第16話

 夕方になって玄関のチャイムで目が醒めた。ベッドに突っ伏したまま眠ってしまっていたらしい。おばあちゃんも眠っているようだ。玄関に出ると弁当の宅配業者がいた。あの小太りの差し金だ。受け取った弁当はそこそこおいしかった。おばあちゃんはベッド柵に載せた机に置いた弁当をおいしそうに食べた。自分で食べられたのを見てまずはほっとした。おばあちゃんは食べ終わった後俺を手を借りて立ち上がり、簡易トイレで用を足した。俺はおばあちゃんを連れて帰ってきて本当に良かったと実感した。きっとおばあちゃんはもとに戻る、病院で一時的におかしくなってしまっただけなんだ。俺はそう思い込むことにした。また玄関から音がした。俺の母親らしい、そういえば病院から帰ってきたときいなかったな。居間にいる俺とおばあちゃんを見るとぎょっとしたような顔をしてすぐに家から出て行った。

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