第11話「カリバーの野望」

ガリスとキーンは、サイに決闘を挑んだ後、3年の教室に向かった。そこにいるカリバーに用があったからだ。


「カリバーさん!サイの野郎に決闘を挑んできました!これで良いんですね?」


「ああ……どんな手を使ってでもサイのゴーレムを奪うぞ……!」


キーンの言葉を聞いたカリバーはそう答えた。サイにやられた彼自身もまた、彼に復讐しようとしているのだ。


カリバーはサイに負けた結果、父から1年間お小遣い無しのペナルティを課せられてしまった。

こうなったのはサイのせいだ、サイがあんなゴーレムを持っていなければ……そう考えたカリバーは、彼のゴーレムを奪う事を決意した。


「ザコサイの野郎からぜってぇゴーレムを奪うぞ!!俺は四天王カリバー・シイハだぁぁぁ!!頼んだぞお前らぁぁぁ!!」


「任せてください!!」


「僕達ならあのゴーレムを倒せますよ……クックックッ……!」


盛り上がるカリバー達。彼らを教室の生徒達は呆れた目で見ていた。決闘で負けたカリバーは、生徒達の信頼を徐々に失いつつあった。


カリバーは何故自分が直接サイに決闘を挑まなかったのか、それは……彼は腐っても四天王、そんな彼が決闘に勝つ為に手段を選ばない行為をしたら周りからどんな目で見られるか……。

そう考えたカリバー は、ガリスとキーンに自分の代わりにサイに決闘を挑ませたのだ。


一方、サイはガールフレンド達と中庭で弁当を食べていた。


「まさかジェネシスタを賭けて決闘をする事になるとは……。」


「ジェネっちは強いでしょ?なら大丈夫だって!」


心配するサイを、トライアは励まし、ついでに彼に弁当のおかずの卵焼きをくれた。


「カリバーさんの取り巻きが使うゴーレムはハイゴーレムのブロンザー。ルージュ様とカリバーさんに勝ったジェネシスタさんなら勝てるでしょう。」


ミリーによると、キーンの使うゴーレムは、ハイゴーレムのブロンザーというゴーレムのようだ。銅のように硬い外装が強みのゴーレムだ。


「うん……頑張ってみるよ。」


サイは4人に応援され、決闘では負けない事を決意した。


「ねえサイ!私のミートボールあげるからトマトちょうだい!」


「いいよ。」


アンジュはサイに自分のミートボールとサイのトマトを交換しようと提案し、彼はそれを了承した。

サイはミートボールが好きなので、ありがたい交換だと思った。サイはトマトをフォークで刺してアンジュの弁当箱に入れようとしたのだが……。


「ありがとう!あーん!」


アンジュはそう言って口を大きく開いた。それを見てサイは察した「あーんして欲しいのかな?」と。

まさか女子にこんな事をする日が来るとは、彼にとっては思い もしなかった。彼は覚悟を決めて、トマトを彼女の口に運んだ。


「い、いくよ……?」


「あはは、そんな緊張するなよ〜。 」


初々しい様子のサイを見て、笑いながらそう言うトライア。そして彼は、なんとかアンジュの口の中にトマトを運ぶ事に成功した。


「ん〜!美味しい〜!」


アンジュはトマトを嬉しそうに頬張った。それを見たサイは、彼女が喜んでくれたなら良かったか、と一安心した。


その後サイは、アンジュからミートボール を貰い、それを食べた。彼女のミートボールはとても美味しく、サイはそれをくれたアンジュに感謝した。


「ありがとう、アンジュ。」


「皆さん、御機嫌よう。」


そこにルージュが現れた。彼女はサイとアンジュ達が上手くやれてるかを見に来たのだ。


「ル、ルージュさんこんにちは。今日の調子はどうですか?」


ヘレスがルージュにそう聞くと、ルージュは先程あった事を話した。


「先程殿方と決闘をしてましたが、楽勝でしたわ。今日の私は絶好調でしてよ!」


ルージュは胸を張って自分が決闘で勝ったという事をサイ達に話した。


「何を賭けたのですか?」


「私が花嫁になる事を賭けましたわ。」


ミリーの質問に、ルージュはそう返した。ちなみにルージュが勝ったので、美術品を作る事に学園内で定評のある相手はルージュの像を作りそれを彼女に献上したのだとか。


「クリムゾン家の者として、この手に勝利を収めてきましたわ。」


自信満々にそう言うルージュにサイはあるお願いをした。


「あの、ルージュ様のゴーレム後で見せてくれないでしょうか。僕は良いゴーレムを作りたいので、ルージュ様のゴーレムをその参考にしたいのです。」


「良いですわよ。私のゴーレムから技術を盗みたいというのなら、持ってけ泥棒ですわ!」


ルージュはサイのお願いを快く受け入れてくれた。その後サイはルージュのゴーレム、ニンギル・ヒルメスをまじまじと観察し、そのゴーレムに使われている技術をメモに記入し、それを今後のゴーレム作成に取り入れようと決意した。


それから時間が流れ、放課後が訪れた。サイはジェネシスタを連れて決闘場に向かい、決闘舞台に立った。


「頼むよジェネシスタ。」


「任せたまえ。」


ジェネシスタはサイに勝つことを約束 し、彼はジェネシスタを舞台の中央に置いた。キーンも自身のゴーレム、ブロンザーをジェネシスタと対面する位置に起き、魔法操縦桿を空中に出現させ、それを両手で握りしめた。


一方、キーンと手を組んだガリスと、彼らを裏で操っているカリバーは決闘場に はおらず、ある場所から水晶を通して決闘場の様子を見ていた。彼らはいつでも作戦を決行できるつもりでいる。


「決闘……開始!!」


そして決闘は始まった。ジェネシスタは、

サイは、キーン達に勝てるのだろうか……?

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