第10話 17's -4

銅河原でリクルートされたセブンティーンズには4種類の若者がいる。

まりやと奈河康国はセブンティーンズでもKTCの管轄になる。三閉免疫に近い存在であり、親戚の誰かは三閉免疫不全の監護施設に入所していることが多い。

ミアと杉尾亮はどちらかといえば百舌鳥柄に近い存在であることから百舌鳥柄の管轄とされている。彼らの遺伝子は流浪遺伝子と言われており、何かしらの障害物が人生の舵を切ってしまったような同情されるべき存在だ。何かしらの障害物はすべて亜種白路が空売りした9UN-Bank Stockに通じている。


そもそも世間では銅河原国籍は良いものとして宣伝されている。有名になることは勝者としての勲章であると常識を形成している。常識形成を命令され仕事として取り組んでいるのもまた銅河原国籍に従属させられているインフルエンサーであることを流浪遺伝子たちは知らない。


「さて、そろそろめぐちゃんのシンボルを選定する時期に来ているんだけど、、、めぐちゃん?聞いてる?」

最近のめぐみはとても機嫌が悪い。とにかく何をしても神経質に切れている。Billの言葉さえも上の空になるほどで、これは埒が明かないと帝都と基実に相談することにした。

「固定シンボルを10こくらい作ってくれってスカーニーに言われているんだけど、どうにもこうにもめぐちゃんの機嫌が悪くて話が進まないんだ。何か知ってる?」

「ああ、それはたぶんセブンティーンズのことだと思う」

「特殊部隊は一掃されると元老院で決定が出たじゃないか。まだ何かしているの?」

「ごめん、基実に聞いてくれる?俺も連日そのセブンティーンズのアタックで正直疲れ果ててるんだ」

Billはなんだかわからないながらに、電話を基実につないでもらった。めぐみの状況と帝都から聞いた内容を基実に話して、事情を詳しく教えてほしいことも伝えた。

基実はまず最初に大きなため息をした。そしてしっかりと息を吸い込んで、しっかりと吐いて、ややあって話をゆっくりと始めた。

「銅河原特殊部隊の任務はMjustice-Law家と縁戚関係を結ぶことなんです。すでに70年前から部隊組織がされて、望まぬ兵役であった人も多かった。世の中では性被害って表現しています。縁戚関係を結べば亜種白路の作戦は成功します。たとえ、0,0001パーセントしか可能性が残されていなかったとしても彼らはその縁戚関係を結ぶことで状況が一変すると信じているし、それが彼らに今残されている唯一の作戦なんです。めぐはあの通り一途で俺や帝都にしか興味がない。だからセブンティーンズは特殊部隊を総動員して帝都や俺のモノマネをしてめぐに近づこうとしてるんです。名前もそう、ファッションもそう、言動もそう。似せればなんとか騙せる、似せればなんとか食い込める、そう思ってるんですよ」

Billは笑いを堪えられず、鼻が「ぐっ」と鳴った。慌てて謝ると、基実は気にしなくていいとBillを気遣った。

「子どもよりも程度が悪いですよね、わかります。でも彼らはそれを真剣に命をかけてやっているんです」

「誰か止める人はいなかったの?反対意見も出ないの?」

「止める人がいたとしたら亜種白路も組織として救いようがあったと思います。反対意見が出たらまだ組織再生の見込みがあったと思います」

「事情はよくわかった。ところでめぐちゃんのシンボルの作成をスカーニーから依頼されているんだけれど、、、」

「とりあえず日本国内での作成はやめてください。僕からもスカーニーに伝えておきます。いつまでにって言われてますか?」

「できれば9月までにって」

「それならなんとかなるかもしれません。8月末には鉄原野のウリエルで亜種白路が吊し上げられる予定ですから」


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