第6話 学校一の美少女の応急処置


「じゃ、じゃあ今から処置します。」


「お願いします…。」


しばらく冷やしたので、処置を始めることにした。


「とりあえず、靴下を脱いでもらってもいいかな。」


「は、はい。」


九条さんが靴下を脱ぐため、俺は少しの間後ろを向いた。


「脱ぎましたよ。」


「ああ。」


声を聞いて、九条さんの方に向き直した。

そのまま俺は、湿布を貼るために九条さんの足に触れた。

そのとき、ビクッっと九条さんが震えた。

顔を見てみると、顔を赤らめていた。


「ど、どうしたの、俺なんかしちゃった?」


俺には心当たりがないが、なにかしてしまったのだろうか。

困惑する俺に、九条さんは顔を赤らめたまま答えてきた。


「べ、別に何もされてないんですけど、…その、湿布を貼るためには足を触れないと分かっていましたけど、こんなこと初めてなので、ちょっと…、でも気にしないでくださいね。」


と焦りながら早口で話す九条さんを見て、俺は少し声を出して笑ってしまった。


「も、もう、笑わないでください。」


こう言ってきた九条さんは学校と違って可愛らしさがあって微笑ましく思った。


「ごめんね、まぁ、湿布貼ってくから。」


そう言ってまた、足を寄せて湿布を貼っていく。

そのとき、また九条さんの体が震えたが、気にせず湿布を貼った。


「湿布は貼り終わったから、次はテーピングで固定していくから。」


そう言って俺は鞄からテーピングを取り出す。


「テーピングなんて入れているんですね。なんで持ち歩いているのですか?」


「ああ、昔俺がよく捻挫してたんだよ。体育の時とか、人にぶつかったりして、今回は俺じゃなくて九条さんだったんだけど…、本当にごめん…。」


「そうなんですね。でもその話をしてなんで謝ることに繋がるのですが。」


九条さんは不満げに言った。


「さっきも言いましたが、互いにまわりを見てなかったから良くなかっただけなので謝る必要はないです。」


「わ、分かったから。」


「本当ですかね…。」


九条さんを見ると疑っているような視線を向けてきた。

俺はその視線をスルーしてテーピングを付けていった。






「よし、これで終わりっと。」


九条さんと話をしている間にテーピングを付け終わった。


「ありがとうございます。」


九条さんが綺麗なお辞儀をしてお礼を言った。


「別に気にしなくてもいいよ。今自分にやれることしただけ。」


「やっぱり、今も変わらないね。」


「ん、今なんて言ったん?」


九条さんが小声でなにか言ってたけどなんて言ったんだろ、と思い聞くことにした。


「べ、別に何も言っていません。気にしないでください。」


気にしないで、と言われては何もできないので気にせず、このあとのことを聞いてみた。


「怪我したけど、送った方がいい?」


お節介かと思ったが、一応聞いてみることにした。


「大丈夫…、と言いたいところですが、そうしてくれるとありがたいです。」


「ん。」


(あれ、いつの間にか普通に話せてる…)


そんなことに気づきながら、心の中はとてもドキドキしていた。


こうして俺は学校一の美少女の九条さんを家まで送ることになったのだ。













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