第27話 エンゲ辺境区に到着 

僕も馬車のところに戻って、みんなと合流した。

休憩後の馬車は何事も無かった!かのように順調に進んでいる。

と、マリカとカリンから不審な顔で見られていたんだけど・・・


「ねえ、さっきから、なに二人でこそこそお話してるの?」

「そうそう・・・」

「いや、違うぞ〜 なにもコソコソなどしていない、なあ、ケンジ?」

僕に振りますか?・・・・


いや・・・なにね、馬車が動き出してから、ずーとソウなんだけど・・・

エリカが僕の隣に来て、耳元で・・・囁いているんだよね〜

(なあ、あれ、本当にもらってもいいのか?)

(欲しいんでしょ?)

(ああ、魔法鞄は・・・まあ色は別としても、欲しいな・・・)

(なんなら、色とか形を変えてしまいますか?)

(なに? そんなことが可能なのか?)

(まあ、出来ますよ・・・!ですけど・・・)

(ケンジ? お前、何者?)

(そんな〜 悪者みたいに言わないでくださいよ〜 Cランク冒険者ですが?)

(そんなわけ、ないだろ!)

(イヤイヤ・・・)


なんて小声で話してただけなんだけどね・・・

「まあ、そんなことはもう!良いですから、どうか二人のところへ戻ってください」

「そうか・・・分かった・・・」


そのあとの旅は、ただ綺麗に整備された道を走るだけ!という平和な馬車旅で、夕方には辺境のエンゲ地区に到着できた。うん、馬車は早かった!

一日で来れるんだ〜 ってことが分かったよ。

馬車を降りて、さあ検問をくぐろうか・・・ってところで、御者さんから声をかけられた。

「なあ兄ちゃん、今日は助かった! ありがとうよ!」って、乗車賃を返してくれようとするので、押し戻して、「いや、こちらこそ、お世話になりました」

って答えておいた。

そのまま歩いて検問へ向かう。

まあ、検問には、なぜか? ウラル警備隊員がいたようだったから、メリルにはこの様子は伝わるだろうな・・・

3人はこのまま警備隊に顔を出すというので、

「なら僕はここで失礼します」って離れようとしたんだけど、エリカにガッチリ腕を掴まれてしまった。どうやらまだ帰してはくれないようだ。


まあ、ここは西門だから警備隊舎は近いんだけどね・・・

そら、やっぱり・・隊舎の前にはウラルと並んで、メリル隊長がいる。

エリカが走って寄っていった。そのまま引っ張られるように走らされたが・・・

「あら? メリル? 出迎えありがとう!」

「なに?! エリカじゃないの! どうしたの急に・・・ それに、あら? そちらは・・・ケンジさんでは・・・ないでしょうか? ・・どうしてココに?」

うん? 何かおかしな雰囲気になってないか?

「ああ、たまたま人身売買関係の書類を入手したので・・・エリカさんに渡してありますから・・・あとはよろしく!」

と言い残して・・もう瞬歩!で走って逃げ出したよ〜

「「ケンジ!〜」」って、何か?声が重なって呼ばれた気がしたけど・・・もう勘弁してくれよ〜

あ、しまった。依頼報酬の残金をもらい忘れた、まあ良いか〜

しばらく、警備隊には近寄らないようにしよう!


そのまま警備隊の裏に回って「異空間住居」に入った。

なんか・・ほっとする! (グウ〜)・・・そうか、腹減ったな。どこかで食べて来ればよかったよ。

まあ、適当に収納から出して食べて、果物も食べて精霊水を飲んで、ベッドに横になった。スラなんて僕より先にベッドに上がっていったんだぜ〜 こいつ〜


翌朝は果物を食べて、気晴らしに冒険者ギルドへ出かけてみた・・・

しまった、忘れていたよ・・・ギルドの中では、メリル隊長とエリカが、誰かを待っていたようだ、まあ、僕だろ?

「やあ、ケンジ、お早う! ギルドに指名依頼を出しておいたからな・・・よろしく!」

なに?

「ああ、ケンジさん!ですか?・・・ご指名が入っていますよ〜」 のんきな受付嬢だよ・・

依頼者は、エリカ

依頼内容は、1週間、エンゲ地区での護衛および、王都までの護衛

報酬:金貨10枚


おお、これは・・僕を拘束するつもりなのか?

何故か隣で、メリル隊長が、「エリカ、いけません、ケンジさんは駄目です・・」

とか言ってるけど、

「なに? メリルも一緒に来たいの? 良いわよ?」

・・・一体、何を話しているんだ?


「あのぉ〜ケンジさん? これ、受けますか?」 受付嬢が困った顔をしてるけど・・・

これ、受けなかったら、どんな騒ぎになるんだ〜 ああ、めんどくさい!

「はい、受けますよ、何か変な騒ぎになりそうですし・・・」

「はい、ありがとうございます。こちら依頼報酬で金貨10枚です」

って、手渡された。今度は全額前金かよ〜


「エリカさんですね、僕が指名されましたケンジです。依頼をお受けしましたが・・・具体的には・・・何を?」

「そうね、まあここを出てからゆっくり話しましょう・・・」

僕の腕を取ってギルドから出る。

「あれ、あの二人は?」

「ああ、今日はメリルのところの訓練に参加するから・・・」

ということは、・・・

「そう、今日はケンジと二人だけ。デートをしましょう!」


まあね、美人さんだし、頭も切れるし、悪い気はしないんだけど・・・いいのかこれ? 向こうで、メリル隊長が何故か睨んでいるけど?


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