〇〇さん家の自宅警備員(ぬいぐるみ)
あいりす
鈴木さん家の場合
おいらは鈴木家の
よし、そろそろ華が帰ってくる時間だ。
「今日も仕事疲れた〜〜。自分お疲れ!!さてさて、今日は何作ろうかな♪」
おいらが1日で一番楽しみな時間。それはおいらの目の前に、華が作った料理が並び、美味しそうに食事をするのを見守る時間。
今日は何を作るんだ?いつもあんたは仕事終わりでどれだけ疲れてても、料理をしてる。
ほんと、すげえよ。
「そうだ、冷蔵庫に昨日の晩から解凍してた…あったあった。これ揚げよ〜。」
今から揚げ物をする!?おいおい、ど平日に揚げ物なんて贅沢な…。でもこれは、週末にしっかりタネを作って冷凍保管をし、前の晩に忘れずに冷蔵庫に入れ替えて解凍をするという、準備周到さがなせる技。華はやっぱりすごいぜ!
「うんうん、油もいい感じ。あっっつ!」
華、大丈夫か!?しっかりしているようで、実はそこそこ抜けてるところがあるよな。
*******
「よし!できた〜!コーンクリームコロッケ♪」
揚げ物特有の、香ばしい匂いが食卓のあるダイニングにも漂ってくる。食欲をそそるぜ。
しかも綺麗な俵状できつね色。緑の野菜を敷き詰めるとは、センスも抜群。さすが、華。
「いただきます。」
音で分かる。サクサクだ。揚げたてで中身も熱いだろうに、がっつりいくんだよなぁ。めちゃくちゃ美味そうに食べるよな。おいらも食べたいよ。
あ、電話。
「咲〜どうしたのさ、急に電話してきて。私?分かる?今日ね、気になってた先輩と、共通の趣味が見つかったの〜!先輩も小説めちゃくちゃ読むらしくて、おすすめ教え合いっこしちゃった。もうはしゃいじゃって、上の空で仕事してたら怒られたけどね。」
イテッ。電話中の手持ち無沙汰でおいらをつつくなよ。耳は敏感なんだから優しくしてくれ。
てか今日やけに上機嫌の理由はこれか。華から恋愛の話を聞くのは久々だ。優しくて、そのせいで損することが多い華。どうかその先輩とやらが、あんたのこと、幸せにしてくれるといいな。って、食事中に席を立つのは良くない。行儀悪いぞ、華。せっかくのホクホクのコロッケが冷めちゃうじゃないか。
******
華は、友達の咲との電話に夢中になってしまい、廊下で長話をしてしまった。
ようやく電話が切れて、ダイニングテーブルに戻ると、あることに気がついた。
「あれ?ぬいぐるみの口にクリーム付いてる。飛んだのかな…?
ん?コロッケがひとつない?食べたっけ??まあいっか。」
〇〇さん家の自宅警備員(ぬいぐるみ) あいりす @Iris_2052
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