第13話 初任務③

頭痛を感じだレアト。

次目を覚ました時には目の前に2体のカラーミーの死体が転がっていた。


***

〜遡る事3分前〜


「あはっ!やっと変われたぜ!おいカラーミー遊ぼうぜ〜!」


驚く2体のカラーミー。細胞レベルで死を覚悟する。


ズサッ


一体のカラーミーは腰が引け倒れる。

もう一体は走って逃げる。


「おいおい、遊ぼうっていったよなー?おもんな。死ねや。」


ブシュ!


腰が引けたカラーミーの首が潰される。


「すぐ終わるのもあれだから!あいつで遊ぼっと!!」


逃げるもう一体のカラーミー。嘲笑うかのように追いつき先に回る。


「バァ!お前の真似〜」


ドン!


蹴り飛ばされるカラーミー。


ガシッ!


頭を掴まれて無理やり起こされたカラーミー。


「反撃しろよ。チャンスやるからよ〜。ほら!」


頬を差し出され、反撃のチャンスを貰うことが出来たカラーミー。だが、カラーミーが起こした行動は意外なものだった。


ブシャッ!


自害したカラーミー。


「あーあ、死んじまったじゃねーか。おもんね〜。まぁいっか。」


スッ


レアトの視界に広がるカラーミーの死体。何が起きたか分からないレアトだが、そんな時間はない。


(りあの援護に行かないと!)


トン


肩を叩かれたレアト。


「お疲れレアト!なんとか倒せたみたいだな。」


「う、うん。僕の力じゃないんだけどね。」


「また後でその話は聞くよ。今日は戻って休もう。魔力尽きたし。」


そして、2人は崖を上りテントを立てていた場所に戻った。


この車にはいろいろな物資があるので生活には困らない。

車といってもキャンピングカーに似ておりシャワーまで付いているのでりあとレアトは戦いで出た汗を流す。


「レアト君。あのびっくりさせてごめん。技使う時テンション高くなるの癖で、、」


「良いよ、なんか今いうのもアレだけど面白いというか意外だったし。」


「笑うのは良くないですね。とりあえずご飯食べながら話聞くから。」


2人は車にあったご飯を食べ、話に戻る。


「それであの暴走は何?」


「え、なんで暴走って、、」


「なんでって見てたからよ?助けようとしたら暴走してすぐに倒しちゃうから?」


「りあは大丈夫だったの??」


「私は一瞬で片付けたよ。正直10体も余裕だったけどレアト君の為に2体あげたの。」


あれ10体が余裕なんて驚きにも程がある。


「一体なんでそんなに、」


「あんなカラーミー達、終奥使ったら一瞬!!」


「終奥使ったの?!見たかった。」


「終奥はあんまり使わないからね。使う時全魔力が尽きちゃうから。」


驚愕のデメリットを聞いてしまったとレアトは思った。


「そんなに驚かなくても終わりの奥義っていってるじゃん。」


確かに今言われて気づいたが終わりの奥義だとあまり使いたくは無いだろう。そんなに強い技、実際気になる。

レアトは終奥の妄想を頭の中で繰り広げていた。


(僕も終奥修得したい。)


「ねぇりあ、終奥って、」


「あ、あのー」


シャッ!


レアトがりあに質問をしようとした時知らない誰かの声が聞こえりあとレアトは物凄い速さで戦闘態勢に入った。


「あ、違うんです!僕ゾージーニ王国の生き残りで、、」


みるとその子はレアト達よりも遥かに年下の少年だった。


「君、名前は?」


「オーガンです!」


「オーガン君はなんでここに?」


「僕の故郷がずっと燃えてていつか消えないかなってずっと毎日見に来てたんだ。そしたら今日消えてるところがあったから上から見たら2人が戦ってて跡付けてきちゃったんです。」


「オーガン君は今どこに住んでるの?」


「近くの小さな村に、家族で、、ゾージーニが燃えた時僕たちは地上にいたから助かったんです。けど、友達とか、みんなが、死んじゃって、、みんなが生きてたよって証の何かが欲しくてずっと見に来て、そしたら、、炎消えてて、ぐすっ。」


