第23話 第1章 異世界到着 19
品物を一旦会計所に預け、冒険者用品の売り場に行くことにした。 魔石ポーチは2種類有ったが、ラーテイと同じの小さい方を選んだ。 食料袋は巾着で代用できそうだから購入は見送った。 手袋と強化靴はサイズが合うのを一対づつ購入。 背負い袋はリュックを使いたいところだが明らかに作りが違うので、こちらも中くらいの大きさのものを購入することにした。 杖も低階層では安物でも良いと言う事なので道具屋で買っていくことにする。 ポーション箱はポーション便が入れやすいように区切られた木箱だった。 この箱も特別な魔法が掛けられており、必要なポーション名を言うと手の中にポーション瓶が現れる便利グッズらしい。 ポーションは会計所の横の棚に並べられてるらしいので会計の時に選ぶとしよう。
武器売り場で杖を探すと3種類の杖が売っていた。 どれも木製だが、ただの某のような物が棒杖、短く先端に装飾が付いているのは短杖、長く先端に飾りが付いている長杖と書かれていた。 どれも形状が違うだけで木の棒だ。 短杖は戦闘に使いにくそうなので棒杖か長杖の2択だが、いかにも魔法使いが使いそうな形の長杖にすることにした。
必要な品物も揃い、会計所に向かう途中に同じ形状の木箱が5つ並べられており、販売価格が高額だったのでラーテイに訊ねてみた。
「もしかして、これがアイテムボックスか?」
「そうです、これらがアイテムボックスですね。」
「全部同じ大きさで形も同じなのに価格が違うのは何故なんだ?」
「素材となる時空トカゲの大きさが、アイテムボックスの内容量の大きさになります。 耐年数はほぼ同じはずなので容量の差ですね。」
「容量なんて、どうやって調べるんだ?」
「アイテムボックスを手に取り、『アイテムボックスステータスオープン』と言えばアイテムボックスの情報が表示されます。」
俺は5個ある中の1番高額な大金貨5枚と書かれたアイテムボックスを手に取り呪文を唱えた。 すると、ステータスウィンドウが現れ、『容量800m×800m×500m 133/1000 内容物=無し』と表示されていた。
「133年前に作られた品ですね。 そこに書いてある容量から13.3%の容量が減っていますが、中の上と言った品物でしょうか。」
中の上で大金貨5枚か‥‥‥ 俺には手が届かないな。 手に持ってたアイテムボックスを元の位置に戻し、一番安い金貨4枚と書かれたアイテムボックスを手に取って呪文を唱えた。 『15m×15m×10m 135/1000 内容物ー無し』と表示された。
「これは最小の部類に入るのではないでしょうか。 中階層では役立つかもしれませんが、運搬人の一日の雇用代が大銅貨5枚で解体の熟練者が多いので、アイテムボックスを使う人は稀ですね。 アイテムボックスの利点は解体せずに収納できることで解体時間を短縮出来ることですが、中階層で出る魔物の大きさでは冒険者が戦闘している間に運搬人も解体をしてくれますからね。 解体せずにその容量に入れると、すぐに許容量を超えてしまうでしょう。」
巾着がアイテムボックスなのを隠すために購入するのも有りなのではないか。 ラーテイの視線が巾着に目を向けられている。 俺も巾着に視線を移すと巾着からもステータスウィンドウが表示されていた。
「ラーテイさんや、もしかして見てしまいましたか?」
「バッチリ見させていただきました!」
興奮のあまり言葉が少し乱れているようだ。
『容量1000m×1000m×1000m ∞/∞ 時間停止 【
聞いていたより容量が大きいぞ! それに聖宝って、教団関係者の前で見せてはいけない文言だろ! しかし、カバンや袋に入った中身までは表示されないんだな。
「ラーテイさんや、君だけの胸の内に止めておくことは可能かな?」
「私は教団からの指示を受けてユグ様に随行させていただいてますので、上司への報告義務がございます。」
「この巾着は神様から下賜されたものなんだよ。 明日の夜以降にミケイル枢機卿と直接話せる機会が出来れば、直接私からミケイル枢機卿に説明するので、それまでの間でも無理かな?」
「記憶が戻られたのですか?」
「ミケイル枢機卿は薄々感づいてらっしゃったようだが、記憶が無いってのは嘘だ。 神殿の部屋での会話を聞いていた人物ならある程度事情は分かってると思うが、彼らから君への説明が無いのであれば俺からは言わない。 明日の夜以降ならある程度の事情を話せるかもしれないし、ミケイル枢機卿との会談に同席しても良いぞ。」
「ミケイル枢機卿台下との会談までと期間が区切られているのであれば、それまでは内密にしておくことは可能です。 必ずや枢機卿台下と会談が出来るように準備させていただきます。」
ラーテイはまだ興奮が収まりきっていないのか、鼻息荒く話していた。 これではアイテムボックスの購入は見送くらねばならない。 購入したアイテムボックスのステータスウィンドウを開くたびに巾着のステータスウィンドウも開いてしまうのなら、危なくて使ってられない。 聖宝には金に糸目は付けないと教団関係者本人が言ってるのだから真実なんだろう。 そんな高価な品物を宿屋や何処かに置いておくことなんて考えられないからな。
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