第17話 別れた後… side 九条玲奈

「良かったぁー。」


彼の家から帰ってきて、私は嬉しさのあまり叫ぶ。

彼に迷惑をかけてしまったことはよろしくないが

、お詫びとして作ったご飯(少し手伝ってもらったが)はとても喜んでくれたし、更には連絡先まで交換できたことが、ものすごく嬉しくてたまらなかった。


「嬉しいですけど、先程別れたばかりなのに、今連絡入れてもいいのでしょうか…。」


でもやっぱり先程会ったばかりなのに今連絡を入れていいのか分からず、スマホのLineの彼のメッセージ画面を開きながら、私はずっと悩む。


(あっ。)


私は思い付くとすぐにメッセージを打ち込んだ。



玲奈:今日はありがとうごさいました。

なにかあったら頼ってくださいね。

これからもよろしくお願いしますね。



「よしっ。」


ピコッ


スマホから通知音が聞こえたので見てみると、彼からの返信だった。



健:こちらこそ今日はありがとう。

こちらこそ頼ってほしいかな。

これからもよろしくね。



彼からの返信が凄く嬉しくなり、思わず小さくガッツポーズを作った。


(そのまま電話していいかな…)


彼に連絡することができたことはものすごく嬉しく感じたが、今度は彼と話したくなってきた。


プププ、プルルルル


気づかないうちに通話ボタンを押していた。

慌てて切ろうとしたが、繋がってしまった。


『もしもし、九条さん。どうかした?』


「えっ、ええと...、その...、少し声が聞きたくてですね...。」


『へっ...』


(わ、私なんであんな恥ずかしいこと言ってしまったのでしょう...。)


彼も少し気まずいのかよく分からないが何故か黙り込み、私もすごく恥ずかしくて黙っている。


さすがに自分から繋げたのに何も話さないのは申し訳ないので、話そうとすると彼から話をしてくれた。


『メッセージでも、送ったけど、今日はありがとう。わざわざご飯まで作ってもらったのはさすがに申し訳なかったけど...。』


「い、いえ。こちらこそありがとうございます。手料理を振舞ったのは、今日のお礼ですのでお気になさらないでください。なんなら...週1回くらいの頻度でなら作って...差し上げますよ。」


最後の方になるにつれだんだん声が小さくなっていく。


(やっぱりいらないこと言ってしまいましたよね...)


「あの、やっぱり...『え、マジで、本当にいいの?』」


「えっ...」


『えっ』


(聞き間違い...なのですかね...)


私は聞き間違いかと思い、もう一度聞いてみることにした。


「ほ、本当にいいのですか?」


『いいかって、逆に俺がお願いする立場じゃない?』


「そうなのですか?」


『ハハハ、九条さんって、そういうところちょっと変だよね。まぁでもそういうところもいつもと違って可愛げがあって話しやすいかも。』


「よく分かりませんが、そうなのですね...。...まぁとりあえず週1回くらいの頻度で斉藤くんのお家にお邪魔させていただきますね。ダメな日があったら連絡してください。」


『あぁ、ありがとう。』


「では今日はここで失礼しますね、では。」


『おやすみ、九条さん。』


「おやすみなさい、斉藤くん。」


こうして彼との電話は終了した。

そのあと私は嬉しい気持ちを抱えながら、ベッドに入り1時間以上かけて就寝したのだった。









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