第5話 スラ 従魔スライム
(5回目の強制転移)
・・・森の中だ。異空間住居の中から眺める外の様子。
しばらく見ていたけど、あれ? 生き物が居ないのか? またまた、僕はどんな顔してこの新しい世界に出れば良いのだろう?
まあ、危険な気配は無いようなので、住居を解除して外へ出てみた。
うん? 空気が澄んでいて気持ちが良い。
少し歩いていたら、小川の水の音が聞こえるので、そちらへ向かう。
鑑定!
* 精霊水:精霊界の水、飲用可
飲んでみた。美味しい! そうだ! 朝飯を食べてなかったよ・・・
収納の中を探してみれば、どこで買ったのか忘れたが、サンドイッチが入っていたので、それを出して食べる。ハム野菜サンドだ。どこだったかな? こんなの入っていたっけ?
たまに、僕の知らないものが僕の収納に入っていることがある、誰かが僕の収納にアクセスしているのか? 誰?ってまあ、あの方だろうけど・・でもまあ、ありがたい。
これは? 日本のコンビニのサンドイッチみたいだな? 美味しいよ〜
それに、この水がなかなか食べ物にも合う!
・・・と、ふと見れば、小さな5cmくらいの水色の玉が川の水際から現れたな、これは、小さなスライムだな・・・
口なんて無いだろうに、どこかから体内の余分な水をピュ〜って吐き出した・・・
(主〜待ってたよ!)
何だ? 何か聞こえたな・・・
(僕だよ、ここここ・・・)
えっ?どこだ?誰が話している?
(念話だよ? 僕は・・・スライムの僕だよ!)
何、念話? スライムだって? そこのスライムなのか? 念話?僕も使えるのか?
(使えるよ! だって、さっきから全部聞こえているし〜)
そうか、念話か・・・僕が思っていることが相手に伝わるんだな・・
(そうだよ〜 それ!念話!)
分かった! それで、君は・・・なんだ? 僕がここに来るのを知っていたのか?
(うん、知ってた。それで、ここでず〜と待っていたんだ〜)
(いつから?)
(うん?・・・昨日からかな〜)
(昨日だって?)
(そうだよ、光の玉さんが僕を川の水から作ったんだって・・・)
なるほど、光の玉が川の水からこのスライムを作り出して、念話能力を与えて、僕ケンジがくるだろうから、ここで待っていて、僕に従え! ということらしいよ?
なんだ?これ・・・・ 鑑定!
*スライム:(特殊)レベル80
・加護:転生神
・ケンジの従魔
・スキル:暴食
なるほど・・・仕掛けは転生神様か〜 既に僕の従魔になっているし・・・
(なるほど、分かった、待たせて悪かったな! それで僕に付いて来るってことなのか?)
(そうだよ、光の玉がソウ言っていたし・・・)
(まあ、ここだけの話しだけど、僕は、短期間で異世界を放浪しているんだけど、君とは短い付き合いしかできないと思うけど?)
(きっと! 平気だよ! だって僕、主の従魔だから・・・)
(まあ良い! で、君には名前は?あるのかな)
(無いよ、主が付けてくれるって・・)
まあ、ここは定番!どおり、「スラ」だろ!
(よし、スライムの君の名前は、スラ、です。わかった?)
(わぁ〜い、主に名前をもらった!よ〜 僕の名前はスラ! 主〜よろしくおねがいしま〜す)
(ああ、ああ、お前、会話がなかなか達者なものだなぁ〜)
スライムのスラに薄く光がまとわりつくように、体が光輝いて・・収まった。
再度、スラを鑑定!
▶スラ
・スライム:(特殊)レベル150
・加護:転生神、ケンジ
・ケンジの従魔
・スキル:暴食、言語理解、念話、体内収納、
驚き!だね、何だ?名前つけただけで、レベルが2倍! スキルが半端無いぞ!
大きさも、少し大きくなったか? 直径10cmくらい・・・
暴食って何だ? 鑑定!
*暴食:ありとあらゆるものを体内に取り込んで吸収する、物質、生物、魔法、スキルなど、対象を問わない。吸収した対象の要素を自身のものにすることができる。
ああ、なんとなくそんな気がしてたけど、恐ろしいスキルだな・・・
ちょっと試してみるかな・・・
(スラ、ちょっと試したいことがある。僕が魔法をぶつけるから暴食で吸収できるか?)
