第3.5話『灰になって』

いつのまにか緑川はぐっすりと眠っていた。ゆっくり、眠たい瞳を開く。ころんと横向きに転がると、すぐ近くに赤羽の寝顔が見えた。

「ひゃっ!」

緑川はびっくりする。その声に赤羽は起きる。赤羽の寝起きのとろんとした目。少し感情が揺らぐ。

「おはよう緑ちゃんー。眠れた?」

「赤羽さんの顔で目覚めちゃった……」

赤羽はにこっと笑った。2人で朝の支度をする。パジャマから着替える。朝食を食べる。赤羽を見つめる。これが日常になるのか。全て忘れられる気がする。ほわほわとした気分。

プルルルル。

固定電話が鳴った。赤羽が出た。

「はい。久作さん?なんか御用ですかい」

灰壊はいかいが起こった」

赤羽は硬直する。

「場所は舎楊病院。もうすでに病院内の人間たちは避難させた。周りに野次馬もいない」

「はい」

「そして、もう一つ」

「はい」

「……灰壊したヤツの名前。青葉 中という名前なんだ」

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