第3話 椋鳥

男と女がいて、昼と夜がある。白と黒以外にも色があるのに、あたしはそれのどちらかに魅了される。

でもおかしいじゃない、帝都も基実くんも好きになった。ふたりは男で、ふたりは昼で、ふたりは、、、、何色?


時空旅人の元老院の教育儀礼の時、あたしはいつも集中力を欠いてわがままをぶちまける。

「帝都がいないと死んじゃう!」だとか「基実くんがいないなんて意味がわからない!」だとか「ふたりの人生を邪魔する奴は早く殺せって言ってるじゃないの!」とか癇癪に近いわがままをぶつける。

先生たちは困ってしまって、怒ってみたりなだめてみたり理由を聞いたりとあの手この手であたしを鎮めようとする。

あたしは冷静な時に伝えている、「泣けば大丈夫。膿を出せばいいだけ。みんな放っておいて」。


Gyroとサリンジャーは時々誰もいないことを見計らってあたしに語りかける。鴉になることと椋鳥になることを得意としている。

「戦うってどうしてこんなに面倒なの?面倒なことを人はなんでこんな長い間続けているの?」

Gyroは答える。

「正義というものはみんなひとそれぞれだから」椋鳥には仲間がいる。

サリンジャーは沈黙している。あたしはいつもサリンジャーを目で追ってしまう。Gyroはソレを見ると群れとなってチッチッチとしつこく語りかけてくる。


家に帰って両親の写真の前で黙祷を捧げる。

「見せて」というと母は見せてくれる。

「教えて」というと父は教えてくれる。


Gyroの声はいつも私の隣にあった。私が欲する以前にも以後にも必ずある気がした。

真司おじさんはあたしには干渉しない。その代わりいつもそばいたのは高司さんという人だった。

椋鳥を想像すると、真司おじさんは鴉だった。

高司さんは人望のある人で、例えばまりやとかミアは先生と呼ぶし、ジェラルドや廣道は行動を共にしていることが多い。

「真司おじさんはどうして、お父さんとしかいっしょにいないの?」

少し笑って「あの人寂しがり屋だから」と多くを語らない。

高司さんがいてもあたしは真司おじさんを目で追ってしまう。するとチッチッチと忠兼や智柚があたしを賛美する。


部屋に戻ると今度はBelvy先生と一緒に嶺司さんがいた。嶺司さんのことは正直嫌いだ。真司おじさんと関係があるから仲良くしているだけ。その気持ちをBelvy先生は知っているはずなのに。


あたしはBelvy先生込みで機嫌が悪くなる。先生は悪くない、あの嶺司さんがいけないの。説明する機会をいつも失ってしまう。


あたしはある日気づいた。ああ、椋鳥のせいだ。






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