第4話 当代の決定
エルザ・ヨウの授業は毎回緊張する。
女同士というのがよくないのかもしれない。インマヌエルに打ち明けると彼はすぐにこう答えた。分かりきった答えだからいつものことだけど腹が立つ。
「元老院も亜種白路も大きなものではあるけれど、あなたができないことはない」
あたしは元老院の話が好きだった。自分が当事者だと知らなかった頃はまるで物語みたいで、昔話みたいでそこからさらに線を伸ばして膨らませて宇宙を想像していくことが楽しかった。
でも今は簡単に想像することすら制御している。なぜならあたしが想像したすべてはあたしが元老院であるがために容易に実現してしまうからだ。
「元老院は基本的には7つの称号で形成されてきました。Mjustice-Law家の初代Senestice-Xiaoを当代と考えると、彼には父母がいて、四人の祖父母がいたことに数が由来しています」
「おばあちゃん、、、あ、エルザ・ヨウもってことですか?」
授業中あたしはなるべく名前で呼ぶようにしている。生真面目な性格をおばあちゃんはいつも可愛いと笑ってくれる。
「そうです。他は誰か言えますか?」
「エルザ・ヨウ、帝都、基実くん、ロベルト、、、」
衣子さんと正良さんと卓と言いかけてあたしは何か違う気がして再考した。
2分、3分、4分、、、
「なぜ衣子と正良と卓は違うと感じているの?」
「母はもう亡くなっているし、卓と父はなんだかあまりあたしには、なんていうか、、、」
6月の中旬、あたしは父と卓があたしの部屋を夜な夜な覗き続けていたことを知り、怒りくるったことがった。乱雑に投げつけた言葉の中には蛇のような顔をした何かもあった気がして、怖くなってそれ以来会わないようにしていた。
「じゃあ誰がこの元老院にふさわしいと考えますか?率直に」
「スカーニーとバロウ、それから恵司くん、、、でも恵司くんはなにも縁がないし、、、」
「恵ちゃん、今はあなたが当代なんです。その自覚を」
おばあちゃんめ、、、。そんなことはあたしだってわかってる。でもなんで父母と卓が違うのかがわからないから認めないようにしていたのに。
という甘えが出ないようにあたしは授業中エルザ・ヨウと呼ぶようにしている。
これでも自覚と責任は不慣れながらに持っている。
不満を感じた時言葉にする代わりに、口を尖らすことができるようになったから少しは慣れてきたのかもしれない。
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