第10話 黒猫捜索依頼
(スラ! わかるか?)
僕の肩の上で弾んでいるスラに念話で話しかける。
(うん、主〜 変なやつが僕たちのあとを付けてきてるね〜)
(そうそう! アイツラの様子、気配を探れるか?)
(うん! ・・・・ 主のお金を狙ってる? 二人組で、少し離れたところにもう二人の四人だよ!)
うん? 奴らの記憶を読んだのか? あとは、気配察知か、なかなか・・・
(スラ、偉いぞ! よく分かったな・・・)
(うへへへ・・・スラ、主に褒められた!嬉しい!)
(よしよし・・・まあ、ここは僕がやるから、スラは、見ててくれるか?)
(うん、良いよ! 見てる!)
・・・こいつ、なかなか頭が良いな・・・本当にスライム?なのか?
まあ、こういう連中はどこにでもいるよな。商業ギルドの中で僕を監視していたんだろう、それで、僕に大金が入って持っていることを掴んで、そのままあとを付けてきた・・・まあ見た目、こっちは弱そうな青年が一人だしね。スライムなんかを肩にのせていて、ペットか何かは知らないが、まあ、金持ちの青年なんか、どうとでもなる!っていうことなんだろう。
一応、鑑定!
*Cランク冒険者パーティ「海風」4人
・称号:詐欺、窃盗、殺人、
まあ、駄目な奴らだな、なんで? Cランク冒険者が殺人称号持ちなんだ?
普通は、冒険者登録時に、最低限のチェックはされるんだろ?
あと、名前は? この近くに海でもあるのか? まあそんなことは今はどうでも良いけどな・・・
そのまま商店街を抜けて大きな建物の角を曲がって横道に入ったところで、隠密! スラにも隠密!してもらって、隅で座って様子でも見ていよう。
僕が急に曲がっていなくなったからか? 4人は一斉に走り出して、二人が角を曲がって今、まさに僕の眼の前5mくらい。まあ、見えてないだろうが・・・
「あれ? どこへ行きやがった? 確かにここに入ったよな!」
「ああ、俺もしっかり見ていたから間違いは無い!」
とそこへ後ろの二人も追いついてきて、四人で何やら話している。
「ちくしょう! あんな良いカモ、そうそういないぜ〜」
「そうだな・・・」
「まあ良い、次の獲物を漁るか? あそこは良いカモが見つけられるからな・・・」
と、まあ、そううまくはいかないものだよ?
全員に、気絶!をかけて行動不能にして、金属指定でこちらに転送!回収した。
冒険者カード4枚、金貨36枚、銀貨22枚、剣4本、ナイフ4本を回収。
とりあえず、こいつらを魔法鞄の時間経過空間に収納しておく。
あとで、どこかで出してやろう。
そのまま進んで、少し遠回りしてからもう一つの大きな建物、冒険者ギルドへ入る。何か面白い依頼でも受けよう!
掲示板に寄ってみると、依頼表のところに、「情報求む! 『海風パーティ』の情報求む!」って張り出してあるけど?
まあ、今は・・そんなのは置いておいて、目に付いたのは、これ「塩漬け依頼」だろ?
『迷子の黒猫を探してください! 報酬金貨1枚』って、これは・・・子供の文字だな。
それを剥がして受付に、Cカードと一緒に出して、依頼内容を詳しく聞き込む。
内容は、ギルドでもあまり分かってはいないようだが、黒猫、大体60cmくらい(尻尾別)、尻尾は黄色、紋章入りの首輪をしている。
まあ、なかなか・・・見ればすぐにわかるような黒猫だな。一応、紋章の図柄はもらえた。
いなくなったのは今からだと、一ヶ月前、ちなみに、その紋章は、エバンス伯爵のもので、猫がいた伯爵の別荘から失踪。依頼主は伯爵令嬢・・・手がかりとして、猫の抜け毛が少し・・・
まあ、なんとかなるかもね〜
ところで、あそこに張り出してある「海風」って何だ?って聞いてみた。
詳しくは言えないけど・・・と、小声で話してくれたところによれば、何か犯罪に関わってるかもしれないという情報があって、ギルドでも探している、らしい。
「ああそうなんだ〜 気に留めておきますよ」「はい、お願いします」
まあ、こういうのは早いほうが良いだろう・・・
ギルドの裏に回って、人の気配の無いことを確認してから、例の4人を鞄から出して、気絶!を再度かけておいた。彼らの横に、ギルドカードを4枚揃えて、あとは、剣とナイフを4本ずつ出して置いておいた。
さて、消えよう! 転移! で、エバンス伯爵の別荘近くへ移動。
スラを肩に乗せて伯爵別荘のまわりをうろうろしていたら、警備兵がやってきた。
まあ、そうだよな・・・「おい、止まれ、お前は何用でここにいる?」
「はい、すみません、冒険者ギルドの依頼で、猫探しの手がかりはないものか?と思って、ここにいます・・・」
って、依頼表を開いてみせてみた。
「わかった、こちらへ!」
って、門のところまで連れていかれた、まあ「連行」とも言うな・・・
一人が屋敷に走っていって、・・・少女と一緒に戻ってきたね。
「こんにちは、ミレッタと申します」
「ああ、突然すみません、僕はケンジ、冒険者です、はじめまして、ミレッタ様!」
「うふふ、なかなか礼儀正しい?冒険者様なのですね! まあ、どうぞ!中へ・・・」
*エバンス伯爵別荘にて、令嬢ミレッタ
(お嬢様、よろしいので?)
(良いわよ、彼は礼儀正しい冒険者だから・・・)
なんかヒソヒソ聞こえてきたけど、庭の東屋へ案内された。どうやらそこが黒猫のお気に入りの場所だったようだ。そこへ使用人が、箱を持って現れた。その中には、黒猫関連のものがいろいろ詰め込まれていたよ・・・
話では、いつも、黒猫は・・・
午後は勝手に散歩に出かけて、夕方、夕食前にはきっちり戻ってくる、というパターンなのだけど、ここ一ヶ月くらい前に帰ってこなくなってしまった、ということらしい。黒猫は生まれてすぐのころからペットとして一緒にいたので、・・・寂しい! 心配! ってことだ。
「こんな貴族絡みのしかも猫探しなんていう面倒な依頼、見向きもされなくて悲しい思いをしておりました・・・、どうかよろしくお願いします」
「はい、お気持ちは察します。できるだけのことはやらせていただきます」
と、金貨1枚を出されたよ? 「これは?」
「取り掛かり料です、どうぞ!」とは言われてもな〜 まだなんにもしてないし・・・金貨の受取は丁重にお断りした。その代わりにではないけど、黒猫関連の物を適当に預かっても良いか?って聞いたら、「どうぞ〜」っていうので、まあ、箱ごと預かることにした。
周りには、使用人がいたので、人払いをしてもらってから、鞄に収めた。
「まあ! その鞄は? ・・・」
「秘密で!お願いしますね」 「はい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます