第23話 Pupa Turns into a Butterfly

オルレアンはスカーニーを思って、スカーニーはグレースのために。

2乗が3乗になった。

単純計算をしても、一回の爆撃で三都市が消滅することがわかると思う。


亜種白路、百舌鳥柄遺伝子、KTC、、、


烏鷺棋の処分が決定されてから幾度も話し合いを重ねた。オルレアンが帰還し交渉をしても妥協案が見出せなかったが、逆にスカーニーの事件が明るみになった。スカーニーは言葉を失うほどに疲れ果て傷つき、めぐみはそのために真実を知らされずにいた。オルレアンはAmadeus Juryにおいて審議を図った。亜種白路はそれならば、と、今度はセオとめぐみの仲を引き裂くことに攻撃の方向を転換した。スチュワートのことはミーガン・ラクーンがうまくやっているから、Consavaywの家には最後の仕上げにビルに「スカーニーのご意見だ」と言えばいい。亜種白路はそのように計画を立てていた。


Libelaw家とConsavayw家の攻撃力は凄まじかった。ふたつの家で作戦はコンプリートできるが、そこにあえて加わったのが三閉免疫症候群の右炉、左吾、央観の三家だった。オルレアンからの勅令は三閉免疫症候群たちを歓喜させ奮い立たせた。

いわゆる武者震いというやつである。

「スカーニーのことでは心から感謝している。と同時に、めぐみが誘拐されたことにより貧しい思いを強いてしまったことは心から申し訳ないと思っている。それでもめぐみを迎えてくれたこと、スカーニーに忠誠を尽くしてくれていること感謝の言葉が尽きない」

貧困ビジネスのパイオニアたちからの嫌がらせはスカーニーはもとより三閉免疫症候群の全世代に及んでいた。どこにいってもそのレッテルは彼らの人権を否定した。

人間でありながら人間でないと認定された三閉免疫症候群たちの人生の仇討ちをオルレアン自らが許可したのである。


オルレアンはスカーニーのために三閉免疫症候群に勅令を出し、スカーニーはグレースのためにconsavayw家とLibelaw家に全権を委任した。


2億4000万人は右炉、左吾、央観、Consavayw、Libelawに分担されて処理が行われ始めている。


「全軍を向かわせろ。1ヶ月で決着をつける。民間船、民間航空機をチャーターして、空港前のホテルを借り上げる。また、系列の病院をその保管庫とし、亜種白路、百舌鳥柄遺伝子、KTCを10月21日までに市街地から完全に排除する」


烏鷺棋のめぐみはグレースよりも目が据わっている。

蛹が蝶になった。


群青はめぐみに言った、「さなぎと芋虫は違う。めぐはこれから蛹と芋虫の違いをもっともっと知る必要があるよ」。











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