第23話 extension to fast

セオと群青が初会合を果たしてから数時間後、セバスチャンとビル、それからスカーニーの鶴の一声でAmadeus Juryの臨時会場の増設が決まった。定刻、定場ではないフレキシブルなシステムは今まで帝冠任務で行われてきた拷問と同じ形でありながら別のアプローチを取ってサリエリ処刑直前の儀式のようなものになることが決まった。数が捌けるという意味でも合理的だとビルとセバスチャンは誇らしげに説明図を見せながらあたしたちに説明してくれた。

スカーニーはオルレアンから貰い受けた会場をそっくりそのままセオと群青に譲渡した。セオは恐縮して、「なんて言ったらいいか、、、」というフレーズを申し訳なさそうに何度も何度も繰り返すばかりで、ありがとうの言葉さえ足りないという様子だった。他方セオはその会場をどう使いこなすかに頭をひねっていた。怒りはすでに沸点を超えていていくつもの小瓶にラベリングして保存しているほどった。

セオと群青に与えられたその会場にはあたしも時々足を運んでいる。失礼な態度をとる人間は万国共通僻み根性をルーツとしてGossipとして、わざわざ海を越えるに至ることを見せつけられた気がしていた。

また不思議なことにセオを恐れる人というのは群青を侮り、群青を恐れる人というのはセオを侮っているという傾向を見つけたあたしは、セオと群青とあたしがいることで大抵のことは乗り越えられるのではないかと考えた。


翠蘭さんは三閉免疫症候群の央観家のお嬢さんだが、実は翠蘭さんにも長年面倒ごとがのしかかっていた。これはつい最近あたし自身が気づいたことであって、優しい翠蘭さんは心配をかけたくなかったのかあたしにそのことを言ってはいけないと口止めをしていたらしい。その面倒ごとも土日に右炉所属の先生が「めぐみさんとお父さんが承認してくれたらそれで公式な唯一無二の母として公文書化できるんですよ」と教えてくれたので、あたしは学校からの帰り道に書面にサインをした。

そんなわけで月曜日から翠蘭さんはあたしの唯一無二のお母さんとしてこの世に存在することとなる。

「ねえ、翠蘭さん。父上とか免疫症候群の人たちもそうだけど、Amadeus Jury一緒にやらない?今まで何もお手伝いできなかったから。あたし、帝冠任務はできないけどAmadeus Juryならできるよ。父上のリハビリにもなるし」


スカーニーが返品された理由は話したかどうか忘れたけれど、もう一度改めて明記しておくことにする。

昨年の大晦日、亜種白路と百舌鳥柄の連立理事会がKTCの子どもにスカーニーの脳の血管を特殊なアームを使って切断させた。これは反逆共謀罪としてすでに10月1日にAmadeus Juryでサリエリ認定がされている。

死にかけたスカーニーが返品されたのは「ここで負けたらめぐちゃんは誰が守るのよ!」と衣子さんに怒られたからだったわけで、硫黄の淵の朱雀雪芸との会合の涙もそんなことが理由だったらしい。

(硫黄の淵の会合の話はあたしも泣いてしまった。)


サリエリ認定は亜種白路と百舌鳥柄の連立理事会という組織に対して結審されているだけで、個人個人の処分に関しては12月までかかることが予想されている。


セオも群青もこのサリエリ認定後の個人個人の処分に関しては最大限以上に協力してくれているが、実際彼らだってGossipや亜種白路、百舌鳥柄たちからの攻撃に30年以上甘んじてきている。


ビルもスチュワートももちろん酷いGossipにやられた経験がある。Throenとして守られていても、その外には亜種白路子飼いの雑多な動物たちが夜も昼も構わず命令とつまらない嫉妬心を燃料として声のかぎりに吠えていたことは言うまでもないだろう。


Finish it before Christmas. To avoid repeating the same day when they committed the crime of treason and conspiracy to us.

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