第21話 Public regime prison
立場の苦しみは立場に立たなければわからない。
Public regimePrisonはそのようにして、王室の跡地を利用して建設された。
スヴェトラーナ、マリコ、エドワード、アレキサンダーそれぞれの兄や姉たちも王政としての地位と権利を1900年20世紀を境に国民に返上した同時期、Mjustice-Law家は世界中の経済を手に入れた。
Mjustice-Law家というのは、スヴェトラーナもマリコもエドワードもアレキサンダーも、もともとユダヤの血筋で商売っ気が旺盛だ。政治で偉そうにしているよりも金勘定で頭を使っていた方が生きがいを感じた。20世紀は良い節目だったのだ。
公的名義での発表はMjustice-Law家の象徴として時期だけは自由にできないものの、public regimeprisonに収監されても人権は保障されていた。公の目に晒されるというPublic regimeprisonの仕組みに嘘をつき始めたのはアイドルという言葉や芸能人がもてはやされるようになった1945年以降だろうとMjustice-Law家は推測する。
カナリヤ主催のセブンティーンズ、そこに所属していたジェラルド麻野はenemyでありながら、アイドルという新しいスタイルの象徴だった。Enemy第三世代たちはPublic regimeprisonの印象を変化させる大きな転換期に属していた。3世にもなれば自分達がEnemyであったことは祖父や親からの教育により「自分達こそ正義である」と純粋に信じることも理解できるの。
めぐみやセオ、スチュワートはジェラルド麻野たちと同じ世代を生きている。スチュワートはジェラルド麻野になりすまされその地位を島内だけとはいえ乗っ取られそうになった。
「スチュワートのところはいいよね、うちみたいに面倒な収監所を保有していないから」
事情がわかってきためぐみは何かにつけてスチュワートに文句をつける。プレスクールが9月末から始まっているが、めぐみがスチュワートに文句をつけるたびに教室の空気が凍る。
実際、スチュワートが何をしたわけではないが、この話の焦点はオルレアンの時代、つまりスチュワートの祖父であるアルバートがしっかりと決着をつけてくれたからスチュワートは今楽でいいよねという話であり、ひいてはオルレアンの孫である自分は苦労させられているという話の本質を容易に想像できてしまうため、教室の空気は微妙な温度にゆらめくのだ。
「めぐちゃん、あの時はオルレアンが一番大変な思いをして、オルレアンだけでなく、ゲオルギやアルバートの3人で話を決めたんだよ」
ビルはいつも大変な役目を担わされる。めぐみはビルの話なら多少なりとも素直に聞いた。
「オルレアンはまさに寝耳に水だったんだ。島内の中に主犯格がいるなんてアルバートもゲオルギも、もちろんオルレアンも夢にも思わなかった。三閉免疫症候群たちの管理不足だったんじゃないかってかなり動揺もした。お詫び行脚と公開処刑のために巡行を思いつき、空き家と化していた王家の土地をPublic regimeprisonにした経緯は今度歴史の授業でやろう」
「今度の授業はビルは休みなんでしょう?さっきメールできてたよ」
「は?ちょっと見せて!!」
めぐみの隣に座っていたセオがめぐみのスマホをひったくる。スチュワートもビルも青い顔をしている。
「これ、発信元Shoenだ、、、なんでこんなこと、、、」
半日後に分かったことだが、Shoen本体の処分期限が翌日だったために、その時間帯はまだインターネット操作ができたということらしかった。
セオと基実はめぐみと三者面談をしてめぐみによくよく言い聞かせた。
「何か連絡があったら必ず俺たちに見せること!メールも手紙も電話も全部!ひとりでおうちにいるときは誰が訪問したかも全部報告して!いいね?」
釈然としない顔のめぐみに基実が諭すように言った。
「それが嫌なら24時間365日、護衛つけるけどいいの?一人暮らしも禁止するよ」
口をへの字に曲げてめぐみが答える。
「わかりましたよ。全部見せます、報告しますよ」
自由のために平等を中傷されるのか、平等のために博愛を否定されるのか、博愛のために自由が侵害されるのか。
Mjustice-Law家の大きなテーマでもあった。
セオは博愛を、スチュワートは平等を、グレースは自由を。
LibelawとConsavaywとJurywhknowは自由主義、博愛主義、平等主義に由来する。
それぞれがそれぞれの権威や地位を持ち合うことでバランスを取り合っているのだ。
決して政治的な自由主義や保守主義を掲げているのではない。ここに政治制度主義のenemyと経済グローバル主義のMjustice-Law家の思想の違いが出るのだ。
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