第9話 Shocking Attack

荒野の米は砂糖より甘い

これは亜露村に古くから伝わる言い伝えだ。

めぐみがその代になってはじめての烏鷺棋の廃棄処分が8月からはじまる。


鉄原野に位置する亜露村はサドカイ派の罰に相当するから、荒野は今東アジア上空を覆っている。


偏西風の寒暖差の波形は北極星を中心に一定の幅感覚でメリーゴーランドのように回転していて、大きく張り出そうが何をしようが一定の幅感覚を崩すことはない。

偏西風の張り出しが荒野だと考えればいい。


荒野の米は砂糖よりも甘い。東アジアに流れた金が実際は金融を基軸としていなかったことが8月と共に明らかになる。甘い米が実際は空売りだったことがサドカイ派の罰を誘引することになるのだ。

鉄原野は地球の罪を意味する。亜露村が鉄原野に位置するようになったのは恵が受胎した日だった。

「もしも、彼女が当代であれば我々の罪は受刑ではなく、罰で済む」

UBYとSWYの位置が変わる仕組みを知った麻野道信は亜露村にトムソンと須野糸成を派遣して恵を見張らせることを思いついた。糸成は恵の同級生として帝都や基実と共に中学時代を過ごした。

「糸成と恵がうまくいけば金融に再度食い込むことができるかもしれない」

麻野道信は百舌鳥柄と亜種白路に対して繰り返しセールスをした。それだけでは心もとないのではないか?と不安を口にしたのは黒沼衣子の成功指導者として名を馳せた藤村高司だった。百舌鳥柄と結婚した彼の影響力は衣子が亡くなってなお絶大で、その手腕は羽都希咲を荒野の特区に波戸愛彩を荒野の寄留区に送り込むことに成功していたために麻野道信の右腕として財政の重鎮としても名を馳せるまでになっていた。


道信は藤村高司とトムソン、それから天村君子とスカーレットの5名で最終確認を行った。2002年のことだった。


「スカーニーの実存を虚像に仕立てる。恵を当代として世の中に売り出し、顔と名前を知らしめる。彼女は人質として育ったから自分が何者なのか知らないで今も暮らしている。スカーニーの虚像と惠の実存に糸成をミックスして、俺が父親として振る舞う。そしてできれば糸成と恵を結婚させれば完璧だ」


亜露村と百舌鳥柄と亜種白路をミックスする。Asian.dew/Bird/Epigone Mix


空売りの金はNYダウ平均を怒らせリーマンショックを起こしたことは今となってはすでに歴史だ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る