第16話 7つの大罪詳細
世界はMjustice-Law家を知るものと知らないものがいて、そこからさらに三層にわかれている。Mjustice-Law家を見上げるアマチュアと呼ばれる人々、Mjustice-Law家に雇われて象徴を演じるプロフェッショナルと呼ばれる人々、そして、Mjustice-Law家を実務面で支える人々だ。
三閉免疫症候群の人々はこの度10月より、この実務面で支える秘書に任命される。公式な任命式は、9月14日、恩賜公園で行われた。スカーニーとめぐみも参列した公式なものだった。
帝都も基実もセオもスチュワートも一旦はプロフェッショナルとして活動していたが、こうして第二シーズンを迎えるにあたりいよいよ実務面で支える側に組み入れられることになる。
7つの大罪の最後のワンピースが調査により判明した。
実務面での役割を空売りの信用としていた亜種白路は、どうしてもめぐみの存在を自分たちの手中に収める必要があった。好き勝手に動かれては話の合理性に欠けるからだ。
プロフェッショナルとして一時代を築い小谷野ノブヤという人を知っているだろうか?亜種白路の忠実な飼い犬だった彼はもともとは流浪遺伝子だった。百舌鳥柄でもなければKTCの出身者でもない彼には何の信用もない。ただ使い捨てのつもりで雇ったのだが、うっかりスカーレットとカナリヤの話を立ち聞きしてしまったことから人生が変わってしまった。後ろ盾のない彼を百舌鳥柄も亜種白路も一番危険な仕事に従事させた。離婚歴は彼の借金の膨大さを物語っている。結婚式ごとに恥をかかされたことは界隈では有名な話だ。
この小谷野ノブヤは2009年、いよいよ首が回らなくなった。死ぬのか、出るのか、そんな選択肢を迫られた時に人生を変える出会いに遭遇した。
めぐみの人質先のいとこである和多田カレンはスカーレットと同じ中間一貫校である女子校を卒業し、医学部に在学していた。
彼女の噂は哀れな存在として有名な話だった。
「あの子の母親はMjustice-Law家の令嬢を盗んだ実行犯。その制裁で三菱商事をクビになった。偏差値70を超えていても有名私大を卒業しても決して正社員にはなれない。娘がいくら勉強して高学歴でも決して地獄から抜け出すことはできないというのに、無理をして私大に入れたらしい」
小谷野ノブヤはすぐさまスカーレットに連絡した。
「あなたと同じ中高一貫校の女子校を卒業しためぐみさんのいとこが私の目の前にいます。彼女をめぐみさんの代わりとして世界に売り込むのはどうでしょうか?いとこですからめぐみさんのお小さい時との整合性も取れるでしょう」
スカーレットはカナリヤを連れて和多田カレンの品評を行った。
「まあ、合格でしょう。最初は、、、そうね、セオとして書いてちょうだい」
2010年、無理矢理ではあったが小谷野ノブヤは和多田カレンと結婚した。14歳という夫婦の年齢差はセオを演じるプロフェッショナルと近い年齢差だった。悪くない。
2023年、ヨハネ・ジョシュア・パウロそれぞれのMjustice-Law三家に対する7つの大罪が出揃った。
カナリヤを中心とした亜種白路
スカーレットや栗生善祈を中心とした百舌鳥柄
タクトホルムズストレイトを中心としたKTC
ジェラルド麻野や羽都希咲を中心としたセブンティーンズ
幹 広定と水上優太を中心としたイレブンス
和多田カレンと小谷野ノブヤを中心とした亜露村
そして、まりややミア、杉尾亮や奈河康国などの流浪遺伝子たちである。
オルレアンとスカーニーは2010年より彼らの処分に関して意見は一致していた。
「和多田カレンと小谷野ノブヤは17日からトレーニングを開始し20日が処分期限。それにしても9月後半はすごいな。駆け込みだなあ」
金融連邦の監永がホワイトボードに和多田と小谷野の名前を書き加えていく。
「監永さん!三閉免疫系から電話です。緊急ですって」
事務所の看板も約20年ぶりに公表することができるようになった。体に刻んだ印がまさか自分の命を救うとは。界隈は今とても忙しい。目の回るような忙しさの中でも誰もが明日に希望を見ることができている。
スカーニーとオルレアンは彼らの命の鼓動を感じることが嬉しくて仕方がない。
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