第7話

 俺は中学を出て働くつもりだったが、おばあちゃんは絶対にそれを許さなかった。俺はそんなに出来が良くないから、進学は無駄だと思っていたがおばあちゃんは違った。俺を高校に通わせると決めていた。腰を痛めて以来あまり外出しなくなったおばあちゃんではあるが、人付き合いは途切れなかった。俺に毎晩ピザを食わせたおじおばさんや母親の飲み友達、ほかにも近所の人たちが良く家に上がり込んできた。その人たちはたいてい古くなった洋服の繕い、不要になったタオルを雑巾に仕立て直す、要するに縫製の頼み事をしに来ていた。そしてお礼に米だの野菜だの果物だのを置いていき、それが我が家の食卓に並んだ。俺は人付き合いが苦手だし、人に家へ上がられるのが嫌だったが、外出が難しいおばあちゃんの楽しみのため、ありがたい食料授受のためと思い、俺は夕食の時間まで家に帰らないことが増え、結果俺の母親とはほとんど顔を合わせることが無くなっていた。そしておばあちゃんとも顔合わせる機会が減っていた。家にいて顔を合わせる相手と言えば、捨てるに捨てられず今においてあるクマのぬいぐるみばかりだったかも知れない。そしてこの頃から朝ごはんや夕ご飯に同じものが出てくる機会が増えた。昼は学生食堂、土日は外で好きなものを食べていた俺はあまり気にしていなかった。同じ食べ物をもらう機会が増えていたんだろうくらいにしか思ってなかった。

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