第18話 新たなる情報②


「なんで、さっきの野郎がここにいるんだよ!」


先ほどの少年がレアトに向かって叫ぶ。

クラスメイトがその少年に新しい先生ということを説明すると、少年は少し嫌がりながらも自分の席に着席した。


「えっとーとりあえず僕の自己紹介しようかな。」


少し悪くなった空気を戻すためにレアトが自己紹介を始める。

自分が特殊な形でフェリスになったこと。

ここの世界の住人ではないと言うこと。とりあえず話せる事は話した。


「一旦このへんにして、質問ある人はいますか?」


「はい!」


ほとんどの生徒が手を挙げる。

レアトは誰でも良かったので適当な子を当てた。


「魔法はなんなんですか?!」


やはりフェリスの候補生なだけなって質問なフェリス関連のものだった。


「僕の魔法は操作です。色々な工夫をして使ってます。」


「どーやって発現したんですか???」


「発現はフツロさんとエボさんが協力してくれてそれで発現しました。」


「ありがとうございます!!」


まだ質問がありそうだったが、生徒たちのことを知らずにいるのも嫌だったので自己紹介してもらうことにした。


「まだ質問あると思うけど、君たちのこと知らなさすぎるからみんな順番に自己紹介してもらってもいい?」


生徒たちが自己紹介をしていく。もちろんすぐに覚えれるはずもないのでゆっくり覚えていくことになるだろう。

そして、先ほどの少年の順番が回ってきた。


「グローリア リーアス。」


「グローリア リーアスくんか。いい名前だと思うよ。」


グローリアはレアトの発言に対してそっぽを向く。

みんなの自己紹介が終わったので、レアトは色々な質問を生徒たちに投げかけた。

魔法が発現してる子はいるのか、発現してたらなんの魔法なのか。一般棟の居住区はどんな感じなのか。疑問に思っていたことを色々聞いて、レアトは新しい情報をどんどん取り入れていく。

レアトが顔を出すことになるここのクラスの生徒たちはフェリスになりたいと志願してきた生徒たちのクラスで他にも推薦組のクラスがあるらしい。ただそこからフェリスになれる可能性は低く、魔法が開花しない子がほとんどらしく開花しなかった子は一般兵になるかの選択をするとのこと。


なのでフェリスのレアトは生徒たちにとって貴重な人と言うことになる。少しでもフェリスと関われるようにフツロはレアトを呼んだのだろう。


そして、この学園は一応候補生たちの学園なので普通のところとは違い。あまり通う必要がないらしい。聞くところによると通う日は体術や魔法の訓練の時だけで基本は家で出される課題をこなすだけでいい。訓練と言っても発現していない子たちがほとんどなので座学がその大半を占めてはいるが発現させるための訓練もあるらしい。

つまり、今日は魔法と体術の訓練がある日ということになる。


「えっとー色々教えてくれてありがとう。とりあえず僕は今から何をするべきなのか分かる人いる???」


フツロに急に投げられた先生の仕事なので、何をしたらいいか全くわからずにいる。


「魔法の授業したらいいと思います!」


「じゃ、じゃあ適当にしてみるよ。不甲斐ない先生でごめんね。」


「フン!頼りなさすぎだな。」


「そんなこと言っちゃダメだよ!嫌われるよ!」


「そんなのしらねぇー。」


態度の悪いグローリアを見て逆に安心したレアト。


(いつもこんな感じなんだろうな〜)


「んー魔法の授業かー。」


何をしたらいいのか分からないレアトだったが、一つのいい案が出てきた。


「じゃあ!この前の任務で遭遇したカイードの話をしよう!」


新しくでてきた新種のカラーミーのカイードのことを教えることにした。新しくでてきたのでこのことをしる生徒はほとんどおらず、フェリスの中でりあとレアトしかまだ対峙していないので貴重な経験を教えることにした。


***


ガラガラガラ


レアトがカイードに遭遇した時の任務について話している途中ハセリがドアを開けて教室に入ってきた。


「みんな〜お疲れ〜!ハセリさんだよ〜!」


「わっ!ハセリさんだ!」


「ごめんねレアト。邪魔しちゃった?」


「いや、丁度よかったぐらいです。」


実際任務の話が終わりそうな時だったので、次の話に困りそうになるタイミングで来てくれたので少し助かった。


「そ!それはよかった!丁度終わりそうなら次は僕が代わるからレアトはフツロの所行っておいで!」


「ハセリさんが先生してくれるんですか!!!」


生徒たちからのハセリの人気は凄まじいもので、一応フェリシダットの創設者なんだなと再認識した。


「じゃあ僕はこれで、、みんなまた。」


「ありがとうございました!」


「フツロには連絡してるから。よろしくね〜」


親子揃って自由気ままに生きているのでこの2人と関わっているフェリスの人は大変なんだろうなと心底思う。

今回は助けになったが、、


レアトはフツロに連絡をとり、フツロの待つフリースペースへと向かった。


「あ、いた。」


「おぉ来たか、お疲れ。」


少し真剣な顔をしているフツロにレアトはなんでいきなり先生をしろと言ったのか聞けなかった。


「任務の話ありますよね?それ聞きます。」


おそらく真剣な理由が任務だろうと察したレアトはすぐに任務の話に持ち込む。


「あぁ任務の話もそうだが、、魔法についても考えててな。」


フツロはレアトにも自分の魔法のことを話した。


「確かに使わないと成長はしなさそうですよね。フツロさんはあんまり任務に行かないんですか?」


「まぁ行きはするが魔法を使わない簡単なやつには行く。基本あの子たちの訓練を見るのは俺だから。その時に未来視で一人一人にあった教え方を見つけてる。」


「一応使ってはいるんですね。」


「でも、多分この使うって言うのは自分の命に関わる時に自分を守る術として使うと言うことだと思う。戦闘経験をすることでの成長なんだと、でももしこの任務でカイードが出てきたりすると、俺はレアトを守れない。」


「じゃあなんで俺を?」


「流星の任務には基本フェルテフェリスが1人いるのが最低条件だ。だが、俺はあの馬鹿親からの推薦で行くしかない。推薦をかけられると言うことは、フェルテフェリスと同格と言う事。ここで2人目をフェルテフェリスの中から選んだら俺は確実にその人に甘えてしまう。戦闘系の魔法じゃないからな。だからお前を選んだ。」


「要するにフツロさんより強すぎるのはダメだからまだフェリスに成ったばかりの俺を連れて行くと言うことですね。でも僕はほとんどのフェリスと違う特徴があります。」


「なんだ?」


「俺はカイードを見ている。」


そのレアトの眼光にフツロは驚いた。あまり見たことのない。けれど、見たことはあるその眼光。フツロはやはりレアトにして良かったと思っている。


「ハッ、そうか頼もしいよ。」


「とりあえず今回の行く場所はどこなんですか?」


「今回行くのは、オスカル帝国にした。別の名を漆黒の町オスカル。」


「オスカル帝国、、、レベル流星、、、」


「おそらく、いや絶対に、カイードがいると思っておいてほうがいい。今回の目的はそのカイードを倒すこと。生半可な気持ちで行くと死ぬかもしれない。

入念に準備をして一週間後出発だ。」


「了解。」


こうして2人はオスカル帝国に行くために入念な準備を進めていく。


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