(うん、平気だよ、どんどんぶつけて! 僕、平気だから・・・)
本当かよ〜?
火魔法・火炎! を軽くスラに当ててみた。まあ、可愛そうかとも思ったけど、なんなら、後で回復してあげれば良いしな。
ところが・・・スラは、僕の火炎を浴びても・・・平気? なんともないようだな。
(スラ、熱くはないのか? 大丈夫なのか?)
(うん、主〜 ありがと、心配しないで! これで、僕もソレ、使える!)
って、僕に向けて、火炎を打ち込んできやがった! まあ、結界で防御したけど、・・・この野郎!・・・
(あはははは・・・驚いたなぁ〜! スラ、君は凄いヤツだな! 全く!)
まあ、ものはついでと、ヒール! 回復! 治癒! もスラに当てておいた。
これで、火炎と回復魔法を覚えたんだな。何だ?こいつ!
すごく頼もしい仲間?ができたぞ!
▶スラ スライム:(特殊)レベル150
・加護:転生神、ケンジ
・ケンジの従魔
・スキル:暴食、言語理解、念話、体内収納、
・取得魔法:火炎、ヒール、回復、治癒、
(主〜、何か水を入れる物ない?)
まあ、あるだろ?と、収納を探せば、何だこれ? カラの2Lペットボトルが6本入っているし・・・(これ、絶対に、あの方の仕業だろ?)・・・
ボトルを一本渡してあげた。
器用に体の一部をホースみたいにして、体内から「液体」をボトルに移し替えているな。
はい!って渡されたけど・・・まあ、とりあえず、鑑定!
*エリクサー 万能回復薬:怪我、病気、呪い、欠損の修復に効果あり
なんてことだよ! このスライム、何者だ?
(うん? 僕はスラだよ、ケンジの従魔〜〜)
きっと、この川の水が特別なんじゃないか? 僕の収納空間に、「精霊界の水」区分を作って、とりあえず、かなりな量を回収しておいた。 容器とか何もなく、ただ液体の水を収納したんだけど、何も問題は無かったようだ。これで、まあなんだ・・・飲水にも困らないな・・・
僕の肩の上にはスラが乗って、跳ねている。よく落ちないものだ。
現在、目の前では・・・青い鳥がいて、周りを魔狼たち6頭に囲まれている。なんというかまあ、かなりやばい状況かも、青い鳥にとっては・・・
(主〜、スラ、あの子を助けたい! やっても良いかな〜)
ああ良いよ、なんて気楽に返事をしたんだけど・・・
僕から降りたスラが、魔狼たちにピョンピョン跳ねながら近づいていって、いきなりの火炎!しかも、火炎放射!で、魔狼たちに先制攻撃だよ!
まあ、致命傷まではいってないようで、今度はスラが魔狼たちに取り囲まれた。
まあ、次に打つ手が無いのか? ビビっているのか? 知らないけど、スラの動きが止まってる。
(・・・・主〜 助けて!・・・)
はいはい、もう! 仕方がないな〜 魔狼たちを、加重!で動きを抑えてからの〜 光射!を魔狼6頭に一斉放射だ! ・・・終わり。
スラが、飛び跳ねて戻ってきて、僕の耳元で・・・
(主〜 スラ、あいつひとつもらっても良い?)
(ああ、良いけど?・・・(どうすんだ?)・・・)
倒れている魔狼たちのうちの一番でかいやつの上に乗った?かと思ったら、スラの体がペシャってつぶれて、薄〜く広〜く伸びて、その大きな魔狼を包み込んでしまったよ。
見てれば、魔狼がどんどん溶かされている・・うん、あまり良い光景ではないな・・・
10分くらいたったかな? (主〜 終わった!)
確かに、あの大きな魔狼の影も形も、痕跡もないな。全部吸収したってことか・・・
(主〜、スラ、こんなこともできるようになった〜)
って、その場でジャンプ! 驚きの高さ20mくらい? そのまま地面に落ちてきても、ただ弾んでいるだけ?
鑑定! では、身体強化スキルが追加されてる・・・・
▶スラ:スライム:(特殊)レベル200
・加護:転生神、ケンジ
・ケンジの従魔
・スキル:暴食、体内収納、言語理解、念話、身体強化⇧、
・取得魔法:火炎、ヒール、回復、治癒、
しかも、レベル200って? なんだこの小さなスライムが? もうほとんどの冒険者のレベルを超えてるのか!
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