最終話

 施設に入ったおばあちゃんは俺を思い出してくれた。そして俺を許してくれたのだと思う。俺の虐待行為は保護観察処分という形で幕を閉じ、何のお咎めもないに等しかった。俺の母親は以前同様酒飲みを続けているものの、勤労の喜びを知ったのかその就労は意外にも続いている、いつまで続くかわからないけど。おじおばさんはたまに家に上がり込み、俺にピザをご馳走してくれる。ピザは嫌いじゃないんだけどな、若干有難迷惑。近所のおっさんも家には来ないが町で会えば声をかけてくれたり、ちょっとした小遣いをくれることもある、これには素直に感謝。小太りにはあの日以来会ってない、いつの日か馬乗りにされた分をやり返してみたいものだ、事を収めてくれた感謝を存分に込めて。そしてクマのぬいぐるみは、俺の家にまだあったりする。抱きかかえたのはあの日以来一度もないのだけれど。

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クマの詫び言 Bamse_TKE @Bamse_the_knight-errant

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