第17話 第1章 異世界到着 13
「次は何処に参られますか?」
「そうだなぁ、冒険者組合で登録して行くか。」
「冒険者をお選びにになられましたか。 冒険者は金と意欲と運が大きく影響する世界ですが、ユグ様なら大丈夫でしょう。 もちろん、どの職業も力量が要るのは変わりませんから。」
一番目に金が出てくるあたりにスキルと魔法の重要性を感じるな。 食堂を出て2分ほど歩いた先にある、食前に指差した建物に入っていった。
「あのカウンターが登録受付の窓口です。」
今回はラーテイは文字の読めない俺を気遣い、聞く前に察して誘導してくれる。 さすが優秀とリーリアスが押すだけはある。 受付にいる女性に声をかける。
「冒険者の登録がしたいのですが。」
「それでは、こちらにある水晶に手を置いてください。」
水晶の上に手を置くと、水晶からクレジットカード状の鉄の板が出てきた。 受付嬢はそのカードを手に取りカードを俺に差し出しながらたずねてきた。
「ユグ・ドラシル様で間違いございませんか?」
「ああ、そうだ。」
早速、ユグの名前で登録されている。 俺のステータス情報の名前がユグに固定されたっぽいな。
「冒険者の必要事項はこの冊子に書いてありますのでご確認ください。 これから最低限の決まりを説明します。
・獲得した魔石や素材は組合を通さずに売ってはいけない。
・税率は30%で換金時に差し引かれる。
・ランクにより任務期間と魔石の収集義務が生じる。 未達成時はランクが1つ下がる。最低ランクで未達成なら除名も有り得る。
・公共施設内での問題行動は組合からの除名も有り得る。
・組合を通さないパーティーを組んだ場合、問題が生じても組合は責任を一切負わない。
この規則に従う事に納得されたなら、そのまま了承の意を宣言してください。」
「誓う。」
俺が宣誓するとカードが発行し、銅色に変化していった。
「これでユグ様は銅ランクに登録されました。 ギルドカードは『ギルドカード収納』と発言すれば体内に収納され、『ギルドカード出現』と言えば出現します。 『ステータス表示』とカードも手に持ち発言すると、カードから情報が見れるようになります。 銅ランクは月に3000個の極小魔石収集義務が生じます。それ以外の指定任務は御座いません、 期限が切れる5日前にカードに書かれたランクの色が今の銅色から黄色に変わります。 期限が切れる色が赤に変わりカードの機能は停止されます。 再発行も可能ですが、お預かりしている硬貨や品は消失したことになります。 カードの再発行には銀貨1枚が必要になりますのでご注意ください。 3000個以上納品されますと貢献ポイントが上昇しますので、頑張って多く納品してくださいね。 貢献度が規定値を超えるとランクアップします。」
カードが体内に収納されるので無くすこともないだろうし、すごく便利だな。俺は最低ランクだから即停止なのか。 銀貨1枚での再発行は最低ランクの冒険者にはきついのではないだろうか。 最低ランクで義務も果たせないような人物は要らないと言う事なのだろう。 俺は受付嬢からカードと冊子を受け取った。
「冊子を読まずに捨てられる方も多いですが、色々有益な情報も載ってますので一読されることをお勧めします。」
と言っても、俺は読めないんだがな。 ラーテイに読んでもらったら有益な情報は言ってくれるだろう。 受付嬢に礼を述べ組合から出て行った。
「スキルと魔法を習得したいんだが、この場で可能なのか?」
「いいえ、司教以上でないと簡易祭壇を携帯することが許されてませんので、教会の祭壇で行うことになります。」
「では近くの教会に案内してくれ。」
ラーテイはおれの言葉を聞くと先ほど通って来た大通りを神殿の方へと歩を進めた。
「冒険者のランクってどうなってるんだ?」
「最低が銅ランクで上が銀ランク、その上が金ランク、その上がダイヤ、最上がミスリルですね。」
ラーテイは歩きながら冊子を見て答えてくれた。 やっぱりあるのか魔法金属。
「ランクアップの条件はどうなっている?」
「銅ランクの場合ですと、毎月3000個の極小魔石の義務納品の他に納品すれば、貢献度が1000個に付き1pt加算されるようです。 1000pt貯まれば銀ランクへと昇級できる。 極小魔石は100個単位での納品が可能であり、単価は1個小銅貨1枚で換金時に税金として30%引かれると書いてあります。」
毎日最低の100個づつ納品したら、銅貨7枚か。 ギルドの宿泊施設で3枚、宿の大部屋で5枚使うと食費が2~4枚で生きていける計算なのかな。 倍の200個づつ納めれば月に30ptたまり33か月ほどで昇級できるのか。 ひと月で100万個余剰に納めれば即ランクアップできるのか! 確か硬貨入れに金貨10枚以上あったから、即ランクアップ可能だな。 ランクアップしても残金が乏しくなるだろうからやらないがな!
「ラーテイも自分で魔石は取りに行ってるのか?」
「いいえ、エルテルム王国に登録してる住人は成人を過ぎると、月に100個の極小魔石が配付されるのです。 組合に所属してるなら組合で、所属してないのであれば町や村の役場で受け取れます。 道具屋でも購入できますが1個が小銅貨2枚になっています。」
買うと金額が倍になるのかよ。 そりゃ、組合以外で売ると罰がある訳だ。 住人に配るとなると、そりゃノルマを課せて集めないといけない訳だ。即ランクアップが金貨20枚になったな。 合計しても金貨20枚にはならないはずだ。どっちにしろ、やらないがな!
「犯罪者や納税しない人には配付はされませんが、納税義務を果たしている限り飢え死ぬことは有り得ないので安心してください。」
「一般市民でも魔石は売ることができるのか? 出来たとしても銅貨10枚で1カ月は生活できないだろ。」
「魔石は冒険者や傭兵以外が組合などに売ることは出来ません。 ですが、極小魔石で使える生活魔法を使えば最低限の飲食は出来るので生きてはいけます。」
そのような魔法があるのか。 確かガキが生活魔法は1つに付き大銅貨1枚で買えるとか言ってたな。 1つ1000円なら村の住人でも数種類は持つことができそうだ。
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