「あー!!ごめんね。大丈夫だよ!!僕たちがあの炎全部消すから!」


「ほんと?」


「ほんとさ!な!りあ!」


「消すことは可能ですが、何か遺品を見つけるのはあなたの役目ですよ?」


「分かってる。分かってるよー。ウァゥウェーン!」

泣き出したオーガン。


「ちょっとりあ!言い方!」


「え!?今の言い方は大丈夫なはず、、ごめんね、オーガン。」


「グスッ、うん。」


「でもこの子が探すってことはこの子を連れて行くってこと?」


「別に居ても居なくても変わらないので大丈夫です。私強いので。」


「オーガン君は大丈夫なの?怖く無い?」


「、う、うん大丈夫。」


「すごいね!才能あるじゃん!」


オーガンという少年と出会った2人は彼の為に明日の行動を再確認し、オーガンを寝かしつけた。


「明日は一気に中心まで向かいます。カラーミーに遭遇しないためと今日の風翔で大体の場所はわかりましたので。オーガン君はレアト君がおんぶしてあげてください。行動開始時間は朝の7時頃気温が低いのでまだマシだと思うからこの時間にします。では寝ましょう。」


「う、うん」

(だいぶ早いな、眠いのかな?)


どうでもいい疑問を抱きながらレアトは眠りについた。


パラパラパラ


何か本のようなものを読んでいるりあ。


「やっぱりね。」



***


「レアトくーん。起きなさーい。朝ですよー。」


ハッ!

目が覚めたレアト。目の前にはりあがいた。

レアトを起こしてたらしい。

母と勘違いしてたレアトは勝手に恥ずかしくなっている。


「何してるんですか、さっさと準備してください。」


「了解です。」


赤くなった頬を隠すようにレアトは顔を洗いに行った。

再び車に感心するレアトほとんど家と変わらない空間に驚いている。車モードと家モードという二つのモードに変形するという優れものらしい。製作者はもちろんエボさん。


(あの人すげ〜)


ダブルピースをするヌエボが頭に出てきたレアト。イラッとしてしまう前に消す。


「うわ〜。」


3人でご飯を済ませていざ戦地に向かう。


「良いですか?レアト君はガキツカイを使って私についてくる。オーガン君はとりあえず耐えてください。」


「わ、分かった。」


「では行きましょう。」


崖の上からこんなに気合を入れなくてもと思っていたレアトだった。

ゆっくり昨日のように降りていくかと思いきやりあがレアトに投げ掛ける。


「ガキツカイ使わなくてもいいんですか。」


そういってりあは崖から落ちていった。


(「1人の時は飛んでいくんだけどね。そっちの方が早いし。」)


(ガチかよ!!)

能力を操るものガキツカイ!」


飛んでというより落ちていくりあ。レアトはそれに追いつくために崖を駆け降りていく。

オーガン君を体に縛っておいてよかったと心底安心するレアト。

りあに追いつくために高速で崖を走る。

地面が見えて来たので思いっきり崖を蹴り着地する。


ドン!

ビリリリリ!


受け身をせずに着地したので衝撃が走るがギリギリ耐えた。


「カラーミーが来る前に行きますよ!!」


ボワーーー!!!


風が空を切る音が凄まじい。低空飛行するりあの後ろを全力でついていく。空気抵抗を極力避けるためにと昨日言われている。低空飛行と同時に前方に風翔を使ってるりあ。

時間をかけると魔力が減るので時間をかけずに中心に向かう。


「着きました。」


「え?」


急に着いたと言われて慌ててブレーキをかけるレアト。幸い周りの炎は消えていたので100メートルほど進んだところで止まった。


タッタッタ

走ってりあのところへ向かう。


「炎先消してくれてたんだな、ありがとう。」


「いやここは元から消えてます。台風の目みたいに。」


周りを見渡すと確かに炎がない。

そして目の前には教会のようなものがあった。


「オーガン君。これは?」


「国1番の教会です。それ以外の情報は全く。」


「そうですか。」


ギィギィ


教会のドアが開く。


バッ!


りあとレアトの視線がそちらを向く。

ドアを開けたのは昨日も倒したカラーミーだ。


「やはりここにはエスピリトがありますね。」


エスピリトとはカラーミーが生まれてくる魔力の塊だ。レアトは特訓していた二ヶ月で知っている。もちろん対処法も。


「レアト君!サプレシオンは持ってますね?今から私がカラーミーを倒しながらエスピリトを探すので後ろをついてきてください。」


「了解。」


サプレシオンとはエスピリトを破壊するために作られた。魔力抑制剤だ。フェリシダットの中に充満しているのもサプレシオンである。


ドカン!


教会から出て来たカラーミーをいとも容易く蹴り飛ばし、3人は教会に乗り込んでいく。

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