第17話 新たなる情報


「俺の親のあなたのことだ。なんで俺がこう思ったかもわかってるはずだ。」


「んー知ってはいるけどそこまで心配になる問題でもないからねー。話すと長くなるし別に今のままでもフツロは強いから大丈夫だよ。」


バンッ!

フツロが机を叩く。


「じゃあなんでフェルテフェリスじゃないんだ???なにか理由があるはずだ。」


「おっと、、反抗期かい?歓迎するよ??」


フン

フツロがそっぽを向いている。


「なんの説明もないなら俺はもう用事はない。」


「分かったよ。とりあえず一個だけ教えるよ。まぁなんだろなフツロの魔法がまだ未完成で成長中ってことかな。」


「成長中?じゃあどうすれば完成するんだよ。」


「それは自分で考えようか。簡単なことだけどね。」


「分かったよ。じゃあまた」


「うん、また。」


こうしてフツロは自分の魔法が未完成であるという事実を知った。


(魔法が未完成?どやいうことだ。技が作れないとかならまだ分かる。未完成ってことは魔法が変わるってことか?確かに最近俺の未来視はおかしいが、じゃあ何になるってんだ?)


フツロはフェリシダットのフリースペースで1人黙々と自分の魔法と向き合っていた。


タッタッタ

人の歩く音が聞こえる。フリースペースなので人の出入りは多い。

考え事をするにはあまり適さないとフツロは感じ、移動しとうと立ち上がった時。


「お、フツロじゃないか。」


「あ、エスパさん。久しぶりです。」


エスパシオ ブログエア。フェルテフェリスの1人でりあとレアトの世界の人間をなぜか少し嫌ってる。


「なんでこんなところに?」


「いや、ボーッと適当に歩いていたらいつの間にかここにいて。そういうフツロはなにかあったのか?浮かない顔をしているぞ。」


「いやー実は、、」


フツロはエスパシオに話した。自分の魔法が完成していないこと。その他諸々。


「まぁそゆいう悩みはあるわな。ここじゃ人に聞かれるし俺の部屋来い。」


「あ、はい。」


フェルテフェリスは例外を除きだいたいがフェリシダットの特別棟に部屋を持つ。普通の俺みたいなフェリスは居住区があるのでそこに住んでいる。


「部屋って聞かれるとまずいですかね、この話。」


「いやそんな事はないが、アドバイスするにあたって俺の魔法の話にもなるからな。」


フェルテフェリスの中には自分の魔法を隠している人もいる。知られるとどこかに漏れて攻略されてしまう可能性があるからだ。フェルテフェリスにそんな心配は無用だと思うが、エスパシオさんは用心しているらしい。


ガチャッ

エスパシオの部屋に着いた。

見るからに高級なドア。中に入らずとも分かる。


(これ、豪邸だ。)

「失礼します!」


こんな豪邸に入るとなると緊張しないものはいないだろう。


「まだ俺の部屋は綺麗な方だ。他の奴らの部屋なんて汚いにも程があるぞ。まぁとりあえずソファにでも座っててくれ。」


フツロは高級そうなソファに座るのを拒み、床に正座した。

親がフェリシダットの創設者と呼ばれているフツロだが、ハセリからは特に何もされてなく普通のフェリスとして扱われるのでこのような高級なものを見る機会はあまりない。


カチャッ

「紅茶だ。飲めるだろう?」


「あ、はい!」


高級な紅茶がテーブルに置かれる。

それに合わせてフツロは床から椅子に座る場所がアップグレードされた。


「よし、お前の魔法が成長中って話だったな。結論から言うとお前の今の状況は昔の俺と全く同じだ。」


「え、同じ状況??」


「俺の今の魔法は俺がフェルテフェリスになった時に変わった。フツロの言い方で言うと完成した。」


「昔の魔法って聞いても良かったですか?」


「昔か??俺の昔の魔法は遮断だ。なんでも遮断する。それをまぁなんだ使いまくってたら勝手に成長して変わっちまったよ。そんで今の魔法になった。」


「、、使いまくるべきか、、」


「まぁ別に完成しなくてもお前は正直フェルテフェリス並みだと俺は思うがな、終奥も修得したんだろう?」


「なんでそれを!」


「フェルテフェリスの情報網は凄いから。単純なこと。」

ニコッ


エスパシオの笑顔。

(エスパさんも笑うんだ、、)


プルルルルッ!

フツロの携帯が鳴る。

相手は父のハセリだ。


「はい、フツロです。」


「あ!もしもし〜!フツロにピッタリかもしれない任務があったから知らせようと思って〜。とりあえず任務送っといたからよろしく〜。」


ガチャッ


「あ、ちょっと!」

ツーツーツー


言う事だけ言ってすぐに電話を切ったハセリ。自由人だなと思っていたフツロだったが、そこにエスパシオが声を掛ける。


「もしかしたら流星かもな。」


「ガチですか??」


流星とは現時点ではレベルの測定不能の任務かフェルテフェリスが同行またはフェルテフェリスのみでの任務。

任務を確認するとそこには二つの任務が来ていた。メッセージ付きで「好きな方をどうぞ!」

そのどちらともが流星のマークがついている。つまりはそういうことだ。


「しかもさっき知ったが、今回でカイードと呼ばれる新しい新種が出たことから流星は最低でも2人以上は行かないといけなくなった。」


「フェルテフェリスは1人でも良いそうだが、お前行く相手いるのか?」


「勝手ですが、レアトを連れて行きます。少し日にちを置いて。」


「そうか。あいつは強くなるから安心だな。」


フツロは自分の魔法の不安を解消するべく、レアトと任務に行くことをレアトに報告する。


(今度はフツロさんとかよ。きつすぎ。日にちは先らしいけど、、まぁ今度は頑張って自分の力でやりたいな。)


お互いがお互いの目的のために流星の任務に向かうことが決まった。


***

翌日。


朝起きてすぐにフェリシダットにきたレアト。ナビを頼りに一般棟に向かっている。


(えっと、次の角を左と、、)


ドン!

