第16話 初任務⑥

オーガンの死体を回収したレアトとりあ。

初めての相手。人間化したカラーミーと言う新しい新種カイード、それを調べるための回収なのだがその状況を知らないものがそれを見ると人殺しにしか見えなかった。


***


「早く帰ってエボさんに調べてもらわないとね。」


「人型のカラーミーなんて初めてだよね。」


「聞いた事ない。他の支部からもそんな情報が無いから。おそらくこれが初めての個体ね。」


「フェリシダットに他の支部なんてあったんだ。」


始めて知ることになった他の支部の存在。

聞くと今自分がいるフェリシダットが中心になっていて、他にニザヴィース、バッガーディー、アピナ、オキオン、ディーキェ、ジャポーニャと呼ばれる組織が存在する。全部フェリシダットなのだが、組織リーダーが名前を付けたのでこう呼ばれているらしい。

ほとんどが国と一緒になっていて、その中でも驚いたのがフェリシダットも一応国らしい。ただフェリシダット王国は他の国とは連絡を取らない主義なので他の国の情報が流れてくるのは遅い。今回の隣国のゾージーニ王国の件も遅くなったらしい。

なぜフェリシダット王国が独立できているのかと言うとエボさんの存在だとりあは言う。

あの人の魔法はなんでも造れるから他の国から何か貰うとかするのであれば、エボさんが造った方が早いとの事。

つくづく思う。あの人はえぐい。


「おそらくこれからカイードの件で他の支部に行くことが増えると思うから学校行けなくなるかもね。」


「ん〜なんか嫌だけど理由考えるのめんどくさいね。」


「休学すればはやいと思うから私休学するかも。」


「えぇ!高校生で休学なんて、もったいないよ!」


「別に私の勝手ですので。」


カイードの死体を持ちながらいつものような会話をする中々に気味が悪い状況だったが、車(テント)に到着し、ひと段落つくことにした。


「今日は疲れたし出発は明日にしよう。このカイードの死体は大事に保管しとくから。」


大事にしておくと言ってた割にその保管方法は車にある冷凍庫に詰めるというものだった。余計に殺人事件臭がするのだが、ここは目を瞑ろう。


(初任務は無事に終わったけど自分の謎が増えるというか分からないままになったけど、、記憶を無くさずに戦えるようになりたい。)


レアトは、自分が記憶を無くしている間どう戦っているのかは詳しくは知らない。

ヌエボには二重人格なのではと言われただけでどうなってるのかは教えてくれなかった。

おそらくりあも教えてくれないだろう。


「りあ。僕の暴走について詳しく教えてくれないか?」


「詳しくは分からない、遠くから見てたから。とりあえず暴走してたしか分からない。けど確実にあれはレアト君では無かった。」


「そっか。」


本当にわかってないのか、濁されてないか不安になる返答だったがりあの事なので前者であると信じたい。


「いつか分かると思うよ。初任務お疲れ様です。」


「あ、ありがとう。」


そのまま2人は学生の空絵りあと結城レアトに戻り、会話を楽しみ眠りについた。


***

次の日2人は起きてすぐに車を走らした。

何事もなくフェリシダットに戻ることができ、レアトの初任務は終了した。


「あ、いた。」


「お、りあさんじゃないですか。レアトの初任務お疲れ様です!」


「とりあえず調べてほしいのあるから来てください。」


りあはヌエボに遭遇するとすぐにカイードの死体を見せた。


「もしかしてこれカラーミー?新種も新種ですね。人間化したカラーミー、カイードか、」


「自分たちはカイードと呼ぶって言ってたから、おそらく私たちが知らない間にカイードの組織があります。」


「ですね。とりあえずハセリ様と他の支部に連絡しときます。この死体は貰いますね。」


「お願いします。」


***


(戻ってきたはいいけど、ここどこだ、)


戻ってきたと同時にりあと逸れ、迷子になっていたレアト。


「お、見つけた。よっ!」


「あ、フツロさん。お疲れ様です。」


「初任務だってな!お疲れ。どうだった?」


「人間化したカラーミーに遭遇してなんとか倒せはしました。」


「、、そうか。前ちらっとみた未来に人間だけど肌の色がカラーミーみたいなやつを見たんだけど、レアトの前に現れたか、」


「何かおかしいんですか?」


「少しな、俺の未来視は俺目線の未来が見える。俺が見たってことはその新種は俺の前に現れるはずだったんだか、なぜかレアトの前に現れた。なにか狂ってるのか、レアトの力なのか、俺の魔法が成長してるのか、、まぁ成長してると信じてるがな。」


