第23話 Remaker-Lawem Daviwood-

約束は3つ

1、必ず監永に1日の報告と一週間のスケジュールを共有すること

(なるべく簡潔に、わかりやすく、合理的に、誰もが理解しやすい内容で)

2、訪問者への対応は捜永に転送するため、父上自ら個人対応はしないこと

3、娘の部屋は覗かないこと(親しき中にも礼儀あり)


リメイクされた11号にはスカーニーとSenested-Xiaoの冠を外した父が入居することになった。

37年間離れ離れになっていた家族のリスタートにおいて、あたしは父をどう呼ぼうかと悩んでいたが、スカーニーでもSenested-Xiaoでも無くなったから大きな声で「お父さん」と呼ぶことができる。ただ、まだ気恥ずかしさがあるから「父上」なんて茶化して呼んでしまうけれど。


ついでに9号室のリメイクもされることになった。土足厳禁の張り紙がいつの間にか破り捨てられていたことにより9号室もまた亜種白路に踏み躙られてしまっていたが、実際9号を踏み荒らしたのは亜種白路に雇われた外国籍のGossipたちだった。不思議の国のアリスのトランプの兵隊たちは何も知らずにスカーレットやカナリヤに雇われ一攫千金を夢見てこの島に渡った。セオやスチュワートとの結婚を夢見て海を渡った女性も多い。


「ねえ、めぐ、俺のこと群青って呼んでくれない?」

スチュワートの愛はストレートだ。ストレートで真っ直ぐすぎてキャットファイトに怯えるあたしの気持ちを理解できなかったらしい。驚きと共に笑ってしまった。世の中にこんな類の誤解があるなんて想像もしていなかったからだ。

「どうして?日本人になりたいの?」

「君はもう少しだけ僕に対して質問をすることを遠慮してほしい。今は授業ではないんだから」

もっともな意見だった。

「ああ、うん、わかった。群青。でも公式名はスチュワートでいいのよね?Consavayw家の」

うんざりした表情のスチュワートにあたしは好奇心の深みにはまっている自分を察して、一応謝った。

「どうしてそんなに恋愛を拒絶する?どうしてそんなにロマンチックな気分を拒絶する?」

日本語でそう言われると、もう居た堪れない。それにしても拒絶なんて言葉よく知ってるな、、、。たくさん勉強したんだろうなあ。


Throenとしてやってきたのにこの島に来た途端亜種白路に取り込まれ、Gossipに落ちていった外国人を何人も見てきただろうに、という疑問をぐっと飲み込んでロマンチックな気分を受け入れることを努力した。


父上もあたしもひとりの時間を必要とする。Jurywknow家は公人としてあらゆる方向からの電波をキャッチすることを強いられている。電波キャッチの強度を高めるためにも父上にはひとりの時間が必要だった。


勉強を進めたいあたしと、治療に専念したい父のJurywknow家の緊急事態をConsavayw家とLibelaw家が助けてくれている。


あたしとセオと群青は政略結婚という形で紹介された。互いに「そういうものか」と受け入れられたのは、そういう家の子として生まれたからだった。


初対面から2ヶ月が経過した。うまくやれていると思う。


父上はセオや群青について何も言わない。ビルやセバスチャンとも今は連絡を取れないほどにひとりの時間を大切にする時期なんだとあたしは察している。




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