第9話 学校一の美少女と晩ご飯①


強引にお風呂に入れられた俺は、途中なにかされないか不安もあった、何も起こらずそのままお風呂から上がった。

お風呂から上がると、九条さんが言っていたとおり、俺が着ていた服が入った洗濯機がまわっていた。

体に付着した水滴をタオルで拭き、服を着た俺は、キッチンへ戻った。

するとそこには、いつの間にか私服に着替えていた九条さんがいた。

きっと、お風呂に入っている間に1度自分の部屋に戻ったのだろう。


「九条さん、洗濯ありがとう。」


俺の発言に気づいた九条さんはこちらに向かってきた。


「いえ、ただの先程のお詫びなので。」


と返してくれたが、その割には少し体をモジモジとさせて、少しさせて別のことを気にしている様子だった。


「…あの、…この服、に、似合ってますかね…。」


そう言われて俺は何故九条さんがモジモジとしていたか分かった。

そんなこと聞かなくても普通になんでも似合いそうなのに…、と思いながら俺が思っていることをそのまま伝える。


「うん、すごく似合ってると思う。」


すると、九条さんの顔が笑みを表に出さないようにしているが、分かりやすく頬が緩み笑みが溢れていた。


「そうですか。それなら良かったです。」


「ウッ…。」


満面の笑みでそう返されると、可愛すぎて意識がとびかけてしまう。

こんな笑顔初めて見る……、ん?

俺が九条さんの笑顔を見て、少し違和感を感じていると、


「斉藤くん、いつもコンビニのお弁当を食べているのですか。」


俺は図星をつかれて、少し体を硬直させてしまった。


「やっぱりそうなんですね。ゴミを捨てようと思ったら、中に弁当のゴミがたくさん見えてますからね…。」


「……。」


言われてしまえば否定することができず、俺は九条さんから目を逸らして、そのまま黙り込んでしまう。

俺がそのままの状態でいると、九条さんが俺の目の前にいた。

気づかないうちにこちらに来ていたらしい。

九条さんはこちらを見てなにか思いついたらしく、キラキラした視線を送ってきて、笑顔で言ってきた。


「んー、じゃあ今日は私が斉藤くんの晩ご飯作ってもよろしいですか。」


「ヘェ?」


俺は予想していなかったことを言われて、素っ頓狂な声を出してしまった。

そのまま固まっている俺に九条さんは上目遣いで、「ダメ…でしたか?」と言ってくるので、否定できず、「わ、分かった。」と困惑気味であったが了承 すると、九条さんの顔が満面の笑みで、「では、お作りしますね。」と元気よく言った。


「あ、でも食材って買ってないですよね。」


「…まぁ…、そうだな…。」


「では、私の家から持ってきますので、少し待っていてください。」


そう言って、九条さんは1度家から出ていった。










俺の部屋に戻ってきた九条さんは、エコバッグに入れた食材とエプロンを持っていた。

九条さんはキッチンに着くと持ってきた食材を近くのテーブルに置いて、エプロンを着けた。

その姿が綺麗で可愛く、少し呆けてしまった。


「どうしましたか、そんな顔をされて。」


俺は九条さんの姿に見惚れていたとは言えず、「なんでもない。」と視線を逸らしながら言った。

九条さんは俺の頬が朱に染まっていることに気づくが、どうしてそうなっているのか分からず、きょとんと小首を傾げていたのだった。





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