梓 高校2年
高校2年。飛鳥も無事にウチの高校に入学できた。入試直前まで勉強を見てあげたけど、正直言って不安だった。
「勉強って面白くないよね…」
「面白く感じる人は少ないかもね」
多分…飛鳥は勉強に興味が無い。だから適当にしかできないんだ。やらないじゃなくて、できない。興味が無いから集中できない。それでもそこそこの成績だから頭が悪い訳じゃない。
「国語や英語には興味があるみたいね」
「なんとなく…かな。本を読むのは好きだから」
テストの結果を見れば明らかにこの2つだけ良い点数。他は平均くらい。だから成績は中の上くらいになっている。
「…まあ、他が落ちなければ大丈夫かな」
「む~…頑張る」
無事に合格できたのは飛鳥がちゃんと頑張っていた結果。下校は部活があるから無理だけど、登校は一緒にしている。
2年になってもクラスメイトは同じなので特に変わり映えはしなかった。
清香とは同じクラス。三島君…透とは隣のクラス。透とは休み時間や部活に会えるから特に寂しくは無い。
「飛鳥ちゃんか~。最近、あまり話してないなぁ」
「飛鳥は清香が少し苦手だからね」
「私…飛鳥ちゃんに何かしたかな?」
「あの子は人見知りするから」
正確には飛鳥は清香みたいに親身になってくれる人が苦手。家族以外とは距離を取りたがる。あまり干渉されるのは好きじゃないみたいだから…友達もあまりいないみたい。
…清香以外の友達がいない私が言えた事じゃないけどね。
「人に興味が無いのに人に好かれる外見…難儀な話よね」
「そうだね」
「梓も三島と付き合ってなかったら…面倒な事になってたかもよ」
「…なんで?」
「可愛いからね。私が男だったら襲ってたわ」
笑いながらそう言われたけど…透以外の男には興味が無いなぁ…可愛いって言ってくれるのも清香だけだし。
6月、透と帰っている時にいきなりの豪雨に襲われた。全身ずぶ濡れ。透の家の近くだったからタオルを貸してくれるという透の言葉に甘える事にした。
借りたタオルで体を拭く。雨はまだ止みそうにない。
「あ~…これ、着替え…」
「ありがとう」
透のティーシャツかな?私には少し大きい。流石にスカートはなかったので上だけ着替えた。
透の部屋で雨が止むのを待つ。窓から外をボンヤリと見ていたら透に後ろから抱きしめられた。
「…悪い…その…梓としてみたい」
「……」
私でも流石に意味はわかる。
…透なら…いいかな…
「初めてだから…優しくしてね…」
「ああ。ちゃんと優しくする…」
透はとても優しくしてくれた。とっても痛かったけど…優しかったから許してあげる。
気持ち良くはなかったけど…とても嬉しかった。心が満たされた感じ。
透と肉体関係を持ってからは頻繁に求められるようになった。場所は彼の部屋だったり…私の部屋だったり。何度か体を重ねてようやく気持ちいいって感覚がわかってきた気がする。
夏休みは透がよく家に来るようになった。外は暑いからね。あまり外には出たくない。部活中も暑いけど…不思議と走っている間は平気なのよね。
飛鳥は透の事は平気みたい。一緒にいても平気って事は透に興味があるのだと思う。飛鳥が人に興味を持つなんて珍しいな。
透も飛鳥が一緒にいても何とも思っていないようだ。普通に話してる。
2人が気にしないなら私が気にする必要は無い。3人で一緒に飛鳥の持っているゲームで遊んだり、映画を見て過ごした。
夏休みが終わり、休日に清香の家に遊びに行く。夏休みはあまり会えなかった…透との時間が多かったから。
清香の家は私の家からそれほど離れていない。歩いて15分くらい。
昼までは遊んで、午後からは中間テストの勉強。最近は少し遊び過ぎてる自覚があるから気を引き締めないと。
「あ…ノート忘れた…」
気を引き締めるとか思っておきながら…本当に緩みすぎだよ…
「珍しいね。勉強は今度にする?」
「ううん。中間も近いからね。家に取りに帰るよ」
「そう。私は暑いのが嫌だからここで待ってるね~」
「うん。ちょっと行ってくるね」
手ぶらだったので走って帰る。…ワンピースだったから走りにくかったけど、スニーカーを履いてるから大丈夫。パンプスとかは壊れちゃいそうだからあまり好きじゃない。
家から帰ると玄関に透の靴があった。おかしいな。約束はしてなかったはずだけど…
リビングには誰もいなかった。この時間は飛鳥しかいないはず。飛鳥の部屋かな?
飛鳥の部屋から人の声が聞こえた。2人でゲームでもしているのだろうか?ノックをしてドアを開ける。
飛鳥の部屋には…裸の透と飛鳥がいた。
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