第10話 学校一の美少女と晩ご飯②
「材料的にいつもより簡単なものしか作れませんがよろしいですか。」
九条さんはそんなことを聞いてきたが、俺からすると作ってもらっている側なので、それだけでもありがたいと思っているので、俺は「作ってもらってるから、なんでもいいよ。」とできるだけ気を遣いすぎないでほしいという意味を込めて言った。
「では、予定通り野菜炒めとお味噌汁と白ご飯にしますね。」
そう言って、キッチンで野菜を洗いだした。
俺は流石に作ってもらうだけというのも申し訳ないので一応俺ができることでも探そうとした。
「九条さん、俺でもできることってない?」
「そうですね…。包丁ってしっかり扱えますか?」
「その辺なら大丈夫かな。俺は基本的に調理の仕方とか、味付けとかができないだけだから。」
「では、味噌汁につかう野菜をひと口サイズくらいに切ってもらえますか。」
「了解。」
そこから俺は頼まれたとおり、味噌汁用の野菜をひと口サイズに切っていく。
九条さんはその間に、野菜炒め用の野菜とお肉を切っていっている。
その動きは洗礼されていて、俺にはかっこよく見えた。
そして2人とも野菜を切りおわると、
「では、ここからは私が行いますので、少し休みください。」
「分かった、ありがとう。」
そうして俺はリビングにあるソファでに座る。
(1LDKの場所選んで良かった、人がいても過ごしやすいな)
なんて全く関係の無いことを考えながら、九条さんの料理を待つのであった。
「斉藤くん、できましたよ。」
九条さんにできあがったことを伝えられた俺は、全ての仕事をさせるのは悪いと思い、盛り付けとテーブルに並べるとすると九条さんが「ありがとうございます。」と言った。
「さすがに全てさせるのは悪いから、気にしないで。」
そして俺たちは、 キッチンのすぐ近くにあるテーブル向かいあわせで座り、手を合わせる。
「「いただきます。」」
そして俺たちは、箸を取って食べ始める。
テーブルの上には、色とりどりの野菜と豚肉がつかわれた野菜炒めと、わかめと根菜がつかわれた味噌汁と白ご飯が置かれている。
俺は味噌汁から手をつけた。
「えっ、めちゃうまっ。」
九条さんの作った味噌汁はしっかり出汁がきいているし、この大根にもしっかり味がしみていてうまい。
俺は気になることがあって九条さんのほうを見ると、とても喜んでいる表情で、ガッツポーズをしていた。
そんな表情も可愛いと思い、つい眺めていると、それに気づいた九条さんは、顔を赤らめて俯いてしまった。
俺はそんな姿にドキリとしたが、誤魔化すように話しかけた。
「九条さんのこの出汁って昆布からとってるんでしょ?、出汁とる時間なんてなかったと思うけど…。」
「そんなことですか…、それは今日の朝にとった出汁を使っているのですよ。朝はお味噌汁も飲みますし、毎朝していることなんで大丈夫ですよ。」
俺は毎朝そんなことをしている九条さんに尊敬の念を抱いた。
(俺なら料理ができたとしてもやらないだろうな)
そんなことを考えながら俺は九条さんの料理を食べ進めた。
「ご馳走様。」
「ご粗末様でした。」
使った食器を持っていこうとすると、九条さんが「手伝いますね。」と言ってきた。
「明日も早いし、もう帰ったほうがいいと思うけど。それにこれくらいはできるから気にしないで。」
「では、そうさせていただきますね。…でも、一応今日の恩もありますので、何かあったら連絡してください。これを使えば登録できると思うので。」
もう九条さんとは話すことがないと思っていた俺は、少し目を丸くした後、「分かった、ありがとう。」と返した。
「では、今日はありがとうございました。」
「ありがとう。じゃあ。」
挨拶を交わした後、九条さんは自分の部屋と戻っていった。
それからキッチンに戻った俺は、洗い物をしながら、今日のことを振り返って今更ドキドキしてしまっていたのであった。
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