出した場合には取り締まりの対象になります。」

「おいおい、そんな難しい話は席について一杯やってからにしようぜ。」

「そうですね。 取り合えず案内を頼みましょう。」

「ライドル、案内頼む。」

「6番の個室だそうですので、こちらにいらして下さい。」

 案内された個室には中心にテーブルが有り、両側に椅子が3つ置いてある部屋だった。 椅子の間は結構広めに空いており、4につの椅子が並んでも狭いとは感じないほどだ。

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