「きっと成長してるんですよ!」


「だな!ところで明日暇か?こっちに顔出して欲しいんだけど、」


「こっち?」


「あぁ一般棟の訓練に顔出してほしいんだレアトのことみんな知らない人が多いから。」


「一般棟とかあったんですか?!」


レアトが今まで訓練していたところは特別棟でフェルテフェリスと選ばれたフェリスしか入らない棟らしい。レアトは直接その棟に行っていたので知らなかったし教えてくれる人もいなかった。

レアトが迷子になっていたのはそのためである。


「明日は大丈夫ですけど、ここの行き方知らないから教えてほしいです。」


「あ〜それもそっか、じゃあとりあえず父さんの部屋行こう。俺用事あるし特別棟だからちょうどいいや。」


「お父さん?」


「あれ?言ってないっけ?俺の父さん。ハセリフェリシダット。」


「えぇー!!!ハセリさんがお父さん!?」


「まぁ知らなかったら驚くよね。フツロ フェリシダット俺のフルネーム。とりあえず行くぞ。」


驚いた口が塞がらないままフツロに連れてかれたレアト。特別棟に着いたころには塞がってはいたが、驚きのせいで特別棟までどうやって来たか覚えていない。


「あの〜驚きすぎて特別棟までの道覚えてないです、、」


「えぇ!もぅー。とりあえず携帯みたら分かるからもう大丈夫でしょこれで。」


最初からそれで良かったのだが、、と思いながらも2人はハセリの部屋の前にいた。


「部屋に着いたからと言っているとは限らないからな。あの人。まぁ今回は未来みてるから大丈夫だけど。」


トントン

部屋をノックする。


「どーぞ。」


静かなハセリの声が2人を歓迎する。


ギィ

レアトはドアを開けハセリの部屋の全貌を知る。その部屋はごく普通の社長室のような部屋で本が大量にある。どの本も見たことがなく、こちらの世界の本だなと思っていると一部だけよく知っている本というか漫画があった。


(あ、あれしおんとりあが好きなやつだ。)


ハセリはその漫画を読んでいる最中だった。


クルッ

ハセリは座っている回転型の椅子を回転させこちらを向く。


「あれ、レアトじゃん。フツロだけだと思ってたのに。」


「あ、いや一応フツロさんに連れてこられて。」


「レアトの初任務が終わったと言うのを本人から報告させようと思って。」


「そーゆーことね。で、カイードはどうだった?」


「え、なんで、?」


「さっきりあとヌエボが来てね。その時聞いたんだよね。」


「強かったです。僕はほとんど何もしてないですが。」


「りあは強いでしょ?多分まだまだ本気になれば強いからね。」


「フェルテフェリスはつくづく凄いと思います。」


「フェルテフェリスのほとんどがここの本部にいるからね。切磋琢磨してるらしいよ。」


「他の支部にはいないんですか?」


「他の支部には父さんレベルの組織リーダーが仕切ってるから心配ないんだよ。本部に比べてカラーミーの出現も少ないからな。でもいるところもある。」


「説明ありがとうフツロ。そーゆーわけだ!とりあえず君は本部にいるべきってこと。二重人格の件も調べないとだしね。」


レアトには強くなる以外の課題としてこの二重人格を解決しないといけなかった。

このもう1人の自分になっているときにフェリシダットを襲う可能性だってゼロではない。そうなる前に早く解決しないといけない。


「まぁとりあえず初任務お疲れ様。今から親子の時間だからレアトは今日は帰っていいよ!」


「了解です。お疲れ様です。」


レアトは部屋を出て2人の親子が残る。


(近くで見たらやっぱり似てたな。それにしてもハセリさんは見た目の割に結構な年なんだな。)


「それで、一応聞こう。なんの用事?)


「わかってるくせに、、俺の魔法についてだよ。」


凍りつく空気が流れる。


「俺の魔法、未来視じゃないだろ?」




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