歩きスマホをしていたので角から走ってくる子供に気が付かず、激突してしまった。


「前見て歩けよ!この野郎!」


頭を痛そうにしながら生意気な口調でレアトに注意する。


「あ、ごめんね。大丈夫??」


「大丈夫に決まってるだろ!もー!急いでるのに!」


タッタッタ

急いでいた少年はそのまま走り去っていった。


(あの子なんだったんだろう。)


レアトはそのままナビに従って一般棟の訓練室に向かった。

訓練室に着いたレアトだったが、その訓練室を見て少し驚いていた。

訓練室とかかれた明らかに学校の教室がズラーと並んでいる。その一つの訓練室にいたフツロが外にいるレアトに気付いたようで外に出てくる。


「おぉ!レアト!来てくれたか!」


「いや、来たのはいいんですけど、これって教室ですよね?」


「あーまぁ簡単に言うとそーなるか。この訓練室は子供用の訓練室で学校も兼ねている所。一応フェリシダットは国だからな。一般人も住んでる。その中でフェリスになれる可能性、もしくは目指すものがここのフェリシダット学園に入学することが出来る。まぁ学園と言っても学園感は0だけど。」


「つまり、たくさんの候補生がいると??」


「そーなるな、レアトの年ぐらいになると明確になれるやつとなれないやつに分かれるから減りはする。レアトは特例中の特例で特別待遇だからな。知らなくて当たり前。」


「こんなとこに僕が顔出して何するつもりですか?」


少し嫌な予感がしたのでレアトはフツロに質問してみた。嫌な予感が当たらなければいいのだが、、、


「簡単な話、先生の手伝いしてくれ!」


「やっぱりか〜。」


嫌な反応が反射的に出てきてしまった。

人前に出るなんて絶対に嫌なのにそれに加えて何かを教えるなんてもってのほか。

断りたいが、断る勇気がない。


「やれることはやります。てか、任務の話は?」


「そんなん後でも出来る!今は挨拶してくれ!一応ここの担任だから!」


(もうなんでもいいや、、)


ガラッ

フツロがドアを開け、教室に入る。

中に入るまで気づかずにいたが、全員一言を喋っていなかった。おそらく9.10歳ぐらいの子がほとんどだと思うが、この時期の子供は活発で静かにすることができない年齢のはずなのに先生?であるフツロがいないときにも静かにしている。


「よーし!お前ら!新しい先生紹介するぞーレアト先生だ。」


「レアトです。よろしく。」


パチパチパチ

静かな教室で不気味だったがレアトが自己紹介すると少し明るい雰囲気になった。

改めて教室を見渡すと一つだけ空いてる席があった。


「あの席はまぁすぐに来る。」


なにか問題のある子なのかな、と不安になりつつも少しやる気が出てきてたレアトだった。


「もうお前ら良いぞ〜。」


「はいはいはい!!!質問!!!!」


「え、ちょっとえ??」


あまりの状況の変わりようについていけていないレアト。子供たちが普通の子供ように僕に質問責めしてくる。


「何歳なんですか!?、、レアト先生はすごい人なんですか!?、、彼女いないんですか?!」


とても困惑しているレアトにフツロが手助けする。


「お前らー1回静かにしてくれ。」


ピタッ

質問責めが終わった。

それにまた困惑するレアトも見てフツロは笑っている。


「ハッハッハッ!おもろいなレアト。なんでこんな感じなのかって言うのはまぁ訓練の一貫ってことだな。メリハリをまずは意識付けさせるって感じだ。どんな時でもメリハリは大事だからな。やりすぎるくらいが丁度いい。」


あまりのやりすぎさにも驚きだが、それよりも子供たちがそれにしっかり対応しているのも凄い。訓練と言うのは伊達ではなかった。


「よーし。静かになるのやめてもいいが!少し落ち着けよー。」


空気が変わる。ピリついた凍るような空気とは裏腹に今はうるさくはないが空気が柔らかい。

さっきの訓練室にいる雰囲気とは違い、今は教室にいるような気分に変わった。


「とりあえずレアトはこの子たちにテキトーに授業してくれ。その辺はお前の世界と一緒。

訓練の時は担当がいるからそこは変わってやってくれ。」


「わ、わかりました、、」


「じゃ!俺はちょっと野暮用があるからあとは頼んだ!」


「え、ちょっと!」

(自分の訓練もしたいのに、、)


「はい!質問!先生はフェルテフェリスなんですか?!」


「あ、違うよ!」


急な質問に思わず答えがまだ整理がついていない。とりあえず質問に答えることにしよう。


「フェルテフェリスは先生できないんだよ!知らないのー?」


へぇーそうなんだと思いつつもここは一旦場を落ち着かせ自分のターンにしよう。


「みんな!ちょっと静かに!」


ピタッ!

すごいくらい静かになる光景はやはり怖い。自分の世界では考えられない。


「とりあえず僕の自己紹介をするから!その後みんなの自己紹介をして!その後僕に質問してほしい!」

(一旦これで大丈夫だろう)


「じゃあ自己紹介やるね。」


「あーさっきの空気戻っていいよ。」


ガラッ

そう言った瞬間に教室のドアが開いた。


「ゲッ!なんでさっきの野郎が。」


(え、さっきぶつかった子??)




〜〜〜〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る