第14話 初任務④

教会に入るとそこには大量のカラーミーがおり、一斉にこちらを見ていた。

侵入者と認識したカラーミーたちがりあとレアト目掛けて突撃してくる。それをいとも容易く薙ぎ払うりあ。レアトはただその光景を見るだけで良かった。


「あの、なんだか余裕そうなので降りても大丈夫ですか?」


「た、たしかに降りても大丈夫そうだね。」


チラッ


レアトがオーガンを降ろす所を確認したりあはさらにギアをあげていく。

倒すというより殺す段階に入ったのだ。


「また起き上がって来たら面倒なのでここにいるカラーミーたちは全て殺しますので、レアト君は血が飛ばないよう気をつけといてください。」


「わ、わかった。」


技なんてものはそこにはなくりあの攻撃に気づくものも居れば、気付かずただ死ぬものもそこにはいた。


おそよ100体のカラーミー達を殺した。見事に無惨な光景だった。


「フッー。一旦落ち着きましたね。」


入り口にいたカラーミー達はもう生きているものはおらず、りあたちはゆっくりと調査することにした。


それにしても死体のせいで調査しづらい状況になっているのは確かだ。なにか怪しいものはないかと最低限の調査をする。


調査をして分かったことは教壇の下に地下への入り口があったことのみ。りあたちはそこから地下への向かう。


***


「地下は先ほどまでと同じで行かないかもしれないので気を引き締めていきたいと思います。

レアト君も戦う準備をお願いします。」


「でもりあだけでも大丈夫でしょう?」


「大丈夫は大丈夫ですが、もしかしてがあるので。」


りあが保険でそんなことを言うのはよっぽどの事なのか、はたまた僕が戦って成長させようと思ってくれてるのか分からないが、それでも気は引き締めていかないといけないような空気感が確かに漂っていた。


ゆっくりと地下への進む階段を降りていくレアト達。ずっと暗い道だったが、目の先に光が見えた。


「おそらくあの光の所にエスピリトがあります。準備しといてください。」


「初めてエスピリト見るんだけど、、」


「大丈夫です。見たらわかります。」


ついに到着したレアト達。

眩しい光に目が慣れるのを待ってから地下の全貌を確認する。


「ここ地下にしては広すぎるし明るすぎないか。」


目の前に広がっていた景色はあまりにも明るく、あまりにも広い。地下とは思えないような場所だった。


「おそらくこれはゾージーニ王国の代表的な採石場じゃないでしょうか。明るい原因はゾージーニ王国でしか取れない石、光星石のせいだと思います。それにしてもこの量には驚きですが、、」


光星石と言うのは結構高値で売れるらしく、この量はおかしいらしい。


「レアト君あの奥に見える大きな岩みたいなのがエスピリトです。まぁ前にカラーミーのボスみたいなのがいるから分かるでしょう。」


この綺麗な光と空間の中にエスピリトはあった。エスピリトがどれか分かるというのではなく、エスピリトを守るカラーミーが居るからその後ろの岩みたいなのがエスピリトとわかると言うことらしい。


エスピリトを守るカラーミーは普通のと比べると強い。


今回戦っていたオレンジ色のカラーミーはブルーと同じレベルぐらいと予測されるので少なくともそれよりは強いと予想される。


「ちょっと隙を作るのでそのうちにエスピリトの破壊お願いします。」


詳しい破壊の仕方はしらないが、サプレシオンがかかれば魔力のバランスが崩壊して壊れるらしい。それにしても巨大な岩なので何回か掛けないといけないらしいが。


「じゃあ行きますよ。」


「了解。オーガン君はここで待っといて。」


、、、


返事がない。


「え?」


振り向くとそこにオーガン君の姿はなかった。


(どこで見失った?上で下ろしたところまでは覚えてる。その後僕は彼を見ていない。)

「り、りあ!」


気づいた時にはもうりあは飛んでカラーミーに向かって行ってるので声は届かない。


(今はやるべきことをやろう!)


ドンっ!


レアトが床を蹴る音が響き渡る。


***


(それにしてもエスピリトでかいな)


改めて近くで見ると大きいというのが再認識できる。大型バスぐらいの大きさである。そんなレベルのエスピリトを破壊するのだから相当な時間と労力が必要になる。りあに負担を掛けずにしたい。


りあはもうすでに戦闘を開始していた。


(やっぱり今までのより強い。おそらくこの一体以外にもどこかに潜んでいるから手間をかけずに倒したい。レアト君は、、)


バゴンッ!

