心を持ったぬいぐるみ

五三竜

心を宿したぬいぐるみ

「ほら、プレゼントだよ」


そう言って大きな袋を渡される。中には何が入っているのだろう。不思議な気持ちで袋を開けた。中にはクマのぬいぐるみが入っていた。


「ありがとう!お父さん!」


僕は喜んでそう言った・・・


━━━━━━━━━━━━━・・・と、いう夢を見た。この夢が本当の事なのかは分からないが、何故か自分の前には動いて喋るクマのぬいぐるみがいる。


「なぁ、お前は何で動けて喋れるんだ?」


「だから何度も言ってるだろ。わからん!」


ぬいぐるみのくせに威張ってそう言う。だが、それは僕も同じ。唯一分かることと言えばこのクマには心の魔法がかけてある事だけだ。


「何だよ心の魔法って・・・父さんも頭おかしくなっちゃったのかな」


そう呟くすると、クマが殴ってきた。


「いてっ!何すんだよ!?」


「親の悪口は言うものでは無いぞ!」


「うるせぇ!じゃあお前が何者か教えろよ!」


「・・・分からん!」


そんな不毛な会話をする。本当に不思議だ。他のぬいぐるみは動かないのに、このクマだけ動く。


「・・・」


「あ!今このクマ様を使って1儲けをする方法を考えただろ!」


「よく分かったな」


「だって、この会話はもう10回目だぞ」


「そうだな」


またも不毛な会話をする。


「そもそもなんで動くんだ?別に親は2人とも生きてるし・・・話し相手はいるんだけど」


「分からん!それに、この会話ももう30回目だ!」


僕はそう言われて笑ってしまった。その様子を見てクマは不思議そうに首を傾げる。


「・・・そう言えばこのクマってお父さんがくれたんだよな。記憶にないけどいつもらったんだろ?やっぱ夢と関係があるのかな」


「・・・16年前だ」


クマは少しの間を開けてそう言った。だが、これもまたいつも通りの反応である。


「面白いな。お父さんありがとう」


「ん?それは初めてだな」


「・・・いや、2回目だよ」


僕はそう言って、またいつも通りの会話を始めた。

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心を持ったぬいぐるみ 五三竜 @Komiryu5353

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