第4話 日常④

今日の授業が全て終わり、放課後をむかえた。


 部活のある悠真とは別れて、特に部活のない俺は、そのまま目的地へ向かうため廊下を歩いていた。

 そして、いつも座っている場所に行くといつもどおり先客がいた。


「こんにちは、先輩。」


「ああ、千紗乃。」


 そこには、神崎 千紗乃(かんざき ちさの)がいた。


「先輩、このラノベ面白いですよ。この主人公がヒロインを振ったのに、それでも諦めずにアピールして文化祭のイベントで告白してくれたのに、復讐心で振り返すんですよ。」


 隣の席に座りながら、応えた。


「ああ、これね。それまじで面白いよな。ヒロインはようやく恋が成就しそうだったのに、復讐心のほうが強くて振るなんていままでの作品でもなかったから今でも笑えそうだわ。」


 2人して少し大きな声で笑ってしまった。


(あっ…、やべぇ…)


 そのとき自分たちのやってしまったことに気づいた。


「おい、コラァ。図書室なんだから静かにしろや。そんなことも分からんのか。」


 私立聖令高等学校では、図書委員というものがなく、図書室での業務は日替わりで先生が行うのだ。 たまにサボる先生もいるが…。

 しかも、今日が運が悪く、生徒指導の中内先生が今日の担当なので、近くにある空き教室へ連れられ、そのまましつこく大きな声で説教してくる。








「わかったかァ。」


「「わかりました。」」


 やっと終わったか、クソジジイが、ということは心の中で呟き、しっかり返事を返し、1時間程続いた説教が終わった。


「ふぅ、先輩、やっと終わりましたね…。」


「あのジジイは本当にめんどくさいからな。」


 先生と先生への愚痴を呟く。


「先輩、話戻しましょ。というか先輩は面白いラノベないんですかぁ。」


 俺は「んー」と唸りながら考える。


「あ、これなんてどうだ。」


 俺はそう言って、スマホで検索をかけ、目的のものを千紗乃に見せた。


「これ見た事ないですね…、どんな作品なんですか。」


 その質問に答えようとした時、図書室閉館時刻の5分前まで迫っていた。


「もう帰らないと行けないな、あのクソジジイがちょっとしたことで時間使いすぎやがって…。」


「まぁ、仕方ないですね。」


 俺らはそのまま学校を出て、そのまま校門前で別れた。






 学校を出てから5分ほど経った頃、俺はまだ自宅へ向かっていた。

 そして、帰宅途中にある曲がり角で誰かとぶつかってそのまま倒れてしまった。


「だ、大丈夫ですか。」


「俺は大丈夫で、って九条さん!?」










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