第3話 訓練

少しこのワープするような感覚には慣れない。まだ二回目だし、時間が経てば慣れて行く気はする。


前は分からなかったが、感覚的に三秒ほどでフェリシダットに到着した。

昨日と同じ光景で少し安心する。


「えっとー確か着いたらアリスさんに連絡してと。」


連絡しようとしたところ部屋のドアが開いた。


「お!ちょっと早いね!お疲れ様レアト!」


たまたまハセリ様がいた。

ハセリ様は基本的にフェリシダットにいるらしく、他の人はいたりいなかったり結構自由な場所らしい。



「分かってると思うけど、今日からフェリスになる為に訓練してもらうから!!どうせりあから聞いてるんでしょ??」


「まぁ訓練だというのは聞かされてます。」


「だよね!早速やろっか!」


「え、もしかしてハセリ様が僕に教えてくれるんですか?」


「あ、違うよー。レアト君は僕じゃなくて別の人!あと特別に君はハセリさんでいいよ!」


「わかりましたハセリさん。じゃあ誰が僕を?」


「めっちゃすぐ慣れるじゃん。凄いね!

とりあえず訓練室あるからそこ行くよ!」


訓練室は結構すぐに着いた。

中に入ると何か肌で感じる空気があった。


「お?なんか感じてるね〜、それが簡単にいうと魔力だよ!フェリシダットは訓練室にしか魔力がないからね!」


「え、でも昨日外にでた時は何も感じなかった気がするんですけど。」


「あーそれは多分魔力抑制素材の服着てたからだと思うよ。とりあえずもうすぐ君の師匠が来るから!待ってて!じゃ頑張って〜。」


ハセリさんは結構放任主義だろう。

こんな初めてのところにひとりぼっちにするなんてちょっと悲しい気持ちになる。


五分ぐらい待ってるとドアから声が聞こえた。


「おーぃ結城レアト君ーここにいるかーい!?」


「あ、います!!」


若々しく優しい声に安心した。

ドアが開くとハセリさんとはまた違う綺麗な銀色の髪色をした20歳ぐらいの青年がいた。


「あ、どうも!僕の名前はヌエボ エスパラール!君がフェリスになるために僕が色々教える予定でいます!」


「お願いします。」


「じゃあ早速外行こっか!」


「ここでやらないんですか?」


「まぁいいからいいから!行くよ!あ、あと君の事はレアトと呼ぶからよろしく。俺の事は皆ヌエボかエボって呼ぶからそれでいいよ〜。」


そう言われて俺は訓練室を後にした、


「訓練室の魔力はどうだった?」


「これが魔力なんだなぐらいにしか感じませんでした。」


「まぁそうだろうね。今からレアトには本当の魔力を体験してもらう。今日のトレーニングはそれに慣れるだけ。楽勝さ!」


案外楽勝そうだなと思い少し気が楽になった。


「はい!頑張ります!」


「さぁ着いたぞ!俺はまぁ付いてるだけだから今日はレアト次第!話す事はない!外に出ろ!」


「わかりました。」


気が楽になっているのはたしかだが、少し怖いので気合いを入れて俺は外に出た。


***


外に出ると昨日の風景が広がっていた。俺はそれに少し安心すると同時に絶望した。


体の中が今にも爆発しそうな勢いで悲鳴を上げている。

(痛い!あまりにも痛すぎる)

理由も分からず俺はその場で倒れ叫ぶしか出来なかった。


声にもならない声が外に響く。

しかも中からだけではない。外からも押し潰されそうな痛みが襲いかかる。

そして、俺の周りには何か魔力的なものが飛び出して暴れている。


「エボ、、さん、これなに、、」


「ハッハッハ!!!予想通りすぎるぞレアト!大丈夫!死にはしない!」


甲高い笑い声と俺の悲鳴が響く中、この痛みの元凶を教えてくれた。


「それは魔力の暴走だ!レアトの中の魔力が外の魔力に作用して暴れているんだ。訓練室はそうならないよう調整されているから、外に出ないとこの体験はできない!!」


「うっ、、痛いです。」


「魔力を操作し、その痛みを無くすことが今日の訓練だ!俺は終わるまで見といてやるから頑張れ!」


「コツを、、、教えて、くだ、さい。」


「そんなものはない!」


最悪だ。フェリスになるとか言ったら、、、

今までに味わったことない痛み。

ただただ叫ぶ時間が一時間ぐらいたった。


それでも痛みは変わらない。

痛すぎる。死んだ方が楽とはこの事だろう。

りあはこれを乗り越えたのかと思うと凄すぎる。


一つ分かったのは俺の中の魔力が暴れているという感覚が分かったぐらいだ。

これを制御しろなんて無理に決まっている。


ハセリさんにフェリスにならないかと言われた時に断っとくできだった。

今更遅いが、、、、、

今はただこの地獄を乗り越えるしかない。



何時間たっただろうか、、、

魔力のことを感覚で分かるようになってからどれくらい経ったかわからない。


まだ俺は感覚を掴めないでもがいている。

おそらく感覚を掴めるまでこの痛みは続くだろう。


もう疲れた、、、


気を失いそうだ。


「エボさん、、、もう無理、、です。」


俺が気を失いそうになると同時に痛みや周りの魔力的なエネルギーが収まった。


そのまま俺は気を失った。


***


目が覚めるとベットの上にいた。


「おう!レアト目が覚めたか!」


「おはようございます。エボさん。僕どうなりましたか??」


「まぁそのまま気を失ったよ。感覚は掴めた??」


「いやまぁ気絶したからなんとも。」


「だよね〜。まぁ簡単にいうとしっかり落ち着いて魔力の動きを理解できたら、あんなに暴走はしないから!でも、レアトのは暴走しすぎだけどね。」



「そうなんですか、、、じゃあ助けてくださいよ。痛すぎたんですから!!」


「まぁあれはあれで面白かったから!!いいかなって!じゃあもう一回行こうか!」


「え、、嫌です。」


「大丈夫だから!行くよ!」


そう言ってまた地獄の場所に戻って行った。


「次は落ち着いて魔力を感じて、まぁ心臓らへんに溜める感じかな!」


アドバイスするなら先にしてよ、と思ったがとりあえず意識してみる事にした。



「フッーーーーーー。」


大きく息を吐く。そして、意識する。


すると、痛みはなく自分の中の魔力が制御できているのを感じ、外からの魔力もあるのが分かるだけで痛みはない。


「いいね!暴走してない!今はその感覚を忘れないでいようか!よし、今日はこれで終わり!帰った帰った!」


「ちょっと急すぎません??まぁ疲れたからいいですけど、、」


「向こうの世界は魔力全くないから、ちょっと気持ち悪いかもね!問題はないから大丈夫だけど、一応教えとく!!次来るのは明後日かな??みんな集まるし、その時に君の自己紹介をしよう!」


「あ、はい、明後日ですね。」


みんなというのは誰のことか分からないが、今はただ疲れたので帰ることにした。




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