りあがレアトに目線を向けた隙をカラーミーは見逃さない。素早いパンチをお見舞いする。


ドガンッ!

地下を支える大きな柱に激突する。


「カッ!油断した、」


さすがのりあも先ほどの100体を相手にしているので疲れが出て来ている。

時間をかけたくないりあは技を使うことを決意する。


「雷降1の型 瞬光雷撃しゅんこうらいげき


シュン!

りあが雷となり高速移動が可能となる瞬光雷撃。

この技を使う時はりあが短期決戦を求める時だ。


ブジャ!

カラーミーの右腕が宙を舞う。首を狙ったりあだったが、自分の死を感じたカラーミーは危険を察知し避ける事に成功していた。


シュン

りあが姿を現す。瞬光雷撃は一瞬の高速移動一度止まってしまえばもう一度発動するしかない。

ただりあは避けられる可能性があると気づいた。


「これを避けるフィジカルはあるのね。だけど避けれる場所が無かったらどうするのかな?」


「風翔1の型 獄風閉閻ごくふんへいえん


りあとカラーミーの周りに強風が発生する。


これはなんだと考えるカラーミーだが、自分に害は無いと判断するとりあに攻撃を仕掛ける。


ドン!

カラーミーの蹴りがりあに直撃する。

発生した強風のなかを飛んでいくりあを見て違和感を抱くカラーミーだが、それに気づいた時はもうカラーミーが死ぬ時だった。


ニヤッ

「さようなら。久しぶりに疲れたよ。」


かなりの範囲を囲っていた強風がだんだんとカラーミーを中心にその範囲を縮めていく。


逃げる場所がないカラーミー。体を縮め守ることに徹する。


風翔1の型 獄風閉閻。その正体は、対象を中心に強力な強風を発生させる。その強さは風に触れたものを破壊するレベルのもの。そのレベルの風で相手を閉じ込め徐々に破壊するという残虐な技である。


ブシャシャシャシャシャ!

カラーミーの体が粉々に破壊される音が響く。

りあの勝利だ。


***


(りあが戦っている間にできるだけのサプレシオンを)


エスピリトに近づくことに成功したレアト。すぐにサプレシオンで破壊しなければいけない所だが、エスピリトの中身を見て驚いた。

中には無数のカラーミーまだ小さいがもう生まれてきそうなカラーミーもいる。


レアトは生物の誕生に少し感動していた。

本来破壊するべき対象のカラーミー。生まれてきた理由も定かではないが、害を及ぼすからと破壊する。実際人間を襲っているから倒すべき相手なのだが、それでも生物が誕生する瞬間というのは確かに感動するものがある。


「ハッ!」


我に帰るレアト。サプレシオンの入ったカプセルを出しエスピリトに投げる。


パリン!

サプレシオンがエスピリトに流れていく。


バン!

するとサプレシオンが流れた部分が爆発にそれに応えるかのように連鎖的に周りのエスピリトが崩壊していく。中からまだ成長中のカラーミーが流れてくる。


(この調子でどんどんやろう。)


決心を決めたレアト。

順調に進んでいく。エスピリトの処理。

途中りあも合流して処理速度をあげていく。


「これで最後ね。」


バンッ

残ったエスピリトの残骸を処理したりあとレアト。

とりあえずの任務は達成だ。


「あとは外の火を処理しましょう。」


「あ、でもオーガン君がどこかに、、」


「とりあえず上にいるでしょう。上に行きましょう。」



***


上に戻ったレアトとりあ。

りあが倒したカラーミーの残骸を気にしながらオーガン君を探す。


「巻き込まれて死んでるなんてことはないと思うけど、、、いなさそうですね。


「そんな酷いこと無いとしても言わないでおこうよ。多分びっくりして外に逃げたんだって。」


そう言って2人を教会のドアを開ける。

唯一燃えていない場所が目の前に広がっていると思っていた2人。

目の前に飛び込んできたのは火の海。

先ほどまで燃えていなかったはずの部分が燃えている光景。


「え、なんで、、」


パチパチパチ

誰かの拍手の音が聞こえる。


「おめでとう。」


拍手の正体は探していたはずのオーガンだった。

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