テディ・僕
冬眠
テディ・僕
僕には、お友達がいる。
テディベアのテディ。
彼は、僕の中でいつも優しく頭を撫でてくれた。
今日も僕はテディとお留守番だ。
ママもパパも出かけてしまった。
僕はテディのことをぎゅっと抱きしめて帰りを待っていた。
気づくと僕は寝ていた。
外はもう暗い。
少し寒くてくしゃみをする。
ママもパパも帰ってきていい時間なのに、まだうるさくない。
僕は、テディと一緒にリビングに向かった。
ママもパパも眠っていた。
部屋は暗い。
床にテディを置くとペチャっと音がして、テディが汚れる。
ママもパパも僕のことを怒るのに、汚してるなんて酷いよ。
ママもパパもぐっすり眠っているから、僕は冷蔵庫からプリンをとって静かに食べた。
贅沢だ。
テディは、汚れて臭いけど、それでも大好き。
僕はテディを持って、お外に出た。
久しぶりのお外。
ママとパパが僕は病気だからって外に出してくれなかった。
今日は特別。
僕は、綺麗なお月さまを見て、きれいだなって声を漏らす。
僕は、道行く人の小さな悲鳴を横目にルンルンで歩いた。
僕は、自由だ。
僕が歩く道は、テディが汚したが、気にしない。
大人は怖いと僕は知っている。
僕は、おもむろに走り出すと、青い服の大人たちは、簡単に僕を捕らえた。
僕は、何も悪くないはずなのに酷く怖い大人が目の前にいる。
笑っているが、笑っていない。
僕は、テディが落ちてる包丁がきれいだというから、拾っただけなのに。
僕は、ずっとテディと一緒にいたのに、僕は独りぼっちだと言われた。
僕は5歳なのに、20代くらいと言われた。
きれいなパジャマなのに、赤く汚れたパジャマと言われた。
僕はどこもおかしくないのに、なんでそんな目で見るの。
パパもママも僕のことを大切にしてたけど、寂しかった。
きっとテディが助けてくれたはずなのにまた僕は、閉じ込められた。
俺たちは、どこもいけなくなるんだよ。
ねぇ、僕、寂しいよね。
寂しいね、テディ。
テディ・僕 冬眠 @touminn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます