第14話 第1章 異世界到着 10

せっかく異世界に来たんだ。 農民や単純労働をするのは嫌だな。 と言って生産職に就くほど器用でも無ければ発想力がる訳でもない。 もうすぐに戦争が始まると言うのに傭兵なんかになったら、速攻で戦死してしまうかもしれない。

役人に成れるほど学がやコネがある訳でもないとなると冒険者が一番ということになる。 異世界小説などで冒険者を選ぶ奴が多いのは仕方ないことなのだろう。 特にチート能力など持ってれば当然の帰結だろう。 チート能力で思い出したが2人ほど転生者が居るんだったな。 最高齢でも8才だから戦力にはならないし、知識も古いだろうから役には立たないだろうが能力次第ではある。 優れた能力なら何れ天才児として名前が上がってくるだろう。 頭の片隅にでも記憶しておこう。

 金が無くて冒険者になるならクランに所属するのが良くて、決まった仲間がいるのならパーティを組むのも良し、ある程度懐に余裕が有って、自由を求めるなら募集か個人ってことだな。 おれは集団生活や行動は苦手なので傭兵や冒険者のクランに入るのは無理だ。


「冒険者の収入源となるのは、組合からの依頼とダンジョンの報酬が主ですかね。」

ダンジョンがあるのか! これは冒険者になるのも良いかもしれない。


「ダンジョンでどのような事が収入になるのかな?」

「通常の収入は魔石と素材です。 モンスターは体内に魔石を持っているのです。 人間でいえば心臓にあたるものが魔石だと言われています。 モンスターが高ランクになれば魔石の大きくなり価値も上がります。 素材はモンスターの肉や部位がお金になります。」

モンスターがそのまま残るタイプのダンジョンなのか…… ゲームみたいに素材と魔石が残るタイプが理想だが仕方ないな。


「稀に宝箱が有り、アーティファクトが出ると品によっては大儲け出来るらしいですよ。 聖宝レリックも出たことも有るらしく、手に入れる為なら教団は金銭を惜しまないそうです。 下層に行くほどに魔物も強力になって行き、宝物から出る品も高価になるという話です。 以上の事柄からダンジョンは神の制作物と見られていますよ。」

 一攫千金などは期待はしないが、普通に生活が出来るほどには収入を得たい。 戦争が始まっても、道を見つけるのにも時間はかかるだろうし、直ぐに激戦になるとは考えづらい。


「そう言えば、魔法を使う時に詠唱しなければならないのかな?」

「私たち神官が主に使う神聖魔法は詠唱が必要ですが触媒は要りません。 無属性魔法や属性魔法は詠唱は要りませんが触媒が必要になります。 ただ、混乱を避けるために魔法名を発することを義務付けられています。 スクロールを使うのであれば魔力も触媒も要りませんね。」

「触媒って何が必要なんだ?」


「低位の魔法なら極小魔石~小魔石が必要で、中位の魔法なら中魔石、高位の魔法なら大魔石が必要とされています。 特殊な呪文なら、それに足して必要な素材が増えるらしいです。 私も神聖魔法以外を使う時が有るので、このように魔石ポーチに魔石を入れて持ち歩いてるのですよ。」

そう言うとラーテイは腰につけてあるポーチの中身を見せてくれた。 ポーチの中には空気銃で使う玉くらいの小さな魔石らしい赤い石と、ビー玉ほどの赤い石と、ピンポン玉ほどの赤い石の3種類が入っているのが見えた。 数は小さい石ほど多いようだ。 一番小さいのから極小・小・中の魔石なのだろう。 さすがに高位の魔法は使えないのか大魔石は持っていないのだろう。

「この魔石ポーチは吸収魔法と連動しており、吸収魔法を自分に掛けておけば半日ほ納どの間はモンスターの死体に手のひらを翳すとポーチの中に魔石を収納してくれるのです。 冒険者の必須アイテムとも言える品でしょうね。 後でキサラギ様もお買いになられるが良いでしょう。」

何それ、便利じゃないか。 ってことは、モンスターの素材もアイテムボックスが吸収してくれるのだろうか?

「モンスターの素材はどうするんだ?」

「モンスターは解体スキルを使って解体するのが普通ですね。 解体スキルも熟練度が上がれば、高品質で素早く解体できるようになりますよ。」

うへ、解体は自分でするのかよ。 アイテムボックスは何処に行った。

「素材とか冒険中に邪魔にならないか?」

「上層では素材を得るようなモンスターは出ませんし、中層に行けるほどになると運搬人ポーターを雇う場合が多いです。 下層や深層に行くような上位者はアイテムボックスを使ってるみたいですね。」

よし、やっと出てきたな、アイテムボックスよ。 じいちゃんの話では普通の道具屋で売ってる品で高価では無いって言ってたはずなんだが‥‥‥

「上位者じゃないとアイテムボックスが買えないほど高いのかい?」

「昔はそれほど高価では無かったらしいのですが、空間魔法で必要になる時空トカゲが200年ほど前に乱獲の末に絶滅しかかって禁猟指定されてから品薄になってるのです。 120~150年ほど前にルクサセス魔法国の稀代の空間使いが人族の持つアイテムボックスを回収し、規格統一を図って再作成したらしく、ほとんどのアイテムボックスの形状は統一され、収容能力にだけ違いがあるそうです。 アイテムボックスは年が経つほどに容量が減るらしく、最大収納量時から年に1%づつ減っていくようです。 規格統一時に再作成されたアイテムボックスは劣化が1/10に抑える魔法が付与されたので、今残ってるアイテムボックスは、その再作成された品か違法に時空トカゲを狩った素材で作られた品しかないですね。」

レアな状態になってるじゃねぇ~か。 この巾着は絶対にアイテム収納出来るとバレないようにしないといけなくなったな。 あとで魔石ポーチを買う時にアイテムボックスの形状や容量や値段も見ておこう。

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