第8話
──怒涛の2年が過ぎた。
あの後、水鏡を使って両親にも許可を得た。お父様とテオ兄様は渋い顔をなさっていたけど、ヴァルが「アリーシャを悲しませない」と頭を下げ続けてくれたおかげで連合王国の国王陛下から正式に婚約の打診をしていただく事を条件に首を縦に振ってくださった。なお、お母様はなんとなく分かっていた、らしい。
国王陛下には、なんとその2日後に謁見が出来た。王妃殿下はヴァルを息子のように迎えてくださり、私の事も王国の婚約者候補として名前を聞いてくださっていたそう。
幸い私は公爵家なので遠縁とはいえ王国の王族の血が混ざっていて、それにヴァルと愛し合っているとおふたりが認めてくださった事で、王国の王族を通してルーテン公爵家に正式に婚約の打診を求めるとお約束してくださった。
それから私達は各々教育を受けつつ、私は北方領の学院に通った。王太子妃教育担当の教育係が領地まで来てくださって指導してくださったけど、王国で頑張っていた分短縮出来ると聞いて胸を撫で下ろしたのは言うまでも無い。
大体1年と半分くらい頑張って、王族としての教育が少なくなったのと学院の休学が重なって、先に公務に勤しんでいたヴァルに合流したタイミングで各領地を回って挨拶をする事になった。
……そりゃもう、大変だった。
ヴァルと結婚しようと画策していたご令嬢と家族に襲われたり、幼い第三王子のお母様である側妃様の計画で私が誘拐されそうになったり、この半年の方が濃かった気がする。教育係さんや護衛の皆さんがいなかったらマズかったろうな、と思う。感謝しかない。
もちろんヴァルは助けてくれたし、惚れ直しもしました。ええ、私の好きな人超強くてかっこいいです。
なお側妃様は隣国へ帰らされて向こうで幽閉、ご令嬢達は爵位返上からの問題が起こった土地の領主様の管理下で労働をしていらっしゃいます。
──まぁ、そんな2年間を過ごして。
「正式に、ヴァルンフリート・ギズルフ・ユナイトならびにアリーシャ・ルーテンの婚約を認める」
連合王国と王国と両親の承認を得て、私達は晴れて婚約者になった。
ヴァルのお父様である陛下……お義父様は苦難を乗り越えた私達を自分達の事のように喜んでくださったし、王妃殿下ことお義母様は第二・第三王子のお相手をしつつ祝ってくださいました。
立ち会ったお爺様とお婆様はもちろん、水鏡で見ていたルーテン公爵家の家族と使用人一同、王国の国王陛下も数日後に手紙でお祝いを届けてくださり……その手紙にはもうひとつ、封筒が添えられていました。
「──ルドルフ殿下とロザリア様、ご結婚なさるのね」
それは、私達宛の結婚式の招待状。
友好国であり幼馴染の祝い事、だ。
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