第7話 学校一の美少女との帰り道
「じゃ、そろそろ行きますか。」
「は、はい。お願いします…。」
そして俺は九条さんの腕をとり、自分の肩にまわした。
1度顔上げて九条さんの方を見ると、亜麻色の髪からはみ出た耳が赤く染まっていた。
意識はしないようにしていたがやっぱり意識してしまい、心臓の鼓動がだんだん早くなっていく。
自然と湧き出てくる欲望を抑え込むようにしながら、俺たちは歩き始めた。
最初は、色々気まずさがあり話すことはなかったが、俺から話しかけることで少しぎこちないが、話せるようになった。
「そういや、今日の数学のやつ、凄かったな。なんであんなすぐに出たんだ?」
俺がこう言うと、九条さんは少し考えてから応えた。
「やはり、習った解き方と、先生の出題傾向を考えているからですかね…。」
「え…。」
サラッと凄いこと言ってくる九条さんに驚愕してしまった。
俺にはいくら時間を割いてもできないな、と思いながらまた問いかけてみた。
「どんなことしたらそんなことできるんだよ…。」
「ええと、そうですね…。まあ先生のテストをよく読むことですかね…。」
(そんなことで問題を解くなんて…)
改めて俺は九条さんのスペックの高さに驚愕で口を開いてしまった。
そのとき、足を止めてしまい、気になったのか九条さんがこちらを見てきた。
「なんて顔をしてるのですか。」
俺の表情を見て可笑しそうに笑いながら言ってきた九条さんに気づいて、俺は恥ずかしくなって、目を逸らした。
「やっぱり、かわいいですね。」
九条さんが小声でそんなことを言っていたが、俺は恥ずかしさで聞き取れなかった。
「きゃぁ。」
歩道を2人で歩いているとき、悲劇が起きた。
昨日は雨が降っていたので、残っていた泥水が車が通ったことにより、こちらに向かってはねてきた。
俺は九条さんにかからないように自分が車道側に入るようにして守った。
九条さんにはかからなかったが、俺は背中にしっかりと泥水を浴びてしまった。
「ご、ごめんなさい。大丈夫ですか。」
九条さんが上目遣いで不安そうな視線を向けている。
俺は不覚にも九条さんのそんな顔もかわいいと思ってしまった。
見惚れていると、不安そうな視線が強くなってきたので、俺は慌てて言葉を返した。
「だ、大丈夫。少し泥被ったけど気にしなくても…。」
「どこが少しですか。思いっきり被ってるじゃないですか。」
と心配を孕んだ声がかけられた。
九条さんがそんな声をかけた後すぐに歩くスピードを早くして、
「私の家すぐ近くなので。」
それだけ言ってまた歩き始めた。
そして着いたところが自分が住んでいるマンションだったことに俺は驚いてしまった…。
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