第13話 バーベキュー
午後も遅くになって、無事、現場に到着。早速、街の衛兵逹を帰して、メリルたち警備隊が見張りを代わることになった。
僕も急いで警備隊の大テントを2セット出して、設営の手伝いをする。
「ああ、あんたは良いぞ! やんなくても! ここからは、我々の仕事だからな・・・」
と、まあそう言われましてもね・・・なら、今日の夕食でも用意してあげようか・・・
「皆さん、夕食はどう?されるんですか?」
「うん? 各自で用意したものを食べるけど?」
「まあ、今日は、僕がみなさんの分を用意しても良いですか? お近づきの印に!」
「おお・・・そうか? 助かる!が・・・」
「何か、苦手なものとかあったら教えてくれますか?」
「ああ、大丈夫だ、アイツラ・・・食うものがなければ、靴でさえ食べそうだからな・・」
「隊長! それはあまりにもひどすぎ!ます〜」
「私は何でもいいわよ〜」
「ああ、なら、私は、肉々しいのが良いな」
「あ、私も!」・・・・
ってことなので、まあ、肉メインですね・・・
人数も多いし、面倒も嫌だしね、簡単に、焼肉ベーベキューかな?
肉は、僕の手持ちから出すとして、オークとワイバーン、野菜は具沢山のスープで良いか、それに食後の果物をつければ・・・
収納から竈を出して火を起こし、テーブルを出して椅子を6脚出す。
スラも出て来て、僕の肩の上で弾んでいる。
竈の横に仕込み台を出して、肉を一口大に切り分け、早く火が通るようにやや薄切り。
炭水化物は、じゃがいも、かぼちゃ。あと、玉ねぎを切り分ける。
バーベキューソースは、街の屋台で売ってもらったものがある。美味しかったので、無理を言って分けてもらったものだから、まあ、これでいけるだろ?
大きめの鍋を出して、野菜と肉の切れ端を一緒にして煮込み開始。隠し味程度に味噌をいれて、あとは香辛料で風味づけ、この世界で高価な胡椒も多めに入れた。
あっ、みなさんから器を預かるのを忘れていた。まあ、僕の手持ちから用意しよう。
スープの深皿と、焼いた肉、野菜を乗せる大皿を各6枚出してテーブルに並べる。
果物も、りんごを切り分けて、塩水に通して、冷却魔法で冷やしておく。
テントの設営も終わったようなので、肉を焼き始める。まずは、オーク肉からかな? キャベツの千切りを皿の半分に乗せて、空いた場所に焼けたオーク肉を並べた。各自4枚くらいかな? おかわりは・・・材料はあるから各自で焼いてもらおう。
ワイバーンも焼肉だ! みんなにワイバーン肉がわかるかな?確かワイバーンは、最高級な食肉のはず・・・
焼けたものを、各自に3枚ずつオーク肉の隣りに寄せて並べて、仕上げにステーキソースを振りかけて、テーブルに並べて置いた。
「何か良い匂いがするって思ったら、これは・・・・ケンジが用意したのか? 凄いな!」
まあ、食べてから、感想をもらいますから・・・・
「おお、オークのキャベツ添えかぁ〜 うまそうだ!な・・・」
って、みんな無言!で食べている。まあ、この人たちには、やれお酒だ、とか乾杯とかが無くて良かったよ。お酒は少ししか収納してないしな・・・まさか? 精霊酒を出すわけにもいかないだろ?
「あれ? こちらのお肉は? ・・・・美味しい! これは何?」
「あっ、本当だ! これ良い!」
「美味いでしょ? なんの肉かな? 当ててみてくださいよ〜 当たれば、特別におかわりを差し上げます」
「なんと? 肉の種類をあてれば、おかわりしても良いというか?」
「はい」
そのあとは、わいわい、ガヤガヤ・・・魔牛? 魔豚? 魔鳥? コカトリス? などなどいろいろ手が上がったが、・・・「残念! みんなハズレです」
「ケンジよ、この肉は?」 「はい、それは・・・・・
ワイバーンの肉! でした!〜」
「おおおおお〜〜〜 ワイバーンだと? お貴族様でも、タマにしか食べられないという、あの?」
「まあ、どの程度かは知りませんが、ワイバーンです。僕が狩ったものですから、間違いありませんよ・・」
「なに?ケンジは、ワイバーンを狩れると?」
おっと・・・口がすべったよ・・・
「まあ、強い冒険者に同行しておこぼれをもらったんですけどね〜」 うん、話をそらそう!
まあ、なんというか、かしましい? 夕食だったな。片付けようとしたら、スラが出てきて、(僕が綺麗にするよ〜)って言ってくれてる。
そういえば、こいつ、前にも、食器などを綺麗にしてくれたな・・・
でも、今日はちょっと多いぞ〜
(平気だよ〜 このくらい・・・)
って言って、一気に、テーブルの上の皿などを膨張させた体内に取り込んで、綺麗にして出してくれてる、(ありがとう!)
「なあ、そういえば、そのスライムはケンジの従魔ということだが、そういうことのために飼っているのか?
「ははは、違いますよ。こいつはスラって名前ですけど、僕の相棒!なんで。こういうことは、スラの楽しみ?みたいなものですから・・・」
「ふん、不思議な生き物だな? しかもそこまであんたに懐いているんだな」
「ええ、まあ、そんなところです」
皿が全部片付いて、今度はバーベキューコンロに取り掛かっているな、肉の焦げたのも、油も、網にこびりついた物も、きれいさっぱり。もう、あっ!という間に新品状態になった。
何故か、それを見ていたメンバーから、拍手がおこっている・・・
(主〜 あれは何? 手を叩いてパチパチ・・・って?)
(ああ、あれは、拍手って言って、素晴らしい相手を褒めるときの合図かな? 今は、スラが食事のあとを綺麗にしてくれたことへの感謝!だな)
(ふ〜ん、面白いね!)って、その場で、ポンポン弾んでいる。
まあ、そんなスラを見て、また拍手が大きくなったけどね〜
「ケンジ! ありがとう、美味しかったよ・・・ まあ、今日は夜番は良いから、ゆっくり休んでくれて構わないから・・・」
「えっ! 夜番くらい僕にもできますよ?」 「ああそうだろうが・・・ケンジは・・・ イヤ良い、とにかく、今晩は休んでくれ!」
「はい!解りました」
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