第3話 プロローグ 3

「それで、順調に空白地は埋まったのですか? それに何故空白地があったら駄目だったのですか?」

「ああ、空白地は埋まった。 妖精種も10年経つと、やはり新たな亜種が生まれ出した。 じゃが、大陸東部と近いが違った亜種になったんじゃよ。 獣人種と言って12種の獣人が誕生したんじゃ。」

 人狼族ワーウルフ人猫族ケットシーと獣人種の違いが分からねぇ! どうやって分けてんだよ。


「それは鑑定の能力があるからじゃ。 基本、交配は同種族でしか行わないが、稀に他種族とする者も出てくる。 それでも通常は産まれる子供は両親の遺伝子を引き継ぎ、容姿はどちらかの種族のものになるんじゃ。 だが、全く違う容姿の子供がいきなり何人も生まれたら気になるじゃろ? それで鑑定をすると種族名が出て新種族名が分かるんじゃよ。 人間族には無いことじゃから最初は混乱して大騒ぎになったが、長命種しか居なく、人口も少ない時期に1度目が起こったのが幸じゃった。 神託で新たの種の誕生は慶事だと教え混乱を収めたんじゃ。」


 確かに自分の子供の容姿が自分たちと違ってたら驚くよな。 自分の子供を捨てる親や、下手すると殺す親も居るかもしれない。 こういう時は神の存在が身近だといいよな。 あれ?地球だと神様の存在なんて感じたことはないぞ。   

「その疑問は後々分かるわい。 まずは何故空白地があると駄目なのかと言う疑問から答えよう。 それは人間種の人口減少の対策の為じゃ。 あくまでもわしの主な管理種は人間種じゃから、人間種の繁栄を第一に考えとるからの。」


「何故空白地がなくなると人間種が繁栄するんですか?」

「空白地をなくすことが主な目的ではなく、近くに敵対勢力を作ることいが大事じゃった。 譲り受けた長命種の力は強大だが、性質は基本穏やかだったんじゃ。 人間種に新たな敵を作ることによって団結させ、長命種に攻撃本能を向けさせる予定じゃった。 人間種と長命種の生息地域が離れすぎてると危機感が薄れ、結局人間種同士の戦いが続くと思われたからの。 実際に長命種の時空を戻し妖精種を配置したとき人間種に【大陸東に強大な種が誕生し、人間族に災いを与えるであろう。備えよ。】と神託を出したんじゃよ。 10年ほどの間は東に探索団を出しておったが、発見するのは第5亜種のはぐれ部族くらいじゃった。 徐々に危機感は薄れていき、人間種同士の争いが再発したんじゃ。」

「25年ほどが経ち、空白地を埋めるほどに妖精種の生息範囲が広がったので時空を戻した。 そして人間種には隣に友好的な種族を配置したが、その更に東には脅威があると神託をだしたんじゃ。」

 それでも人間種は妖精種に戦いを挑みそうな気もするな。


「いや、しばらく放置して様子を見ていたのじゃが結構友好的に接して負った。 これでグランガイズは一時的に安定期に入ったんじゃよ。」

なるほど、これでグランガイズは平和になってめでたし、めでたしってことだな。 いやぁ~ファンタジー小説でも聞いてるようで楽しかったなぁ。 って、最初の疑問も2つの世界を管理してる理由も何も解決してねぇ~よ!

 再度ツッコんでしまった。


「そうじゃな。 次元を最大で90年近くも操作してたせいで神力が大分減っておってな、神の国の楽園パラダイスで100年ほど休養することになったんじゃ。 神の国の楽園パラダイスの時間はグランガイズの10倍ほど緩やかになっておるんじゃ。」

「また、大事な時期に休養したんですね。 それも、グランガイズでは1000年なんですよね。」

「いざという時に力が足りなくて何もできないよりマシじゃからな。 それに留守の間は代理の管理者を派遣してもらえるんじゃ。」

「それなら安心ですね。」

「わしも安心して休養を取って負おった。 それで英気を養って戻ってきたら…… グランガイズは大きく変わっておったんじゃ。」

 代理の者がなにかやらかしたのか!


「いや違う、何もしなかったんじゃ。 わしが居た時は定期的に神託を出しておったんじゃが、代理神は基本様子を見て大きな問題がおきたときにくらいしか対応しない方針だったと言っておった。」

「じゃ、大きな問題が起きなかったのに大きく変わったということですか?」

「そうじゃ。 神託がなくなった人々は自分たちで神を創ったのじゃ。 人間族は『光』を司る神を、吸血族を筆頭に長命種の子孫たちは『闇』を司る神を、妖精種たちは自然『火・水・風・土』の神を創りだしておった。 魔法(神の力)には想像を具現化する力がある。 個人では創り出せないことでも種族単位ともなると、疑似神さえ創り出してしまえる力を発揮できたんじゃ。」

 

 南井爺ちゃんなら疑似神くらい排除できるんじゃないか?

「できる、できないかで言えばできる。 じゃが珍しい事象じゃったから管理神の会合を開き、そこでの判断を仰ぐことにしたんじゃ。 そこで示された判断は管理者はわしじゃが、なにか大きな変化が起こるまでは様子見と言うことになった。 やることが大幅に減ったことで新たな世界をもう1つ管理することになったんじゃ。 それが地球じょよ。 地球は最初のグランガイズの時のようにあまり発展に関与せずに見守っていたんじゃ。 時空を1000倍で100年進めて、100年間休んで戻ってきたのが20年前でそこから100倍で20年経ったのが今じゃ。」

「なるほど。 これで2つの世界を管理して謎が解けました。」


「何故、グランガイズのような世界のことを地球の者たちが思い描いているのかと言うと、グランガイズの人間種の輪廻してる魂を地球に持ってきたきたことによる副産物じゃな。 グランガイズで生活していた昔の記憶が少し蘇った者も居たんじゃろうな。 」

「では、私たちの遠い祖先はグランガイズから来たようなものなのですね。」

「そうとも言えるの。」


「グランガイズの成り立ちと地球とグランガイズの関係も大まかですが理解できました。 グランガイズの現状は3つの種族が1つの大陸で生活をしてるで合ってますよね。」

「そうじゃの。 大陸西部から中央部くらいが人間種、大陸東部から1/3くらいが長命種の子孫、その間に妖精種系じゃな。 人間種は己たちを人族と呼び、長命種の子孫を魔人族と、妖精族系を亜人族と呼んでおる。 今では鑑定でもそう表わされるようになった。 人族は20の国に分かれて治めておって、亜人族はエルフ族とドワーフを中心に獣人12氏族が各々複数の村を点在させておる。 魔人族は北は巨人族、中央は吸血族、南は竜人族が治めておる感じじゃな。」

 俺は人族の国の何処かに転移させられるんだよな。 あと聞いておかなければならない大事なことは……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る