第47話「カリバーのリベンジ」
Aブロック第1回戦を突破したサイの快進撃は止まらなかった。彼はジェネとの過酷な特訓の中で様々な経験を積み重ね、その実力はハイゴーレム使いと大差ないレベルにまで上り詰めていた。
第2回戦目のサイの相手は3年の男子生徒。使うゴーレムは重装甲に身を包んだハイゴーレム。名はグラビリー。
ジェネシスタは新たに習得した岩属性の魔法、ギガロックショットを放ち、敵の頭部を破壊しサイは勝利した。
第3回戦目の相手は1年の女子、使うゴーレムは下半身に装備する4つの車輪で舞台を駆け回るハイゴーレム。名はファルコ・バレノ。
そのゴーレムの背部に備えられた、大口径魔弾砲から放たれる高出力の魔砲をジェネシスタは機動力を駆使して掻い潜り、光刃によって敵の頭部を切り裂いてサイは勝利した。
4回戦目の相手は2年の男子生徒、使うゴーレムは4本の腕で剣を振るうハイゴーレム、シャンギローテ。
ジェネシスタは予め敵の腕を背部魔弾砲で狙い撃ち、破壊して無力化した所を接近して光刃で頭部を切り裂き、サイは4回戦目も勝ち残った。
第4回戦を勝ち残ったサイは、ついにシードのカリバーと戦うことになる。
ここまでサイの戦いを見てきたカリバーはある事を確信していた。
サイは単純な努力で強くなったのではない。魔導王の魂が宿ったジェネシスタには、魔導王の動きの癖が染み付いており、彼はその動きと自分の操縦技術をシンクロさせているのだと。
今のサイは、魔導王の動きを擬似的に再現できる状態にある。そんな相手に半端な戦いをすれば息もつかせぬ間に自分が倒されてしまうだろう。
そう確信したカリバーは、相手が四天王じゃなかろうと全力で挑む事を決意し、サイと舞台越しに相対する。
「それでは、これよりAブロック最終戦、サイ・トループ対カリバー・シイハ を開始します。」
アナウンサーの言葉を聴きながら、客席のジェネは舞台前に立つサイを見つめる。
「相手は腐っても四天王……サイ、ここが最初の難関だぞ。」
「Aブロックが終わったら次はBブロック、私とジェネちゃんの番だね!容赦しないよ?」
ジェネの隣にはロッソ隊の2人、アンジュとヘレスがおり、ジェネと同じBブロックのアンジュは次に控えているBブロック戦に闘志を燃やしている。
「私こそ負けないよ。どっちがBブロックを制覇するか勝負だ。」
「ふ、2人とも気が早いです……。」
女子の方が熱くなってる一方で、別の客席からカリバーを応援しているこの2人も応援に熱くなっていた。
「カリバー先輩!頑張れ〜!」
「サイ君のゴーレムから魔導王の魂を感じない……あのプチゴーレムはただのゴーレムか?ならいくらここまで勝ち残ってきたとて、カリバー君にも勝機はある!」
カリバーを慕うキーンとガリス。この2人は熱心にカリバーを応援している。
2人はゴーレム使いだがこの武闘大会には出場していない。カリバー同様決闘権を剥奪された2人だが、カリバーのように武闘大会に出ることを2人は拒んだ。
自分達は罪を犯したのだという事の自覚を持つために、武闘大会への出場を拒否する事を自らへの罰として課したのだ。
カリバーも最初はそうするつもりだったが、学長と両親に武闘大会への出場を許可され、その事を喜ぶキーンとガリスの姿を見ると、後に引けなくなったのである。
最も、舞台を前にした今のカリバーは、そんな事を思い出すよりも目の前の敵に集中しているのだが。
「よくここまで勝ち残ってきたな。プチゴーレムでハイゴーレムを倒す、こんな事かの魔導王にしかなし得なかった事だ。それをやってのけるとは……その魔導王本人の手ほどきを受けたのか?」
「はい。とても過酷な特訓を受けてきました。この武闘大会で結果を残す為に。」
そう言って舞台にジェネシスタを置くサイ。4連戦を勝ち抜き、無傷のジェネシスタを見たカリバーは、覚悟を決めて愛機を舞台に置く。
かつての愛機、オーガロンに強化を施した改修型。名はオーガ・ディザストロン。
「そうか……なら、俺も負けねぇ!!」
2人の決闘者がゴーレムを舞台に置くのを確認したアナウンサーは、Aブロック決勝戦の合図を告げる。
「Aブロック決勝戦……開始!」
ついに始まったAブロック決勝戦。戦いがが開始されるやいなや、ジェネシスタは腰の魔剣柄を抜き、光刃を展開する。
ジェネシスタはいつもは、自身の手元に光刃を形成させているが、魔剣柄を介して光刃を展開する事で、通常の光刃よりも魔力の消費量を抑える事ができるのだ。
魔剣柄を介した光刃と、通常の光刃の威力の差に大きな開きは無く、魔力量を押えたいのなら魔剣柄を使うべきだと、サイはジェネに教わった。
そして、光刃を構えて突撃してくるジェネシスタを、ディザストロンは背部のバスターソードを抜いて待ち構える。
「はぁーっ!!」
「っ!!」
そして、2機の距離が限界まで近づいたタイミングを見計らってジェネシスタは光刃を振り下ろす。
それをバスターソードで受け止めるディザストロン。バスターソードには、魔法を通さない塗料、マジックコーティングが施されており、それによってバスターソードは魔法の刃を受け止められているのだ。
「勝負だ!!サイ!!」
「僕は……貴方に勝ちます!!」
サイ対カリバー、2人の戦いの結末は今はまだ誰も知らない……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます