第4話 異世界転生と魔法鞄 

あと1時間か〜 

これは転生神から言われたこと、もしこの魔法鞄を無理やり開けようとするものがいれば、催眠魔法・麻酔がかかって、その者たちは、僕ケンジに関する記憶、痕跡をすべて失う。同時に、僕は次のどこかわからないところへ強制的に転移させられてしまう・・・強制的に、この世界からだ・・・

これは、加護なのか?呪いなのか? よくは解らないが、まあ流石に4回も経験してると慣れたよ。次、5回目の転移先は、どこだろう?

同じ世界のこともあったし、別の世界、別の時代、どこかの並行世界のこともあるらしい。

変わらないのは、この魔法鞄の所有者である僕自身。そうそう、僕の経験や記憶、スキルや魔法、収納されている物など、すべてそのまま引き継げることは幸い?なのかな。生前や前の世界での記憶までしっかりある。


それと、この魔法鞄のもう一つの機能は・・・この鞄がへの鍵になっていることかな? これこそは「加護」だろ! 

僕が鞄に触ったりして「住居」へ行きたいって思うことで異空間にある住居へ行けるんだ。「住」の確保をしてくれてる? 


今回みたいに、勝手に開けようとされて催眠、記憶消去などが行われることで起動する強制転移は、1時間以内にこの異空間住居に入ってしまえば良い。今度ここを出るときには、別世界! という仕組みだ。


転移にはもう一つの起動方法があるんだけど、まあつまりは、僕自身が「強制転移」を発動させれば良い。その場合でも、当然のように、それまで僕が居たその世界から僕の記憶も痕跡も、なにもかも消えて、僕の体は次の世界へ転移させられる・・・

そして、転移後の僕の姿形や年齢などは行き先の世界に合わせて神が作るらしい・・・

この世界では、25歳 Cランク冒険者だったけど。


何か・・・おかしな神の遊び?に組み込まれた?感があるけど・・・拒否するなんてできなかったし・・・



*****



日本で暮らしていた記憶で最後の方は、大学は出たものの就職もしないで、好き勝手なことをやっていた生活だったが・・・夜中にコンビニでビールとつまみのちくわを買っての帰りに、コンビニに突っ込んできた酔っ払い運転の若者の車に押しつぶされた。

記憶では、どこかの病院のベッドの上、離れて住んでいたはずの母親の顔が見えるが、口は動いているのに声は聞こえない。きっと、「けんじ〜」とか僕を呼んでいたんだと思うけど・・・声にならない声で答えておいたよ・・

(母さん、ごめん! それと、ありがとう!)ってね・・・ 

まあ、一人で寂しく死ぬことにならなくて?良かった。まわりには迷惑をかけるけど・・・



*****



そのあとの記憶は、恐らく、異世界召喚されてきたどこかの宮殿?の広間?

そこには、僕の他にも12人くらいの男女がいた。みんな若いよ、10代だね。僕とあと2人だけだ、20代っぽいのは・・・

なんとなく、直感的に「」なんて心で唱えてみたら、見えてしまった。


▶ケンジ 転生者 レベル600

・称号:勇者

・スキル:転移、収納、鑑定、

・魔法特性:全般(得意魔法:風、光、回復)


あっ!・・・・これ駄目なヤツだよ? 鑑定を開いて、いろいろ辿ってみたら、スキル偽装!なんていうのがあったので、早速やってみた。

うまく、勇者称号を消して、スキルは、身体強化、魔法は風、と書き換えてみた。

誰も勇者なんてやりたくはないだろ? いい話は聞かないし(・・・どこかの小説で読んだ・・・)

一人一人、大きな水晶玉みたいな鑑定器?でステータスを鑑定される順番がまわってきた。


*ケンジ 転生者 レベル80

・称号:商人

:スキル:身体強化

・魔法特性:風


と、だけ鑑定されたよ・・・ 豪華なローブをまとった人に、みんなとは引き離されて、別室に案内された。

「お前は商人に向いているようだから」って、金貨5枚とナイフ一本が入った鞄を渡されて、警備の人に案内されてそのまま宮殿から出された。 

特に、誰かに呪いをかけられる?とかそういうのは無かったな・・・


なんだよ? 勝手に異世界召喚しておいて、自分らの期待した者では無いということで、お払い箱?か・・・まあ、丁寧に追い出されたけど・・・

うん?まあ危なかった!ってことだ。何か、金貨までもらったけど、これって?どれほどの価値があるんだ?

鑑定!を使ってみた。

*アカペリ王国金貨 純金含有量30g 


うん?良くわからないけど、金の価値からすれば20万円相当?ここの物価は知らないけど、金貨5枚で、100万円? 凄い金をくれたものだな。

まあ、街で確かめればわかることだ。


再度確かめてみる、ステータス!


