第7話Sub white load-偽物-

Leeと開望が死んだ後に、エルザ・ヨウとロベルトの様子が変わった。卓は姿を見せなくなって、正良さんはどこか攻撃的な話し方をするようになった気がした。

恵は相変わらずスカーニーのことを親切にしてくれる遠縁のおじさんくらいにしか思っていないようで、俺も基実もどう事態を説明していいのか、いやでもあいつのことだからわかっていないということもないだろうし、と接し方がわからなくなっていた。

帝冠任務をはじめて任された時、正良さんは自分が元老院だとはっきりと言った。名刺にもその印がきちんとあったし、衣子さんも隣にいたこともあやふやながら記憶している。

恵はなぜか今も翠蘭さんが開望とLeeのお姉さんだと勘違いしていて、報告文にもその思い込みがしっかりと記されていた。


あれから一週間。

スカーニーの正体が公にされた。

UBYもSWYもこの事実が真実に合致していると断定した。KTCの沈黙が合致の断定を肯定していたのだが、空がどうもすっきりしない。

高気圧によって押し上げられた真っ青な空がどうしても現れないのだ。

基実も理由はいまいち判然としない様子で、あれからも毎週末、恵の両隣の官邸を占拠していた。


以前ならわかる。右がKTC、左がSWY。

でも今はSWYもスカーニーがMjustice-Law家だと認めている。それなのになぜだろう。

「SWLなんでしょう?」

恵がベッドで俺の目を見て言う。

「なにそれ?」

「sub white load 亜種白路の国際名義よ」

「え、、、?」

恵の目は時々人を超越する。EYEの間のYはSWYとUBY両方に由来しているようなものだけど、それにしてもあの目を見ると俺は怖くなる。いまだに慣れない。

「あたしたちの世代はUBYだけど、お父さんの時代はSWYだったの。だからKTCより少しまえ、お父さんたちがあたしたちくらいの時は世界はSWYだったの。Spider World Youthはヨーロッパ系とアメリカへの移民からなるワールドチームだけど、、、あ、Me-Lizalyについては帝都知ってる?」

「いや、亜露村の隣で生まれたことと、昔右炉でかなり激しく活動していたことくらいしか」

「うん、娘の牧森麻弓の存在は?」

「ああ、Leeの同級生だろう?」

「じゃあ単存だと思ってる?」

「、、、もしくは三閉免疫不全。でも生き延びるために開望と双子であることを生かして、、、」

「牧森麻弓は百舌鳥柄遺伝子よ」

恵が俺に抱きついて話を続ける。目を見せることで俺が混乱しないようにしてくれたんだ。

「牧森麻弓は百舌鳥柄遺伝子だったの。Me-Lizalyはそれを知らなかった。彼女も言えなかったんだと思う。父親の立場がわかっていたから。そこで書生だったZyaylaに泣きついた。頭角を表したかった彼はSWLの創設を提案した」

腹の中であばれる蛇を必死に押さえ込むけれど恵の匂いに俺は限界を迎えそうだった。

「めぐ、ちょっと、、、」

「いいよ。また続きは明日話してくれる」

蛇はやっかいだ。恵はその扱いをよく理解しているから蛇より厄介な存在だ。世界中誰でもなく、世界中の男の中で俺だけにとって。






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