第19話 第1章 異世界到着 15
「『ギルドカード出現』」
ギルドカードを顕現させた俺を見てラーテイが不可解そうに見つめている。
「ギルドカードを一度も出したことが無かっただろ。 練習を兼ねて出してみたんだよ。」
「なるほど、出されたことが無かったのですね。 それは一度試しておいた方がよろしいです。 私も配慮が足りてませんでした。」
「気にするな。 こんな事は通常在り得ないだろうからな。 それでは『ステータスオープン』」
呪文を唱えると、眼前に俺が転移前に使っていた21インチのモニターのようなステータスウィンドウが浮かび上がり、そこには文字が羅列されていた。
「珍しいステータスウィンドウですね。 通常はこれ位の正方形なのですが。」
ラーテイはそう言いながら、指でか大きさを象って見せた。 これは俺がパソコンのモニターを想像して呪文を唱えたから、このような形になったのかもしれない。 何も考えなくて呪文を唱えれば、ラーテイの言う形が基本形として表示されるのだろう。
「通常は先に献金を頂くのですが、ユグ様は金銭保証を教会をしておりますので後払いで大丈夫です。 それでは、生活魔法から配付します。 『世界を照らす光の神よ、彼の者に力を与え給え』 あれ? 7種類ありますね‥‥‥
ラーテイは呪文を唱え、ステータスウィンドウもある箇所を指で押すと新たに浮かび出た7種の文字を見て戸惑っている。
「『世界を照らす光の神よ、我に真実の理を映し出したまえ。自己鑑定。』 私にも赤色ですが解読の魔法が現れてます。 これはどう言う判断したらようのでしょうか‥‥‥ 字から意味するところは読み解くってことですが。 少し席を外させて頂きます。」
そう告げるとラーテイは礼拝堂を出て奥の方に入って行く。 俺はステータスウィンドウを眺めていたが、文字が読めないので配色を見ていた。 全体的に黄色が多いな。 次に青と黒が多く、赤色は少ないな。 人間種は使えるスキルが多いと南井爺ちゃんも言っていたからな。 読解の魔法で文字が読めるようになるとすれば、自分で取りたいスキルや魔法を探すことが出来るようになる。 選択肢が増えるのは嬉しい限りだが、ラーテイが同行してくれている期間は実践を踏まえつつ取得する魔法やスキルは最小限に抑えよう。 無駄に最初から多く取得しても使いこなせるか分からないし、どれほど稼げるかも分からないのだから節約はしないとな。
15分ほど経つとラーテイが先ほどのカルモイと呼んだ神父を含む7人の神父を引き連れて戻って来た。
「ユグ様、お待たせしました。 こちらの7人はこの教会を管理している司祭です。 奥で皆を鑑定したのですが、私以外は解読魔法は現れてませんでした。 ユグ様に魔法を取得していただき、魔法の効果を皆で識別させてもらって新種魔法に登録させていただきたいのです。 私が取得できれば良かったのですが、赤色なので取得条件が満たされて居ないようなのです。 報酬は生活魔法全種無料と属性魔法とスキルを1個づつ無料とさせていただきますがいかがでしょうか?」
取得する予定の魔法が無料な上、属性魔法1個とスキル1個が無料なのか。 それなら見世物になるくらいはお安い物だ。 7人の神父達は俺のステータスウィンドウを見ながら、変わった形だとか確かに解読の魔法が有るとか口々に語っている。
「ああ、問題ない。 」
「それではユグ様、解読の魔法を附与します。 『世界を照らす光の神よ、彼の者に力を与え給え』」
ラーテイはそう言うと、俺のステータスウィンドウの一部に指を触れる。 触れた先に有った文字が消えた。
「ユグ様、解読の魔法は付与されました。 教団から微小魔石を100個譲渡いたしますので、早速使っていただけないでしょうか。 解読と唱えれば発動するはずです。」
「
呪文を唱えると、ステータスウィンドウに書かれている文字が理解できるようになった。 見たことはない文字なのだが理解できるのだ。 すごく不思議な感覚だな。
「字が読めるようになったな。」
俺はラーテイに起こった事をありのまま伝えた。
「それだけで御座いますか? 他に何か変わったことは御座いませんでしょうか?」
「今のところ、他には何か変わったようには思えないな。」
「そうですか。」
ラーテイはそれだけ言うと神父達と共に礼拝堂を出て行った。 これは予想だが、ラーテイに解読のスキルが赤文字で現れたのは俺が日本語で会話しているのではないだろうか。 グランガイズは言葉が共通だと南井爺ちゃんが言ってたが文字も共通なのだろう。 ならば解読のスキルなんて意味がないと思うだろう。 だが、戦争が始まったら地球の知識を得るために地球の文字が読めると便利なはずだ。 ただ、赤文字が取得可能な黒文字に代わる条件が分からないけどな。
取り合えず、文字が読めるようになったんだ。 ステータスを確認しないとな。
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