第2話 日常② 2023 3/21 更新
「あぁ、疲れた…。」
「お疲れ様、あの先生ほんと気まぐれで当ててくるからめんどくさいよなぁ。」
「ほんとにな。」
田中先生はよく気まぐれで難問を出してくるのが、1番めんどくさいところ。それ以外はしっかりしてるのに…。
「そういや、さっきの九条さんすごかったな。あんな難しい問題一瞬で解いてたよな。」
「ああ、あれはすごかったな。」
そう言い、俺と悠真は九条さんのほうを向くと、こちらを見ていて満更でもない表情をしていた。
そして、こちらが見ているのを気づくとすぐに目を逸らした。
「九条さんこっち向いてたけど、もしかして悠真に好意を抱いてんのか、すげぇなお前学校一の美少女にまでモテて。」
「そんなんじゃないかもしれないぞ。みんながみんな俺を見ていると訳じゃないだろ。」
「うわー。モテるのに謙遜しやがって…。」
俺がそんな事話していると、
「坂本くん。」
と、クラスの女子が悠真に話してきた。
この女子は、栗原 小春(くりはら こはる)だ(ったはず)。黒髪の腰まで伸ばしたロングの髪の毛で九条さんほどではないが容姿端麗である。あと学年でもTOP10くらいには成績も良かったっけな…。
ていうか、女子と話さないし、名前をあまり覚えてないな。
「何か用かな、栗原さん。」
ほっ、名前間違ってなかった…。失礼だからしっかり名前を覚えるようにしよ…。
「あのさ、昼休みご飯一緒に食べない?」
昼休みにまだなってないのに、昼のお誘いって…、
去年もほぼ毎日誘われて食べてたらしいけど、そんな競争がすごいな…。
「ああ、いいよ。」
「ありがと。」
と栗原さんは冷静に装っているが、めちゃくちゃ目が輝いていて、気持ちが隠せていない。
栗原さんは近くの椅子を持ってきて、前の席に座る悠真の隣に座る。
こういうところでも、悠真がモテるということをつくづく思い知らされる。
「あの、坂本くんはなんで休み時間のとき、斎藤くんとよく話しているの?、九条さんのグループワーク話すほうが雰囲気的に楽しそうだと思うのだけど…。」
(ん?、あれ、これ俺って遠回しに陰キャでつまらない奴って思われてないかな…。)
俺はそのことにひどく落ち込んでしまった。
いくら自分が陰キャでモテない奴だと自覚していても、ここまで近くで話されていると、俺としては次の授業が頑張れないかもしれない。
「やっぱり、あんな感じのグループで話すのもいいけど、それよりも仲がいい親友と話してるほうが、気兼ねなく話せて楽しいからかな。」
(なんだよこのイケメン…、こんなに心もイケメンて…、こんなの俺が適うわけない…。)
俺は悠真の言葉で次の授業が少し頑張れそうに思うのと同時に、悠真の全てがイケメンすぎて俺と釣り合わないじゃないかと不安になってきた…。
そんなことを思っていると、栗原さんが「へぇー…。」と言って、品定めするような目を俺に向けてきたので、俺は少し体を強ばらせてしまった。
そのときちょうどその時、2時間目の授業の予鈴が鳴ったので、栗原も自分の席へと戻っていった。
そのまま前にいる悠真が話してきた。
「また、誘われちゃったなぁー。」
そんな事言いやがって…。自慢かよ、と思い、俺は少し悪態をつきながら、
「羨ましいわ…。まぁ、いいや。昼休み、行ってこい。」
と言い返した。
「おう。ていうかお前が決めるようなことじゃないだろ。」
と笑われながら、返された。
そのタイミングで、先生が入ってきて、授業が始まった。
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