第11話 opposite daylight

元老院が亜種白路から支配権を完全に取り戻したのが8月6日。烏鷺棋第二シーズンを前提に叙勲を含めたMujustice-Law家のスタートが8月5日。


亜種白路はその後も継続してMjusitice-Law家の謁見広間や元老院の定例会議にスパイを送り込んでいた。

「金融連邦からの締め付けがあるということをなぜ理解できないんだ?」

苛立ちが増幅していく。


金融連邦はMjustice-Law家の烏鷺棋本体でもある。次代はこの金融連邦での経験をもとに当代への階段を登っていく。元老院はMjustice-Law家と金融連邦を支えるが、長らくこの元老院が亜種白路に独占されていたために、空売りが見過ごされてしまったという経緯がある。


「もとはどこだ?どこから送られてきている?」

各所に監視カメラが人海戦術で設置される。人の目と人の心は何よりの監視になる。三閉免疫症候群だけでなく、元老院やMjustice-Law家として叙勲を受けたひとりひとりが祖国に応援要請をした。


ある木曜日のことだった。

ビルがいつものように祖国への連絡を終えて、散歩に出かけようとしているところ、その日はたまたまミーティングもなくのんびり過ごす予定をしていたから珍しくひとりでいるときだった。

必ず護衛はつけてくださいと、本国からの忠告も何のその、自分は海軍士官まで務めたという自負が時々ルールを破らせる。


「それ、いくらだったの?」

最近は声色でわかるようになった。奈河康国に似た男の子が杉尾亮に似た男の子のスマートフォンを覗いている。さしずめ、亜種白路が好む男の子とKTCのリクルート対象になるタイプの男の子たちだった。

「最初は1万円、でもデートできたら逆に30万円くれるんだって」

「なにそれ?なんなの?え?どういうこと?」

「デートっていうのは違うけどね。なんかVIPの護衛だから、こういうバイト形式で集められているみたい」

「マジで!!最高じゃん!!俺もできる?」

「たぶん」

「じゃあさ、教えてよ!どこにアクセスするればいいの?」


「うっわ、キモい」

男の子たちに聞こえないような声がビルの隣から聞こえてきた。まりやのような女の子とミアのような女の子だ。さしずめ、亜種白路のお嬢さんたちの取り巻きとKTCが留学させていたような女の子たちだ。

「ねえ、私の親戚のおじさんがここでセミナー開くんだけど来ない?2泊3日で2万くらいなんだけど」

さらっとチラシを渡してがサラッと読む彼女の目が最も集中したのは、そのあとに行われる「フィードバック」と称されたパーティの箇所だった。

「え!ここVIPしか来れないところじゃん」

「うん、そりゃそうだよ。だから公募はしてないんだって」

「へえ。お願いしたい」

「わかった。お金の振込はここに明後日までに。必ずLINEで登録してね」

「オッケー」



「これがスパイの正体だ」

元老院とMJusitice-Law家と金融連邦の初会合が行われたのが8月25日。

ビルの解説が亜種白路を白日に晒したことは言うまでもない。

「内容は興味を引くものであればなんでもいいようだ。彼らの目的は今もこの島の人々には隠されている」



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