▶ケンジ 転生者 レベル80(※600)

・加護:     (※転生神) 

・称号:商人   (※勇者)

・スキル:身体強化(※転移、収納、鑑定、)

・魔法特性:風  (※全般(得意魔法:風、光、回復))


うん、大丈夫だ、偽装はそのままになっている。

宮殿を出たあたりの大きな木の根っこに腰掛けて、少し休む。頭を整理したい!

幸い、人通りもないし、人の気配も無い。鑑定のマッピング!を使ってみたら、

どうやら、気配を探りたいものを意識すればその場所を示してくれるらしい。

周りに野良猫を見かけたので、猫の気配を意識したら、マッピング!できた。

僕のまわりには、3匹潜んでいるらしい。まあ、特に襲ってくるとかは無いみたいだ。


収納に意識を向けてみた。(容量無限、時間停止)そしてこの中に鞄が1個入っていた。


*魔法鞄(容量・大、時間停止):神級神器

:転生神の加護、不壊、盗難防止、使用者限定:ケンジ


この鞄の「転生神の加護」が曲者だった。強制転移の起動と異世界住居が(収納・大)の他に付いていた。

強制転移の起動はさておき、異世界住居は便利そうで興味が湧いたが・・だけど、使い方は・・・不明。

まあ、そのうち・・・わかるだろ?


宮殿でもらってきた鞄を僕自身の収納に入れるように意識してみたら、手から消えてなくなり、収納品の目録に表示されている、

*王家の鞄:ワイバーンの革製:金貨5枚、ナイフ(ミスリル製)


そうか! 入っているものの明細がわかるんだな、金貨1枚を取り出すイメージで、手のひらに金貨1枚を取り出せた、これは・・・便利!だ。

何か、豪華な鞄だな、と思っていたけど、王家の鞄? これはおちおち見せられないな〜、王家の関係者でもないのに、いろいろ探られそうだ。

なので、普段使いの鞄は転生神の収納の魔法鞄にしよう! こっちのほうが見た目が普通っぽい。

まあ、この世界での収納鞄の普及率がどれほどか?は知らないけど、とりあえず、僕の収納スキルのには使える。

試しにいろいろやってみたら、この魔法鞄から取り出すフリして僕の収納からナイフを取り出すこともできるし、逆もできる。まあ、なんでもできそうだよ。


なんていろいろチェックしていたら・・・頭の中に画面が浮かんだ!なんだ? メールか?

差出人は、転生神

題名は、収納鞄と異空間住居について


・・・・マジ? 


いろいろ書いてあったけど、つまりは・・・


収納鞄の強制転移に関しては、この収納鞄を僕以外の人間が開けようとすると、催眠魔法がかかって、その者たちから僕に関する記憶がなくなり、その世界から僕の痕跡が消える。これが転移の起動スイッチで、1時間以内に異空間住居に逃げ込む必要がある。そうでなければ、僕という存在自体も消えてなくなる。

もうひとつ、強制転移のスイッチがあって、それは、異空間住居の中で僕自身が「強制転移」を念じれば良い、というもの。その場合には、翌朝には(実際には寝て起きたら)別世界だ。


異空間住居の使い方は、収納鞄に意識を集中させるか、鞄に手を触れて、「住居」を意識すれば、鞄ごと異空間へ瞬間移動できるらしい。前にいたところとは完全に空間が違うので、僕の存在は消えている、ただし、異空間のこちらからは、現在の外の様子を見ることができるので、出る時の確認ができるらしい。住居から出る時は、鞄に手を触れて「住居解除」で、鞄を持ったまま、外の世界へ転移する。


まあ、使っているうちに、詳しく分かってくるかな?


早速、今日はここで住居に移動してみよう・・・「住居!」


うん? 確かに異空間に転移されたようだ。だけど、結界の中から外を見る感じで、いままでもたれていた大木が見えてるし、周りに潜んでいる野良猫もわかる、遠くには宮殿の門まで見えるな・・・まだ、さっきの世界に隣接?しているから?だろうか?

でも、もう僕自身はその大木のそばから突然!消えてしまったんだろう。


驚いた!住居、屋敷は大きなホテルのスイート並みだね。居間と4部屋の寝室、風呂・シャワー・トイレ付き、水もお湯も出る。これどうなってんだ〜?

キッチンもあるから食事も作れる。まあ、僕は作らないだろうけど。

寝室は、極めて清浄。これ、そういう魔法がかかっているのだろう。クリーンとか?

なんていろいろ見て回っているのに、息苦しさは無い! 空気があるのかな? 良くできた異空間住居だよ、感謝! 転生神様! 

一人の時は、もうここで決定だな・・・


*母の記憶


*異空間「住居」




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