第5話

「第三腰椎圧迫骨折ですね。」

 救急病院で俺とおばあちゃんはこう宣告された。そして少し離れた病院におばあちゃんは入院することとなり、俺は初めてひとりぼっちになった。入院している間食費はおばあちゃんから少しずつ預かり、洗濯は見舞いの度に病院ですることにした。おばあちゃんは自分の腰の骨よりもとにかく俺を心配していた。寂しくないと言えばうそになるが、俺はクマのぬいぐるみと二人きりを満喫していた。おばあちゃんが入院して数日後変な客が現れた。鍋を持って現れたのは、おかしなパーマ頭に天井にも届かんばかりの長身、アバンギャルドとはこの人を表すためにあるのかと実感する奇抜な服装、そして男女を見極めがたいしゃべり方をするおかしな人、俺はなんとなくそいつをおじおばさんと名付けた。おじおばさんは鍋を持ってきた、空っぽの鍋を。俺がおばあちゃんの不在を伝えると、おじおばさんは奇妙な顔をさらに捻じ曲げて、

「ご飯食べてるのぉ?」

と聞いてきた。そして俺は気ままな一人飯の自由を失い、夕飯だけはこのおじおばさんと食べることになった。とはいうもののおじおばさんは全く料理をしない人らしく、夕飯は毎食宅配ピザと決まった。俺はおばあちゃんがいない間、このなんとも気まずい夕食を過ごす羽目となった。

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