第13話 緩和許可

烏鷺棋の第二シーズンではめぐみの人間関係にまで停止措置が敢行される。

「俺たちはどうなるんだよ!」

三閉免疫症候群の子孫の子どもたちから大きな不満が噴出する。

「順番があるだけで、禁止措置というわけじゃないんだよ」

真司さんやバロウがなんとかなだめすかそうとするが、やはり期待値は大きいらしくなかなか群衆は帰ろうとしない。

「ねえ、翠蘭さん。あなたならわかってくれるでしょう?」

女性たちは央観の元締めである翠蘭に交渉を試みる。


亜種白路が仲介を担っていた前代の慣習は諸外国にとっては取り替えが困難な仕組みである。なぜならこの国はガラバゴス言語で守られており、英語が通用しないように作られていたからだ。とにかくMjustice-Law家と諸外国が直接的に交渉ができない仕組みになっている。

元老院を諸外国で固めたこともガラパゴス言語が理由であり、亜種白路を完全に排除し、Mjusitice-Law家を頂点とする正しい金融システムに戻すためにはそれしか方法がなかったとも言える。

「接触障害の緩和措置として外国人の友人を作ることを推奨する。と同時に日本人との付き合いは一時完全停止とする。ただし、帝都、基実、スカーニー一部の三閉免疫症候群の護衛侍従者など、ごく近しい家族はその定めから除外されるものとする」

横浜はそれに適しているとビルとアーサーが推奨し、スカーニーと基実と帝都が容認した。


「あたし、あんな都会に行けるかなあ」

週末前からソワソワしている。初体験を目前に控えて精神的に不安定にもなっていたが、練習も3日ほどしたし、たぶん明日から行けるはずだ。


「帝都もくる?」

「もちろん!」

「基実くんも?」

「うん、一緒に行くよ」

「お父さんは?」

「監永や捜永、バロウもいっしょに行ってくれるって」

ほっとした表情がゴーサインの代わりとなった。


三閉免疫症候群には多少の不満が残っている。

けれど、少しずつでも前に進めている。三閉免疫症候群と共に歩んできた、特にこの半年はめぐみに自信を与えている。

「めぐちゃんも楽しみにしているんだ。みんなに早く会いたい。会えないから役に立てるようにいろんな勉強頑張るって」

「私たちだって役にたてます!!」

ひとりの女性が声を上げた。群衆が一斉に声の方向を見る。三閉免疫不全のために監護施設に収監されていた女性だ。噂によると脱走を試みて、運良くバロウのもとに辿り着けた人らしい。

ざわめきも鎮圧する重い言葉だった。


最終決定はこうだ。

「三閉免疫症候群は週の半分を横浜で過ごし、週の半分は仕事に従事すること。横浜滞在時には三閉免疫症候群としての通行手形を見せることによって敷地内利用のみ許可する」


無論、横浜であるから米軍は常に構えてくれている。不測の事態は起こらないだろうと推測している。







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