第2話
俺とおばあちゃんは天涯二人きりというわけではない。この生活は責任を放棄した者に作り上げられたものだ。俺はおばあちゃんの一人娘、いわゆる母親から産まれた。といってもあの女は母親という言葉から縁遠い人だった。あの女は俺が生まれて半年も経たないうちに男と失踪した。男と縁が切れたり、金が無くなったりすると、あの女はこの家に現れた。そしておばあちゃんへの金の無心ついでに、俺の母親ごっこを楽しんだ。それに飽きるとまたふらっといなくなる。父親は知らないし会ったこともない。そんな状況下で俺がここまで生き延びられたのは、おばあちゃんのおかげだった。おばあちゃんは俺にとって母であり、父であり、たった一人の家族であった。早くに夫を亡くしたものの、保育士として定年まで勤め上げたおばあちゃんは経済的にも俺を困窮させることはなかった。
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