第17話
おばあちゃんはみるみる回復していった。小太りの差配によるデイケアなるサービスが始まり、俺が学校に行っている間はそこで訓練を受け風呂を済ませて帰ってくる。ありがたいことに送迎付きだ。俺が下校したころにちょうどおばあちゃんは帰ってきて、俺に送迎の人が今日の出来事を説明してくれる。おばあちゃんはそのデイケアとやらが楽しいらしく、嫌がるそぶりも見せない。デイケアが休みの日には例のおじおばさんや母の飲み友達が遊びに来て、おばあちゃんの話し相手になってくれていた。家に帰ってきてから半月ほどで自分一人で立てるようになり、一か月後には歩行器を使って屋内を歩けるようになっていた。しかし残念なことに、頭の中だけは以前のおばあちゃんに戻らなかった。いつもニコニコしているが、俺が話している内容が理解できない。話しかけても興味がないことには反応がない。自分が家にいることは理解しているが、今日が何日なのかもわからなくなっていた。そして俺はおばあちゃんの中で小さな子供になっていた。そしてクマのぬいぐるみがおばあちゃんのお気に入りとなり、小さい頃の俺だと思い込んでいるかのように話しかけていた。クマのぬいぐるみとの会話をしている内容だけは、以前のおばあちゃんに戻っていた。
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